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遠心分離機の冷却装置
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- 【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 遠心分離すべき試料を装填したロータを冷凍機により冷却されるロータ室内で高速回転させて遠心分離する遠心分離機において、前記冷凍機の熱交換器を前記遠心機の側壁の一面に配し、前記熱交換器を冷却するファンを前記熱交換器と対向する面に配したことを特徴とする遠心分離機の冷却装置。
【請求項2】 前記遠心分離機本体の底面に吸気口を設け、取り入れられた冷却風を前記熱交換器を通過させ、前記遠心分離機の本体後方から排出することを特徴とする請求項1記載の遠心分離機の冷却装置。
【請求項3】 前記熱交換器を側壁に対し傾斜して取り付けたことを特徴とする請求項2記載の遠心分離機の冷却装置。
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- 【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は医学、生化学、農芸化学等の分野で使用される遠心分離機の冷却装置に関するものであり、冷却装置の騒音低減を図るものである。
【0002】
【従来の技術】従来の冷却装置は、業務用冷凍機として市販されている汎用の冷凍機(コンデンシングユニット)を遠心分離機の内部に組み込んでいるため、図3のように遠心分離機の正面に熱交換器6を配置し、該熱交換器6のすぐ後にファン8を置き、更にその後方にコンプレッサ5があり、前面より吸気し後方へ排気していた。あるいは図3とは反対に後面に熱交換器6、その手前にファン8、そしてその前にコンプレッサ5を置き後面より吸気し前方へ排気していた。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】従来の冷却装置は、コンパクトなユニットになっているため、遠心分離機内に組込み易かった反面、運転音が大きかったという問題があった。この問題は熱交換器のすぐ後ろに熱交換器冷却用のファンが設置されているためである。このファンによって取り込まれた冷却風は、熱交換器に設けられたフィンの間を通過することにより熱交換を行っているが、ファンと熱交換器の距離が短いため冷却風の乱れが発生しやすく、結果的に騒音が発生し易くなると共に、熱交換器中での通風速度分布が大きくなってしまっていた。また冷凍機ユニットがコンパクトであるため、熱交換器の吸気面積が小さくなってしまっていたが、空気流路を長くすることすなわち厚さ方向を増して、放熱量を補っていた。しかし長い空気流路にすると大きな風路抵抗を生じるため、この風路抵抗を補うため騒音の大きい大型送風機を使用しており、結果的に大きな音が発生していた。更に発生した音は、熱交換器前方の吸気口からストレートに抜けてしまっており、大きな騒音を引き起こしていた。
【0004】本考案の目的は、上記した従来技術の欠点をなくし、冷却装置における騒音の低減を図ることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的は、冷凍機の熱交換器を遠心機の側壁の一面に配し、熱交換器を冷却するファンを熱交換器と対向する面に配することで、熱交換器とファンとの距離を離すことにより達成される。
【0006】また熱交換器の風路抵抗を減らすため熱交換器の厚さを薄くすると共に、縦及び横幅の寸法を大きくして熱交換のための表面積を確保し、且つ吸気面積を大きくすることによって、冷却風が広い吸気面全体をほぼ同速度で流れるようになることにより、騒音(風切音)の低減が達成される。
【0007】また吸気口を遠心分離機本体の底に設け、側壁の吸気口を無くす(又は減らす)と共に、傾斜して取付けられた熱交換器を通過した冷却風を本体後方から排気するようにしたことにより、コンプレッサやファンの音がストレートに遠心分離機外部に出ることを防ぐことにより達成される。更にコンプレッサを防音カバーで覆うことによりコンプレッサの運転音の低減が達成される。
【0008】また熱交換器は傾斜して取り付けることにより、遠心機本体を大形化することなく、吸気面積を大きくすることができる。
【0009】
【作用】上記した如く、熱交換器とファンの距離を十分に離したことにより、熱交換器のフィンを通過する冷却風の速度分布は一様に近い状態となり、風切音等の騒音を低減できるよう作用する。
【0010】
【実施例】本考案の実施例を図1に示す。分離しようとする生物試料や化学物質等の試料はロータ2に装填され、該ロータ2をドライブモータ1により高速回転する。遠心分離機のロータ2は通常毎分20,000回転程度で高速回転するため、空気抵抗の摩擦による発熱が大きく、これを冷却するため通常1.1Kw程度の冷凍機ユニットを利用している。冷凍機のコンプレッサ5で圧縮された冷媒は熱交換器6で液化され、冷却機(エバポレータ)7で蒸発・気化し、本考案ロータ室を構成するロータチャンバ3を冷却する。熱交換器6を冷却するための冷却風は、ファン8により本体の底に設けられた吸気口9を介して取り込まれ、熱交換器6のスリットを通過し、排気孔10より排出される。熱交換器6は図1に示すように従来のものより薄くしたものを傾けて取付け、図2に示すように遠心分離機本体下段前面に広く設置することにより熱交換のための表面積を減らさずに風路抵抗を減らし、風切音の発生を防いでいる。またコンプレッサ5には防音カバー12を取付け、騒音の発生を少なくしている。更に熱交換器6で発生する風切音やコンプレッサ5やファン8から発生する音を遠心分離機の前面にストレートに出さないために熱交換器6の前面に吸音材11を貼り付けている。なお、ファン8は図1中右側側面に設け、図1中左側側面に設けられた熱交換器6との距離を十分に離している。実際の遠心機に取り付けてみたところ、ファン8と熱交換器6との距離は約300mmであった。【0011】上記した実施例によれば、図3に示す従来構造の場合、本体正面1mの距離の騒音が62dB(Aスケール)であったものが、図1の構造では55dB(Aスケール)以下にすることができた。
【0012】
【考案の効果】本考案によれば遠心機の前面に、熱交換器を冷却するファンを後面に設け、ファンを熱交換器から十分に離したため、熱交換器のフィンを通過する冷却風の速度分布は一様に近い状態となり、風切音の発生を少なくすることができる。
- 【登録番号】第2570577号
【登録日】平成10年(1998)2月13日
【発行日】平成10年(1998)5月6日
【考案の名称】遠心分離機の冷却装置
- 【出願番号】実願平3−60331
【出願日】平成3年(1991)7月31日
【出願人】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】日立工機株式会社
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