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遠心分離機
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- 【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 底板を有して周壁部に多数の透過孔が設けられた筒体と該筒体の開口部に取り付けられた環状の端板とを有するバスケットと、自立性を有する材料からなっていて前記バスケットの周壁部の内周に配置されたフィルタとを備えた遠心分離機において、前記バスケットの底板の内面の外周部に前記筒体の内周に沿って伸びる溝部が全周に亘って形成され、前記フィルタはバスケットの軸線方向に測った前記筒体の幅寸法よりも小さい幅寸法を有するように形成されて、該フィルタの幅方向の一端が前記バスケットの底板の溝部内に挿入され、前記フィルタの幅方向の一端と前記溝部の内周との間に環状のパッキンが挿入され、前記フィルタの幅方向の他端と前記バスケットの端板との間に形成された環状の隙間に嵌め込まれて前記バスケットの筒体の内周面に当接させられた隙間充填部と前記フィルタの幅方向の他端の内周面にパッキンを介して当接された耳部とを有するフィルタ押え具が前記バスケットのほぼ全周に亘るように設けられていることを特徴とする遠心分離機。
【請求項2】 底板を有して周壁部に多数の透過孔が設けられた筒体と該筒体の開口部に取り付けられた環状の端板とを有するバスケットと、自立性を有する材料からなっていて前記バスケットの周壁部の内周に配置されたフィルタとを備えた遠心分離機において、前記バスケットの端板の内面の外周部に前記筒体の内周に沿って伸びる溝部が全周に亘って形成され、前記フィルタはバスケットの軸線方向に測った前記筒体の幅寸法よりも小さい幅寸法を有するように形成されて、幅方向の一端を環状の隙間を介して前記バスケットの底板に対向させ、幅方向の他端を前記端板の溝部内に挿入した状態で配置され、前記フィルタの幅方向の一端と前記バスケットの底板との間に形成された環状の隙間に嵌め込まれて前記バスケットの筒体の内周面に当接させられた隙間充填部と前記フィルタの幅方向の一端の内周面にパッキンを介して当接された耳部とを有するフィルタ押え具が前記バスケットのほぼ全周に亘るように設けられ、前記フィルタの幅方向の他端と前記端板の溝部の内周との間にパッキンが挿入されていることを特徴とする遠心分離機。
【請求項3】 底板を有して周壁部に多数の透過孔が設けられた筒体と該筒体の開口部に取り付けられた環状の端板とを有するバスケットと、自立性を有する材料からなっていて前記バスケットの周壁部の内周に配置されたフィルタとを備えた遠心分離機において、前記フィルタはバスケットの軸線方向に測った前記筒体の幅寸法よりも小さい幅寸法を有するように形成されて、幅方向の一端と前記バスケットの底板との間及び幅方向の他端と前記端板との間にそれぞれ環状の隙間を形成した状態で配置され、前記フィルタの幅方向の一端と前記バスケットの底板との間に形成された隙間に嵌め込まれて前記バスケットの筒体の内周面に当接させられた隙間充填部と前記フィルタの幅方向の一端の内周面にパッキンを介して当接された耳部とを有する第1のフィルタ押え具が前記バスケットのほぼ全周に亘るように設けられ、前記フィルタの幅方向の他端と前記バスケットの端板との間に形成された隙間に嵌め込まれて前記バスケットの筒体の内周面に当接させられた隙間充填部と前記フィルタの幅方向の他端の内周面にパッキンを介して当接された耳部とを有する第2のフィルタ押え具が前記バスケットのほぼ全周に亘るように設けられていることを特徴とする遠心分離機。
【請求項4】 前記フィルタは金属板に微細な孔を無数に形成した多孔板からなっている請求項1,2または3のいずれか1つに記載の遠心分離機。
【請求項5】 前記フィルタは金網からなっている請求項1,2または3のいずれか1つに記載の遠心分離機。
【請求項6】 前記フィルタは金属板に微細な孔を無数に形成した多孔板と金網との積層体からなっている請求項1,2または3のいずれか1つに記載の遠心分離機。
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- 【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、回転しているバスケット内に原液を供給して、該原液を遠心力により固形物と液分とに分離する遠心分離機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】遠心分離機のバスケットは、底板を有して周壁部に多数の透過孔が設けられた筒体と該筒体の開口部に取り付けられた環状の端板とを有している。バスケットの内周にはフィルタが取り付けられ、バスケット内に供給された原液中の液分はフィルタとバスケットの周壁部の透過孔とを通して外部に排出される。
【0003】この種の遠心分離機においては、フィルタを通過せずに直接バスケットの透過孔を通して液が排出されるのを防ぐために、バスケットの周壁部全体を覆うようにフィルタを取り付ける必要がある。
【0004】図7は従来の遠心分離機のバスケット1とフィルタ2とを示したもので、同図に示されたバスケットは、周壁部101と底板102とを有して周壁部101に多数の透過孔hが形成された筒体103と、筒体103の開口部に設けられたフランジ104に当接されてボルト105及びナット106によりフランジに締結された環状の端板107とからなっている。底板102の外周部及び端板107の外周寄りの部分にはそれぞれ、周壁部101の内周に沿って延びる溝部102a及び107aが設けられている。
【0005】フィルタ2は、バスケットの周壁部101の幅寸法(軸線方向に図った寸法)よりも大きな幅寸法を有していて、その両端が溝部102a内及び107a内に挿入され、溝部102aの内周とフィルタ2との間、及び溝部107aの内周とフィルタ2との間にそれぞれパッキン3及び4が挿入されて、これらのパッキンによりフィルタ2の両端がシールされている。
【0006】
【考案が解決しようとする課題】従来フィルタ2としては濾布が多く用いられていたが、最近、金属板に微細な孔を無数に形成した多孔板や、金網を複数枚積層したもの等をフィルタとして用いることが検討されるようになっている。
【0007】多孔板や金網のような自立性を有する材料からなるフィルタを用いる場合に、図7に示したようにフィルタ2の幅寸法をバスケットの周壁部の幅寸法よりも大きく設定すると、該フィルタ2をバスケットの端板107の内周部107bの内側の開口部を通して出し入れすることは困難であるため、フィルタを着脱する際には、いちいち端板107を取り外して筒体103の開口部を開口させる必要があり、はなはだ面倒である。
【0008】本考案の目的は、自立性を有する材料からなるフィルタをバスケットに容易に取り付けることができるようにした遠心分離機を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本考案は、底板を有して周壁部に多数の透過孔が設けられた筒体と該筒体の開口部に取り付けられた環状の端板とを有するバスケットと、自立性を有する材料からなっていてバスケットの周壁部の内周に配置されたフィルタとを備えた遠心分離機に係わるものである。
【0010】請求項1に記載した考案においては、バスケットの底板の内面の外周部に筒体の内周に沿って伸びる溝部が全周に亘って形成されている。フィルタはバスケットの軸線方向に測った筒体の幅寸法よりも小さい幅寸法を有するように形成されて、該フィルタの幅方向の一端がバスケットの底板の溝部内に挿入されている。フィルタの幅方向の一端と溝部の内周との間には環状のパッキンが挿入され、該パッキンにより、フィルタの幅方向の一端側のシールが図られる。
【0011】上記のように、フィルタの幅寸法がバスケットの周壁部の幅寸法よりも小さく設定されているため、フィルタの幅方向の他端とバスケットの端板との間には環状の隙間が形成される。本考案においては、この環状の隙間に嵌め込まれてバスケットの筒体の内周面に当接された隙間充填部とフィルタの幅方向の他端の内周面に対向させられた耳部とを有するフィルタ押え具がバスケットの全周に亘るように設けられて、該フィルタ押え具がバスケットに対して固定されている。フィルタ押え具の耳部とフィルタの内周との間にパッキンが挿入されて、フィルタの他端側のシールが図られる。
【0012】請求項2に記載した考案においては、バスケットの端板の内面の外周部に筒体の内周に沿って伸びる溝部が全周に亘って形成される。この場合もフィルタはバスケットの軸線方向に測った前記筒体の幅寸法よりも小さい幅寸法を有するように形成されて、その幅方向の一端を環状の隙間を介してバスケットの底板に対向させ、幅方向の他端を端板の溝部内に挿入した状態で配置される。そしてフィルタの幅方向の一端とバスケットの底板との間に形成された環状の隙間に嵌め込まれてバスケットの筒体の内周面に当接された隙間充填部とフィルタの幅方向の一端の内周面にパッキンを介して当接された耳部とを有するフィルタ押え具がバスケットのほぼ全周に亘るように設けられ、フィルタの幅方向の他端と前記端板の溝部の内周との間にパッキンが挿入される。
【0013】請求項3に記載した考案では、フィルタの両端がフィルタ押え具により固定される。即ち、請求項3に記載した考案においては、フィルタの幅方向の一端とバスケットの底板との間及び幅方向の他端と端板との間にそれぞれ環状の隙間が形成され、フィルタの幅方向の一端とバスケットの底板との間に形成された隙間に嵌め込まれてバスケットの筒体の内周面に当接された隙間充填部とフィルタの幅方向の一端の内周面にパッキンを介して当接された耳部とを有するバンド状の第1のフィルタ押え具と、フィルタの幅方向の他端とバスケットの端板との間に形成された隙間に嵌め込まれてバスケットの筒体の内周面に当接された隙間充填部とフィルタの幅方向の他端の内周面にパッキンを介して当接された耳部とを有するバンド状の第2のフィルタ押え具とが、バスケットのほぼ全周に亘るように設けられる。
【0014】上記フィルタとしては例えば、金属板に微細な孔を無数に形成した多孔板や、網目が十分に細かい金網、あるいは多孔板と金網との積層体を用いることができる。
【0015】なお本考案において「自立性を有する材料」とは、自重により変形しない程度の剛性を有していて、布のように自在に変形させることが困難な材料(金属の薄板または金網等)を意味する。
【0016】
【作用】請求項1のように構成すると、フィルタをバスケットの端板の内径よりも小さい外径を有する形状に丸めた状態で該フィルタを端板の内側の開口部を通してバスケット内に挿入した後、フィルタをバスケットの内周に添わせてその幅方向の一端をバスケットの底板の溝部内に落し込み、しかる後にフィルタの他端側を押え具により固定することにより、フィルタをバスケットの内周に取り付けることができる。またこれらと逆の手順により、フィルタを取り外すことができる。
【0017】請求項2のように構成した場合にも、全く同様に、バスケットの端板を取り外すことなく自立性を有するフィルタの着脱を行わせることができる。
【0018】更に請求項3のように構成した場合には、バスケットの底板または端板に溝部を設けることなしに、自立性を有するフィルタの着脱を行わせることができる。このように、本考案によると、バスケットの端板を取り外すことなく、自立性を有する材料からなるフィルタの着脱を行うことができるため、該フィルタの着脱作業を容易にすることができる。
【0019】
【実施例】図1ないし図4は本考案の実施例を示したもので、図1は全体の構造を示す縦断面図、図2はバスケットとその側壁部の内側に取り付けられたフィルタとを示した縦断面図、図3はフィルタ押え具によるフィルタの固定構造を示した部分斜視図、図4(A),(B)はフィルタの両端の突き合わせ部の異なる例を示した上面図である。
【0020】図1において、11は円筒状に形成されたケーシングで、このケーシングは脚部12により支持されている。13はケーシング1内に配置されたバスケットで、このバスケットは、底板14aと周壁部14bとを有して周壁部14bに多数の透過孔hが形成された筒体14と、筒体14の上端の開口部に取り付けられた環状の端板15とを有している。
【0021】バスケットの底板14aの中央に設けられたボス部14a1に回転軸16が取り付けられ、この回転軸16はケーシングの底部に設けられた軸受部17により回転自在に支持されている。ケーシングの下部にはインバータにより駆動される電動機や油圧モータ等からなる回転駆動源18が取り付けられ、回転駆動源18の出力軸に回転軸16が連結されている。
【0022】バスケット13の底板14aの中央には固形物を溜めるためのすり鉢状の凹部14a2が設けられ、ケーシング1の上端を閉じるように取り付けられた蓋板19を貫通させて設けられた固形物排出管20が凹部14a2内に挿入されている。固形物排出管20は図示しない吸引装置に接続されていて、容器の底部の凹部14a2内に溜められた固形物が固形物排出管20を通して外部に吸引排出されるようになっている。
【0023】バスケット13の底板14aの外周部には、周壁部14bの周方向に沿って延びる溝部14a3が、バスケットの全周に亘って設けられている。
【0024】21は蓋板19を貫通させてバスケット13内に挿入された原液供給パイプで、この原液供給パイプは、上下方向に間隔を開けて並ぶ複数の噴出口21aを有している。原液供給パイプ21は、図示しない原液タンクにバルブを介して接続されていて、この原液供給パイプからバスケット13内に原液が供給される。
【0025】ケーシングの蓋板19にはまた掻取刃駆動軸22が上下動自在かつ回転自在に取り付けられて該駆動軸22がバスケット内に挿入され、駆動軸22の下端に掻取刃23が取り付けられている。駆動軸22は蓋板19の上に取り付けられた図示しない掻取刃駆動装置により駆動されて、掻取刃23を上下動させるとともに、バスケット13の周壁部14bに接近する方向と該周壁部14bから離れる方向とに回動させる。
【0026】ケーシング11内の下部には環状の導液枠24が取り付けられている。この導液枠24は、ケーシングの側壁部の下端に設けられた排液口11aに向って下降するように傾斜した底部24aを有していて、バスケットの周壁部の透過孔hを通して排出された液体が導液枠24により案内されて排液口11aから外部に排出されるようになっている。
【0027】バスケットの周壁部の内周には帯状に形成されたフィルタ30が取り付けられる。フィルタ30は、自立性を有して、しかもバスケットの端板15の内周部の内側の開口部を通してバスケット内に挿入し得る形に丸めることができる程度に柔軟性を有する材料により形成されている。
【0028】図示のフィルタ30はステンレス鋼等の耐蝕性を有する金属からなる帯状の金網を複数枚積層したものからなっていて、その幅寸法は、バスケットの周壁部の幅寸法よりも僅かに短く設定され、その長さはバスケットの内周の周長にほぼ等しく設定されている。フィルタ30はバスケットの端板15の内周部の内側に形成された開口部からバスケット内に挿入されて、該バスケットの周壁部14bの内周に添わせた状態で配置されて、その両端が突き合わせられた状態で配置される。フィルタ30の両端の突き合わせ部に隙間が生じないようにするため、図4(A)に示すように、フィルタ30の両端30a,30bを斜め切りするか、または図4(B)に示したようにフィルタの両端30a,30bに段部を形成して、フィルタの両端に重合部分が形成されるようにしておくのが好ましい。
【0029】フィルタ30の幅方向の一端は底板の溝部14a3内に挿入され、溝部14a3の内周とフィルタ30の内周との間に環状のパッキン31が圧入されて、該パッキンによりフィルタ30の一端側のシールが図られている。
【0030】フィルタ30はバスケットの周壁部の幅寸法よりも小さい幅寸法を有し、しかもその一端が溝部14a3内に落とし込まれているため、フィルタ30の他端と端板15との間には環状の隙間が形成される。本考案においては、この隙間を埋めるバンド状のフィルタ押え具32を設けて、該押え具32によりフィルタ30の他端をバスケットに固定する。
【0031】図2に示したように、フィルタ押え具32は、フィルタ30の幅方向の他端と端板15との間に形成された環状の隙間に嵌め込まれてバスケットの周壁部14bの内周面に当接させられる隙間充填部32aと、フィルタの幅方向の他端の内周面に対向させられる耳部32bとを一体に有している。このフィルタ押え具32はバスケットの全周に亘るように設けられていて、隙間充填部32aに設けられた取付け孔32cに挿入されたボルト33がバスケットの周壁部に設けられたネジ孔にねじ込まれ、ボルト33によりフィルタ押え具32がバスケット13に対して固定されている。フィルタ押え具32の耳部32bとフィルタ30の内周との間にパッキン34が挿入され、このパッキン34によりフィルタ30の他端側のシールが図られている。
【0032】なおフィルタ押え具32は、バスケットの周方向に並ぶ複数の円弧状の部分に分割されていてもよく、リングの一部を切り離した形状に形成されていてもよい。リングの一部を切り離した形状を有するフィルタ押え具を用いる場合には、該フィルタ押え具を端板15の内側の開口部を通してバスケット内に挿入し得る大きさに変形させ得るようにするため、ある程度の柔軟性を有する材料によりフィルタ押え具32を構成する必要がある。
【0033】上記の実施例において、フィルタ30を取り付ける際には、フィルタ30をバスケット13の端板15の内径よりも小さい外径を有する形状に丸めた状態で端板15の内側の開口部を通してバスケット内に挿入し、該フィルタをバスケットの周壁部の内周に沿わせてその幅方向の一端をバスケットの底板の溝部14a3内に落し込む。次いでフィルタ30の他端と端板15との間に形成された隙間に押え具32の隙間充填部32aを挿入して該隙間を埋め、押え具32の耳部32bをパッキン34を介してフィルタ30の他端の内周に当接させた状態で、隙間充填部32aをバスケットの周壁部にボルト止めする。
【0034】このようにしてフィルタ30を取り付けた状態では、該フィルタの両端がパッキンによりシールされるため、フィルタの両端から液漏れが生じるおそれはない。
【0035】バスケットの内周に取り付けられたフィルタ30を取り外す場合には、ボルト33を外してフィルタ押え具32を外し、パッキン31及び34を外した後、フィルタ30を丸めて端板15の内側の開口部から外部に取り出す。
【0036】上記のように、本考案によると、バスケットの端板を取り外すことなく、自立性を有する材料からなるフィルタの着脱を行うことができるため、自立性を有するフィルタの着脱作業を容易にすることができる。
【0037】上記実施例の遠心分離機により原液を固形物と液体とに分離する処理を行う場合には、バスケット13を高速回転させ、原液供給パイプ21からバスケット13内に原液を供給する。バスケット13内に原液を供給すると、原液中の液分が遠心力によりフィルタ30と周壁部14bの透過孔hとを通してバスケット外に排出されるため、フィルタ30の内周に固形物の層が形成されていく。フィルタの内周に形成される固形物層の厚さが所定の値になったときに原液の供給を停止し、液分の排出を完全に行わせた後、バスケットの回転速度を低下させて、バスケットを低速回転させながら、掻取刃23を固形物層中に進入させて、該固形物をバスケットの底板14a側に落下させる。掻取刃23により落下させられて凹部14a2に集められた固形物を固形物排出管20を通して外部に排出する。
【0038】上記の実施例では、フィルタ30を金網により形成したが、ステンレス鋼等の比較的薄い金属板に微細な孔を無数に形成した多孔板によりフィルタ30を形成する場合等にも本考案を適用することができる。薄い多孔板をフィルタとして用いる場合には、該フィルタの長さをバスケットの周壁部の内周長よりも僅かに長くしておいて、該フィルタの両端を所定の重ね代をもって重ね合わせるようにするのが好ましい。
【0039】また薄い多孔板と金網との積層体をフィルタとして用いて、該積層体の金網をバスケットの内周に添わせた状態で配置することもできる。このように構成すると、多孔板とバスケットの内周との間に金網が介在することになるので、バスケットの周壁部の透過孔が設けられていない部分により多孔板の微細な孔が塞がれるのを防ぐことができる。従って多孔板の全ての孔を有効に利用して濾過を効率よく行わせることができる。この場合に用いる金網は目が比較的粗いものでよい。
【0040】上記の実施例では、フィルタ30を帯状に形成して、バスケットの内周に添わせた状態でその両端を突き合わせるか、または重ね合わせるようにしたが、変形が比較的容易な薄い多孔板や金網をフィルタ材料として用いる場合には、帯状に形成された多孔板や金網の両端を溶接等により接合することによりバスケットの周壁部14bの内周面に隙間なく内接し得る大きさの環状体を形成して、該環状体をフィルタとして用いるようにすることもできる。
【0041】また多孔板や金網等からなるフィルタ要素を複数枚積層することによりフィルタを構成する場合には、外周側に位置するフィルタ要素から順にバスケット内に挿入して、バスケット内で複数のフィルタ要素を積層することによりフィルタを形成するようにすれば、バスケット内へのフィルタの挿入を容易に行わせることができる。
【0042】要するに、フィルタ30は、自立性を有するが、バスケットの端板15の内側を通してバスケット内に出し入れし得る程度の柔軟性を有するものであればよく、その構成には種々の変形を考えることができる。
【0043】上記の実施例では、バスケットの底板の外周部に溝部14a3を形成したが、バスケットの底板には溝部を設けずに端板15の外周部に溝部を設けて、該溝部内にフィルタ30の他端を挿入し、フィルタ30の一端側にフィルタ押え具32を設けるようにしてもよい。この場合には、フィルタ押え具32の隙間充填部32aをフィルタ30の一端と底板14aとの間に形成された環状の間隙に嵌め込み、フィルタ押え具32の耳部32bをパッキンを介してフィルタ30の一端の内周に当接させる。またフィルタ32の他端の内周と端板の溝部の内周との間にパッキンを圧入する。
【0044】図5は本考案の更に他の実施例を示したもので、この実施例では、フィルタ30が多孔板30Aと、金網30Bとの積層体からなっていて、フィルタ30の幅寸法はバスケットの周壁部14bの幅寸法よりも小さく設定されている。フィルタ30は、その幅方向の一端とバスケットの底板14aとの間及び幅方向の他端と端板15との間にそれぞれ環状の隙間を形成した状態で配置されて、フィルタ30の一端及び他端がそれぞれ第1のフィルタ押え具32´及び第2のフィルタ押え具32によりバスケットに固定されている。
【0045】第1のフィルタ押え具32´は、フィルタ30の幅方向の一端とバスケットの底板14aとの間に形成された隙間に嵌め込まれてバスケットの周壁部14bに当接させられた隙間充填部32a´とフィルタ30の幅方向の一端の内周面にパッキン34´を介して当接された耳部32b´とからなり、第2のフィルタ押え具32は、フィルタ30の幅方向の他端とバスケットの端板15との間に形成された隙間に嵌め込まれてバスケットの周壁部14bに当接させられた隙間充填部32aとフィルタ30の幅方向の他端の内周面にパッキン34を介して当接された耳部32bとからなっている。
【0046】第1のフィルタ押え具32´及び第2のフィルタ押え具32は、バスケットの周壁部の全周に亘るように設けられていて、それぞれの隙間充填部32a´及び32aがボルト33´及び33によりバスケットの周壁部に固定されている。
【0047】上記の各実施例では、フィルタ押え具をバスケットの周壁部にボルト止めしているが、フィルタ押え具の隙間充填部をフィルタと端板との間の隙間またはフィルタと底板との間の隙間にきつく嵌め込むことにより、ボルトを用いることなくフィルタ押え具をバスケットに対して固定するようにすることもできる。
【0048】図6(A)及び(B)は第1及び第2のフィルタ押え具32´及び32をボルトを用いることなく取り付けるようにした実施例を示したもので、この実施例では、第1及び第2のフィルタ押え具32´及び32が、同図(B)に示したように、リングの一部を切り離した形状に形成され、それぞれの隙間充填部32a´及び32aがフィルタ30の一端と底板14aとの間の隙間及びフィルタ30の他端と端板15との間の隙間にそれぞれ圧入状態で嵌め込まれて、フィルタ押え具32及び32´がバスケットに対して固定されている。
【0049】図2に示したように、フィルタの片側にのみフィルタ押え具を設ける場合にも、図6(B)に示したものと同様のフィルタ押え具を用いることができる。
【0050】上記の実施例では、バスケット13の回転軸をケーシングの底部に支持しているが、バスケットの回転軸を蓋板19に取り付けた軸受装置により支持する場合もある。また上記の実施例では、バスケットの底部に溜った固形物を固形物排出管20を通して外部に吸引排出するとしたが、バスケット13の底板に固形物排出孔を設けて、その排出孔から固形物を排出するようにする場合もある。
【0051】上記の実施例では回転駆動源18をケーシングの下部に取り付けて、該回転駆動源の出力軸をバスケットの回転軸に連結しているが、ケーシングの側方またはケーシングの側壁に回転駆動源を配置して、該回転駆動源の出力軸をベルト等を介してバスケットの回転軸に伝達する場合もある。
【0052】上記の実施例を示す図面では、バスケットの端板15が筒体14と一体を成すように図示されているが、実際には、分解修理を容易にするため、図5に示した例と同様に、端板15を筒体14の開口部のフランジにボルト止めする構造とするのが好ましい。
【0053】
【考案の効果】以上のように、本考案によれば、バスケットの端板を取り外すことなく、自立性を有する材料からなるフィルタの着脱を行うことができるため、該フィルタの着脱作業を容易にすることができる利点がある。
- 【登録番号】第2534444号
【登録日】平成9年(1997)2月13日
【発行日】平成9年(1997)4月30日
【考案の名称】遠心分離機
- 【出願番号】実願平5−58053
【出願日】平成5年(1993)10月27日
【出願人】
【識別番号】391041350
【氏名又は名称】株式会社松本機械製作所
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 英俊 (外1名)
【審査官】 西村 和美
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