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水平デカンタ型遠心沈降機
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- 【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 水平デカンタ(1)と当該デカンタ(1)内に収納されたスクリューコンベア(2)が同方向に異なる回転数で回転され、水平デカンタ(1)内に供給される懸濁液の固形成分をその遠心力によりデカンタ(1)の内周面に沈降させてスクリューコンベア(2)によりデカンタの一端側に形成された固形分排出口(4)から排出すると共に、液体成分をデカンタ(1)の他端側に形成された液体成分排出口(5)から排出するようになされた水平デカンタ型遠心沈降機において、前記固形成分排出口(4)の排出位置に対して受け口(6a,7a)が進退される二つの固形成分回収タンク(6,7)が配され、前記水平デカンタ(1)が懸濁液の重力より大きな遠心力を生ずる回転数で回転されるときは一方の回収タンク(6)の受け口(6a)を排出位置に位置決めし、前記水平デカンタ(1)が懸濁液の重力より小さな遠心力しか生じない回転数で回転されるときは他方の回収タンク(7)の受け口(7a)を排出位置に位置決めする回収タンク切換装置(8)を備えたことを特徴とする水平デカンタ型遠心沈降機。
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- 【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、固形成分と液体成分が混合された懸濁液を遠心力を利用して、固形成分と清澄液とに分離する水平デカンタ型遠心沈降機に関する。
【0002】
【従来の技術】比較的濃度の高い懸濁液を固形成分と液体成分に遠心分離させる場合にデカンタ型の遠心沈降機が使用され、特に、連続的に固形成分を沈降・排出させせる場合に水平デカンタ型遠心沈降機が用いられる。この水平デカンタ型遠心沈降機は、図3に示すように例えば円筒−円錐型の水平デカンタ1と当該デカンタ1内に収納されたスクリューコンベア2を同方向に僅かに異なる回転数で回転させておき、供給管3から水平デカンタ1内に供給される懸濁液の固形成分をその遠心力によりデカンタ1の内周面に沈降させる。そして、水平デカンタ1とスクリューコンベア2の相対速度の差を利用して、デカンタ1の内周面に沈降された固形成分をゆっくりとデカンタ1の一端側に形成された固形成分排出口4に移送して排出すると共に、液体成分をデカンタ1の他端側に形成された液体成分排出口5から排出するようにしている。
【0003】すなわち、水平デカンタ1内に供給された懸濁液は、水平デカンタ1の底部に溜まることなく、その遠心力により内周面に一様に押しつけられて、固形成分が沈降されると共に、液体成分はその上澄液となる。そして、固形成分はスクリューコンベア2により固形成分排出口4に向かって水平方向に移送されると共に、液体成分は他端側の液体成分排出口5に向かって水平デカンタ1の内周面とスクリューコンベア2との間に形成された螺旋状の流路fに沿って流れて行き、固形成分と液体成分を分離して排出することができる。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】しかしながら、遠心沈降機の運転開始直後や運転停止するときは、水平デカンタ1の回転数が低いので、その回転により生ずる遠心力は懸濁液の重力より小さくなる。したがって、水平デカンタ1内に供給された懸濁液はその内周面に一様に押しつけられずに底部に溜まり、デカンタ1とスクリューコンベア2との間の螺旋状の流路も分断されるので、液体成分排出口5から排出されずに水位も上昇する。そして、底部に溜まった懸濁液の液体成分と固形成分が共にスクリューコンベア2により固形成分排出口4に移送されて固形成分を回収するタンクに排出され、タンクに回収した固形成分に液体成分が混ざって水浸しになるので、再度脱水処理を行わなければならないという面倒があった。
【0005】そこで、本考案は、遠心沈降機の運転開始直後や運転停止するときのように、水平デカンタの回転数が低くなっても、回収タンク内の水浸しにせずに含水率の少ない固形成分を回収することができるようにすることを技術的課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するために、本考案は、水平デカンタと当該デカンタ内に収納されたスクリューコンベアが同方向に異なる回転数で回転され、水平デカンタ内に供給される懸濁液の固形成分をその遠心力によりデカンタの内周面に沈降させてスクリューコンベアによりデカンタの一端側に形成された固形分排出口から排出すると共に、液体成分をデカンタの他端側に形成された液体成分排出口から排出するようになされた水平デカンタ型遠心沈降機において、前記固形成分排出口の排出位置に対して受け口が進退される二つの固形成分回収タンクが配され、前記水平デカンタが懸濁液の重力より大きな遠心力を生ずる回転数で回転されるときは一方の回収タンクの受け口を排出位置に位置決めし、前記水平デカンタが懸濁液の重力より小さな遠心力しか生じない回転数で回転されるときは他方の回収タンクの受け口を排出位置に位置決めする回収タンク切換装置を備えたことを特徴とする。
【0007】
【作用】本考案によれば、二つの固形成分回収タンクが設けられ、水平デカンタが懸濁液の重力より大きな遠心力を生ずる回転数で回転されているときは、一方の回収タンクの受け口が固形成分排出口の排出位置に位置決めされるので、通常の回転数で運転されているときは当該回収タンクに含水率の低い固形成分が回収される。また、運転開始直後や運転停止時などのように、水平デカンタが懸濁液の重力より小さな遠心力しか生じない回転数で回転されるときは他方の回収タンクの受け口が排出位置に位置決めされるので、水平デカンタの回転数が低下して固形成分排出口から液体成分が流出される場合には、その含水率の高い固形成分が当該他方の回収タンクに回収される。したがって、通常運転されているときに排出される含水率の低い固形成分と、運転開始直後や運転停止時などに排出される含水率の高い固形成分は夫々異なる回収タンクに回収される。
【0008】
【実施例】以下、本考案を図面に示す実施例に基づいて具体的に説明する。図1は本考案の一例を示す概略構成図、図2は他の実施例を示す概略構成図である。
【0009】図中1は、スクリューコンベア(図示せず)が収納された円筒−円錐型の水平デカンタであって、例えば水平デカンタ1が4000rpm, スクリューコンベア2が3989rpm と僅かに異なる回転数で同方向に回転される。そして、水平デカンタ1内に供給される懸濁液の固形成分をその遠心力によりデカンタ1の内周面に沈降させ、前記スクリューコンベア2によりデカンタ1の一端側に形成された固形分排出口4へ移送して排出すると共に、液体成分をデカンタ1の他端側に形成された液体成分排出口5から排出するようになされている。また、固形成分排出口4の下方には、一体に形成された二つの固定成分回収タンク6及び7が移動可能に配され、夫々の受け口6a及び7aが固形成分排出口4の排出位置に対して進退される。
【0010】8は、各タンク6及び7を移動させ、固形成分排出口4から排出される固形成分を所定のタイミングで各タンク6及び7に振り分ける回収タンク切換装置であって、水平デカンタ1の回転数を検出するセンサ9と、当該センサ9により検出された回転数を予め設定された値と比較する比較手段10と、比較手段10からの出力信号に基づいて正逆回転移動される駆動モータ11とからなる。この比較手段10に設定する値は、水平デカンタ1に供給される懸濁液の重力と均衡する遠心力が得られる回転数が最適である。
【0011】そして、前記センサ9で検出された回転数が設定値より大きいときは一方の回収タンク6の受け口6aが排出位置に位置決めされるようにモータ11を駆動し、検出された回転数が設定値より小さいときは他方の回収タンク7の受け口7aが排出位置に位置決めされるようにモータ11を駆動する。したがって、水平デカンタ1が懸濁液の重力より大きな遠心力を生ずる回転数で回転されるときは、回収タンク6及び7が移動されて一方の回収タンク6の受け口6aが排出位置に位置決めされ、水平デカンタ1が懸濁液の重力より小さな遠心力しか生じない回転数で回転されるときは他方の回収タンク7の受け口7aを排出位置に位置決めされる。
【0012】以上が、本考案の一例構成であって次にその作用について説明する。まず、遠心沈降機の運転が開始されるときは、水平デカンタ1の回転数が停止した状態から徐々に加速されていく。この時点では、水平デカンタ1の回転により得られる遠心力が懸濁液の重力よりも小さいので、固形成分排出口4からは固形成分が排出されるだけでなく液体成分が流出すると共に、固形成分排出口4の排出位置には回収タンク7の受け口7aが位置決めされているので、含水率の高い固形成分は回収タンク7に回収される。
【0013】次いで、水平デカンタ1が加速されて比較手段10の設定値に達すると、遠心力が懸濁液の重力よりも大きくなるので、懸濁液は水平デカンタ1の内周面に押しつけられて、固形成分が内周面に沈降されると共に、液体成分が上澄液となる。そして、固形成分がスクリューコンベア2により固形成分排出口4に移送されて排出されると共に、液体成分がスクリューコンベア2により形成される螺旋流路fに沿って液体成分排出口5から流出される。このとき、回収タンク切換装置8により、固形成分排出口4の排出位置に回収タンク6の受け口6aが位置決めされているので、含水率の低い固形成分は回収タンク6に回収される。
【0014】最後に、遠心沈降機の運転を休止・停止して、水平デカンタ1の回転数が徐々に下がり比較手段10の設定値以下になると、再び固形成分排出口4から液体成分が流出するので、回収タンク切換装置8によりその排出位置に回収タンク7の受け口7aを位置決めする。これにより、回収タンク6に回収された含水率の低い固形成分が水浸しになることがなく、したがって回収タンク7に回収された含水率の高い固形成分のみを再処理すればよい。
【0015】なお、本考案は回収タンク6及び7を移動することにより夫々の受け口6a及び7aを位置決めする場合に限らず、図2に示すように、回収タンク6及び7を仕切る仕切板12を傾動可能に設けて、各受け口6a及び6aを排出位置に位置決めする場合であってもよい。この場合、前記実施例のモータ11に替えて、仕切板12を傾動させるシリンダ13が配され、センサ9で検出された回転数が設定値より大きいときはシリンダ13を収縮させて仕切板12を他方の回収タンク7側に傾動させることにより、一方の回収タンク6の受け口6aを排出位置まで進出させ、検出された回転数が設定値より小さいときはシリンダ13を伸長させて仕切板12を一方の回収タンク6側に傾動させることにより、他方の回収タンク7の受け口7aを排出位置まで進出させる。また、回収タンク6及び7にフレキシブルダクト等を接続してその先端に受け口を形成し、各フレキシブルダクトを固形成分排出口4に着脱可能に接続するようにしてもよい。
【0016】
【考案の効果】以上述べたように、本考案によれば、水平デカンタの回転数が高いときに排出される含水率の低い固形成分と、運転開始直後や運転を停止するときのように回転数が低いときに排出される含水率の高い固形成分とを、別々の回収タンクに回収することができるので、水分を遠心分離して得られた含水率の低い固形成分を水浸しにすることなく回収できるという非常に優れた効果を有する。
- 【登録番号】第2556754号
【登録日】平成9年(1997)8月15日
【発行日】平成9年(1997)12月8日
【考案の名称】水平デカンタ型遠心沈降機
- 【出願番号】実願平4−18830
【出願日】平成4年(1992)3月31日
【出願人】
【識別番号】000110343
【氏名又は名称】トリニティ工業株式会社
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】澤野 勝文 (外1名)
【審査官】 西村 和美
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