スポンサード リンク
遠心分離機
スポンサード リンク
- 【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】内径が上方へ向かって拡大し縦軸を中心に回転自在に支持された回転釜の回転により、前記回転釜内の分散混合物から遠心力により油を分離して前記回転釜内面に沿って上昇させ、前記回転釜の周壁上部に設けられた油通過部から排出させる遠心分離機において、前記回転釜を前記周壁上部で、回転釜上部と回転釜下部とに分割し、前記回転釜上部と前記回転釜下部との間隙によって形成されるスリットを設けて前記油通過部を形成すると共に、前記回転釜上部を前記回転釜下部に対して近接・離反させて前記油通過部の幅を変化させるように、前記回転釜下部の外周面に摺接する複数の周壁部材を設け、しかも、前記周壁部材には、鉛直方向へ長手方向を沿わせる長孔を形成すると共に、該長孔形成方向に沿って、前記回転釜上部を移動させた位置で固定する固定手段を備えてなることを特徴とする遠心分離機。
スポンサード リンク
- 【考案の詳細な説明】
[産業上の利用分野]
この考案は、遠心分離機の改良に関する。
[従来の技術]
従来、例えば油が混ざり合った切粉等の分散混合物から、油を分離する遠心分離機が知られている。
遠心分離機は、第4図に示すように、縦軸Oを中心に回動自在に支持された回転釜1を有しており、回転釜1は、内面がU字状の断面形状を有すると共に開口部1aは蓋体2により塞がれている。この回転釜1を回転させて、遠心力により回転釜1内に投入された分散混合物から油を分離すると共に、分離させた油を回転釜1の周壁1b上部の油通過部3から排出させている((a)参照)。
油通過部3は、回転釜1の周壁1b上部に全周に亙って帯状に形成された、周壁1bの表裏面を貫通する大量の小穴4から構成されており((b)参照)、油は小穴4を通過して回転釜1の外側下方へと滴下する。
[考案が解決しようとする課題]
しかしながら、このような従来の遠心分離機1においては、周壁1bの表裏面を貫通する大量の小穴4を開けなければならないことから、その製作が容易ではなく時間がかかっていたという問題点があった。つまり、直径1mmにも満たない小穴4を大量に開けるには、かなりの神経を使う上に大きな労力も必要としていた。
また、遠心分離機の使用過程において、小穴4の目詰まりが避けられず、その清掃が困難であるという問題点もあった。つまり、目詰まりが進行して完全に塞がってしまう頃には、初期に詰まったものが既に固まってしまうため、単なるエアーの吹き付けでは小穴4を貫通させることができず、一穴ずつ針金やドリル等で貫通させなければならない。このために多くの時間がかかっていた。
この考案は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、回転釜の製作時間を削減することができると共に、目詰まり時において短時間に容易に清掃することができる遠心分離機を提供することにある。
[課題を解決するための手段]
上記の目的を達成するため、内径が上方へ向かって拡大し縦軸を中心に回転自在に支持された回転釜の回転により、前記回転釜内の分散混合物から遠心力により油を分離して前記回転釜内面に沿って上昇させ、前記回転釜の周壁上部に設けられた油通過部から排出させる遠心分離機において、 前記回転釜を前記周壁上部で、回転釜上部と回転釜下部とに分割し、前記回転釜上部と前記回転釜下部との間隙によって形成されるスリットを設けて前記油通過部を形成すると共に、前記回転釜上部を前記回転釜下部に対して近接・離反させて前記油通過部の幅を変化させるように、前記回転釜下部の外周面に摺接する複数の周壁部材を設け、しかも、前記周壁部材には、鉛直方向へ長手方向を沿わせる長孔を形成すると共に、該長孔形成方向に沿って、前記回転釜上部を移動させた位置で固定する固定手段を備えてなる遠心分離機を特徴としている。
[作用]
この考案に係る遠心分離機により、回転釜が回転して、回転釜内の分散混合物から油が分離され、分離された油が、回転釜の周壁上部で分割された回転釜上部と回転釜下部の間のスリットから排出される。
また、固定手段の操作により、前記周壁部材が、回転釜下部の外周面に摺接しながら、該外周面にガイドされて、所定重量を有する回転釜上部であっても、安定させて回転釜下部に対して、鉛直方向へのみの移動に限定して移動させることができる。
このため、従来のように回転釜上部を取り外すことなく、釜下部から離反させてスリット幅を広げ、該スリットにエアー等を吹き付けることにより、目詰まりを解消することが出来る。
該固定手段では、前記回転釜上部の上下方向への移動が周壁によってガイドされていると共に、長孔によって鉛直方向へのみの移動に限定されているので再度、使用状態へ戻す際にも、徐々に下方に移動させながら、固定手段による固定位置の位置決めが容易に行える。
このため、スペーサ等の交換を必要とせず、所定の位置で、固定手段による固定をおこなうだけで、微細なスリット幅の調整を行える。
従って、清掃後の再度の使用状態へ戻す際の調整を容易に行うことが出来る。
[実施例]
以下、この考案に係る遠心分離機の実施例を図面を参考にしつつ説明する。
第3図に示す遠心分離機10は、油受け槽11内に配置された回転釜30を有している。油受け槽11の上方には、供給ダクト12が配置されており、供給ダクト12の下端開口12aには、上部開口13aに下端開口12aを臨ませると共に下端開口13bを回転釜30に臨ませた投入筒13が設置されている。
油受け槽11は、底部周縁に円環状の溝部11aを有しており、外ケース14内上部に、外ケース14の側壁14a内面との間に間隙dを有して設置されている。溝部11aには、排出口11bが形成されており、排出口11bには、受け部としての排出ダクト15が配置されている。外ケース14の上部開口14bは、投入筒13を貫通させた蓋体16により塞がれており、外ケース14内下部には、受け部としての上部開口17a周縁を側壁14aに当接させたホッパー17が設置されている。また、外ケース14は、脚部18上に設置されており、外ケース14下部に位置するホッパー17下部開口17bには、下部開口17bの受け部としての搬出シュート19が設置されている。
外ケース14の側壁14a外面には、モータ(図示せず)を内蔵した駆動部20が設置されており、駆動部20下端に突出する駆動軸20aにはプーリ21が取り付けられている。このプーリ21と後述するプーリ27にはベルト22が掛け渡されている。
また、回転釜30側方には、後述するスリットSに先端を臨ませたエアー吹き付け用のノズル23が配置されている。
回転釜30の底面30a下方には、底面30aに近接して軸部ケース24が配置されており、軸部ケース24内には、軸受25を介して回転釜30底部(後述する回転釜下部32底部)に開けられた貫通孔30bに嵌合させて固着された回転軸26が回転自在に支持されている。回転軸26は、回転釜30縦軸O(第1図(a)、第2図(a)参照)位置に配置されており、下端に取り付けられたプーリ27を介して伝達されるモータの駆動力により、縦軸Oを中心に自在に回動する。これらプーリ21、プーリ27及びベルト22は、伝達部28内に収められている。
回転釜30は、第1図、第2図に示すように、周壁上部で、内面31aを有する円筒状の回転釜上部31と、内面31a開口と開口径が同一であり内径が上方に向って拡大した内面32aを有すると共に底面32bが平坦な円柱状体により形成された回転釜下部32とに分割されている。回転釜上部31の開口部31bは蓋体33により塞がれており、蓋体33は、回転釜上部31に装着した際に、同時に油受け槽11の開口をも塞ぐ大きさに形成されている。蓋体33の中央部には、内面32a径と同じ内径を有する開口33aが形成されている。回転釜下部32の底面(回転釜30の底面)32bの周縁部には、先端部を溝部11aに挿入させた掻き板34が等間隔離間して二箇所に取り付けられている(第3図参照)。掻き板34の横幅は、溝部11aの溝幅より若干狭く形成されており、回転釜30の回転により溝部11a内を周回し、溝部11cに堆積した細かい切粉を掻き出す。
回転釜上部31は、回転釜下部32と一体的に組み合わせた際に、回転釜下部32の側面段差部32cに嵌合して回転釜下部32と共に回転釜30の周壁を円環状の周壁部材としての周壁31cを有している。この周壁31cは、回転釜下部32の外周面である側面段部32cに摺接して、回転釜上部31の回転釜下部32に対する近接・離反方向である上下方向へのスライド移動をガイドするように構成されている。周壁31c下端部には、表裏面を貫通して上下方向に延びると共に後述するボルト36のネジ部径と略同じ幅の長穴35が形成されており、長穴35には、ネジ部を回転釜下部32に螺合させ、且つ、ボルト頭を周壁31cに当接させたボルト36が挿入されている。回転釜上部31と回転釜下部32との当接面の周囲には、回転釜上部31と回転釜下部32とにより円環状の溝37が形成されており、周壁31cには、この溝37に連通する連通孔38が4箇所形成されている(第2図(b)参照)。これら長穴35及びボルト36は、固定手段として機能する。すなわち、ボルト36を回転操作して、締め付けた場合には、長穴35内の長手方向所定の位置で、前記周壁31cを前記側面段差部32cに固定すると共に、回転操作により緩めた場合には、長穴35内の長手方向に沿って相対位置を移動することにより、前記回転釜上部31の移動を、鉛直方向へのみに限定するように構成されている。
このように、回転釜30を回転釜上部31と回転釜下部32とに分割し、それぞれを離間させて配置することにより、回転釜上部31と回転釜下部32の間には、連通孔38に臨む油通過部としてのスリットSが形成される(第1図(b)参照)。そして、長穴35内のボルト36の締め付け位置により、回転釜上部31を回転釜下部32に対して接近・離反させることができ、スリットS幅を変化させることが可能となる。
次に、この実施例に係る遠心分離機の作用を説明する。
先ず、供給ダクト12及び投入筒13を経て回転釜30内に、分散混合物である油が混ざり合った切粉を投入し、遠心分離機10を作動させて回転釜30を回転させる。
このとき、切粉の詰まりや油の抽出具合に応じてスリットSの幅を調整する。調整は、ボルト36を緩めて回転釜上部31の周壁31cと回転釜下部32の側面段差部32cとの係合を解除し、回転釜上部31を回転釜下部32に対して接近・離反させることにより必要なスリットS幅を得た後、ボルト36を締め付けて周壁31cと側面段差部32cとを係合固定させる。
回転釜30の回転により、回転釜30内に投入された油が混ざり合った切粉に遠心力が作用し、切粉から油を分離させる。分離された油は、回転釜下部32の内面32aを上方へと登りつめてスリットSに達し、スリットSから溝37及び貫通孔38を通過して回転釜下部32の外側下方へと滴下し、油受け槽11の溝部11aに溜められる。溝部11aに溜められた油は、溝部11a内を周回する掻き板34に押し流されて、排出口11bから排出ダクト15へと流出する。
一方、油を分離させた切粉は、遠心力により回転釜下部32の内面32aに沿って上方へと押し上げられ、更に、回転釜上部31の内面31aに沿って上昇し、蓋体33の開口33aから油受け槽11の外側へと弾き飛ばされる。弾き飛ばされた切粉は、油受け槽11と外ケース14の間を通りホッパー17を経て搬出シュート19へと送り出される。
従って、油が混ざり合った切粉を、切粉の状態に応じて調整したスリットSを介して、油と切粉とに適切に分離させることができる。
ところで、遠心分離機10を使用し続けるにしたがい、スリットSの目詰まりが発生するが、目詰まりが発生した場合は、ボルト36を緩めて回転釜上部31の周壁31cと回転釜下部32の側面段差部32cとの係合を解除し、回転釜上部31を回転釜下部32に対して離反させスリットsの幅を広げる。前記周壁部材31c……が、回転釜下部32の側面段差部32cに摺接しながら、ガイドされて、所定重量を有する回転釜上部31であっても、安定させて回転釜下部32に対して、上下方向へ移動させることができる。
このため、従来のように回転釜上部31を取り外すことなく、スリットsの幅を広げた後、ノズル23からエアーを吹き付けて目詰まりを解消する。また、スリットSの目詰まりを防止するために、スリットSにはノズル23からエアーを定期的に吹き付ける。
このため、スリットSの幅を広げてエアーを吹き付けることにより、目詰まりを解消することができるため、清掃時間の大幅な短縮ができる。
前記長穴35及びボルト36では、前記回転釜上部32の上下方向への移動が周壁31cが、回転釜下部32bの外周面32cに摺接することによってガイドされていると共に、再度、使用状態へ戻す際にも、前記回転釜上部31の移動が、前記長孔35によって鉛直方向へのみに限定されているので、徐々に下方に移動させながら、ボルト36による締め付け固定位置の位置決めが容易に行える。
このため、スペーサ等の交換を必要とせず、所定の位置で、ボルト36による締め付けによる固定をおこなうだけで、微細なスリットs幅の調整を行える。
〔考案の効果〕
この考案に係る遠心分離機により、回転釜が回転して、回転釜内の分散混合物から油が分離され、分離された油が、回転釜の周壁上部で分割された回転釜上部と回転釜下部の間のスリットから排出される。
また、固定手段の操作により、前記周壁部材が、回転釜下部の外周面に摺接しながら、該外周面にガイドされて、所定重量を有する回転釜上部であっても、安定させて回転釜下部に対して、鉛直方向へのみの移動に限定して移動させることができる。
このため、従来のように回転釜上部を取り外すことなく、釜下部から離反させてスリット幅を広げ、該スリットにエアー等を吹き付けることにより、目詰まりを解消することが出来る。
該固定手段では、前記回転釜上部の上下方向への移動が周壁によってガイドされていると共に、長孔によって鉛直方向へのみの移動に限定されているので再度、使用状態へ戻す際にも、徐々に下方に移動させながら、固定手段による固定位置の位置決めが容易に行える。
このため、スペーサ等の交換を必要とせず、所定の位置で、固定手段による固定をおこなうだけで、微細なスリット幅の調整を行える。
従って、回転釜の製作時間を削減することができると共に目詰まり解消のための清掃を容易に行え、清掃後の再度の使用状態へ戻す際の調整も容易に行える。
- 【登録番号】第2559981号
【登録日】平成9年(1997)9月26日
【発行日】平成10年(1998)1月19日
【考案の名称】遠心分離機
- 【出願番号】実願平2−127218
【出願日】平成2年(1990)11月28日
【出願人】
【識別番号】999999999
【氏名又は名称】
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 民雄
【審査官】 西村 和美
- ★当サイトのどのページも全てリンクフリーです、自由にお使いください
※以下のタグをホームページ中に張り付けると便利です。
-
当サイトではIPDL(特許電子図書館)の公報のデータを著作権法32条1項に基づき公表された著作物として引用しております、
収集に関しては慎重に行っておりますが、もし掲載内容に関し異議がございましたらお問い合わせください、速やかに情報を削除させていただきます。