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間接押出プレス用フリーダイス
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- 【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 間接押出プレスのダイステム先端に配置され,コンテナとの相対移動によりコンテナ内部に装填されたビレットの加圧押出をなすダイス本体とシールリングで構成されたフリーダイスであって,中心部に製品形状を決定するベアリング孔を有するダイス本体と,前記ダイス本体のダイステム当接側を小径に形成するとともに,この小径部外周にコンテナのビレット装填孔に摺接するシェル掻き落とし用シールリングを着脱可能に嵌挿して取付けたことを特徴とする間接押出プレス用フリーダイス。
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- 【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は間接押出プレスのフリーダイスに係り,特にフリーダイスの外周面にコンテナ内面をクリーニングするシールリングを採用することにより,押出中に除去されたコンテナシェルを取除き,ダイステムの先端に清掃されたシールリングをダイス本体に再嵌装して,同一ダイス本体の連続再使用を可能にした間接押出プレス用フリーダイスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】アルミ合金の間接押出では表面品質を確保するため、押出後、コンテナ内壁面に付着したコンテナシェルを除去することが必須である。従来、このようなコンテナ内壁面のシェル除去手段として図6および図7に示す手段が用いられている。図5は押出プレス全体の正面図、図6はダイステムの先端にフリーダイスを配設した要部断面図、図7はダイステムの先端にフィックスダイスを装着した要部断面図を示す。
【0003】図5において、符号21は固定盤22に取付けたメインシリンダ、23はメインシリンダ21に摺動自在に取付けたメインラム、符号20はメインラム23に連結した移動枠であり、移動枠20は図示していないガイド上を摺動させるようにした。メインラム23は移動枠20の前進用であり、移動枠20の後退用としては、固定盤22にシリンダ25を固定し、シリンダ25のピストンロッド26を移動枠20の一部に固定した。また、ピアサクロスヘッド27を軸線方向に摺動可能に設け、ピアサクロスヘッド27を、ピアサシリンダ29中に摺動自在に取付けたピアサラム28に取付けた。ピアサラム28はピアサクロスヘッド27前進用のラムである。ピアサクロスヘッド27には図示しない後退用のシリンダが取付けてある。
【0004】符号8aは移動枠20の先端に取付けた円筒状の押出ステム,5は押出ステム8a中に摺動可能に設けたマンドレルであり先端部にチップ部5aを有している。マンドレル5はマンドレルホルダ6にねじで締結され,ウォーム機構7によってマンドレルホルダ6が回動されたり,マンドレル5とマンドレルホルダ6間のねじが締付けられたりする。そして,前記マンドレル5およびマンドレルホルダ6は,メインクロスヘッド8に保持され,マンドレル5とメインクロスヘッド8とはそれぞれ別々の油圧機構によって往復動される。
【0005】図5に示すようにコンテナホルダ1は、エンドプラテン2に接して設けられるダイスに対向する位置に、油圧シリンダ4によって水平な軸線方向に移動可能に取付けられ、その内部にコンテナ1aを有し、コンテナ1a内にはビレット10が収納される。一方、コンテナホルダ1とメインクロスヘッド8の中間位置には、ビレットローダ9が設置されており、また、マンドレル交換装置も前記ビレットローダ9の位置に配置されている。また、前記エンドプラテン2の反押出側に向かって突設したダイステム11が前記押出ステム8aと同軸上に設けられている。
【0006】ビレット10の押出時にはダイステム11の自由先端部にダイス3を配設してあり、ダイス3を通してビレット10を押出加工している。ところで、前記ダイス3をダイステム11の前面に配設する手段として次に示す2つの方法がある。すなわち、1つは図6に示す一体型のフリーダイス3c、もう1つは図7に示すフィックスダイス3dである。フィックスダイス3dの場合はダイステム11にバイオネット方式によって容易に着脱可能なように構成されている。さらに、ダイス3dの外周には後記するシールリング12が押出方向に挿抜自在に嵌装してある構成になっている。なお、符号15は切断装置である。
【0007】こうした間接押出プレスの作動をフリーダイス3cを用いた場合について述べる。まず,コンテナ1aを前進させダイス3cに当接する。ついで,ビレットローダ上にビレット10およびダミーブロック9を載置し,コンテナ1aを後退させてコンテナ1a中に円筒状のビレット10を装入する。ダイステム11とコンテナ1a間にフリーダイス3cを搬入した後,メインラム23を前進させコンテナ1aを押圧することにより,フリーダイス3cをコンテナ1a内に挿入し,フリーダイス3cを介してビレット10をダイステム11に押付ける。つぎに,ピアサラム28を作動させてマンドレル5を前進してビレット10を挿通し,マンドレル5の先端チップ部5aをダイス3cの製品押出部の中心位置に固定する。つづいて,メインラム23を再び前進させて押出ステム8aを前進させるとともに,コンテナ1aも前進させてビレット10を押圧し,ダイス3cから製品としての管を押出す。ビレット10の押出しが終了した後,先にピアサラム28を作動させてマンドレル5を後退し,次いでメインラム23を作動させて押出ステム8aを後退する。つづいて,図示しないコンテナ移動用シリンダを作動させてコンテナ1aをダイス3cから離反させる。つぎに切断装置を作動させ,切断刃を下降させることにより押出管14とディスカードとを切断し一連の動作を完了する。
【0008】
【考案が解決しようとする課題】しかし,ダイス3が一体型のフリーダイス3cのものでは同一形状のダイス3cを2個以上製作することになり押出管14の肉厚精度はダイステム11の芯精度の影響を受けないものの,ダイコストが掛るとともに,厳密な公差の要求される押出管14等では,寸分の狂いもない同一ダイスの製作が困難である。また,ダイステム11の先端にダイス3を取付けるフィックスダイス3dのもので,ダイス3dの外周面上に後記するシールリング12を嵌装したものがあるが,ダイステム11とダイス3dとはバイオネット方式で固定してあるために,押出管14の肉厚精度はダイステム11の芯精度の影響を受ける。また,ダイス3の手入時やダイス3の交換時には,ダイス3を載置したダイスライドを移動してダイステム11をプレス中心位置からプレス機外へ一々出して行なう必要があり,このためプレス動作を中断しなければならないといった問題があった。
【0009】本考案は,上記従来の問題点に着目し,一体型のダイスをダイス本体とシールリングに分離して挿抜可能に嵌装したダイス組立体として,コンテナをクリーニングするシールリングに付着したシェルの除去作業がプレスサイクルに影響を及ぼすことなく,かつ,ダイステムの芯精度の影響を受けないようにしたフリーダイスを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために,本考案では,間接押出プレスのダイステム先端に配置され,コンテナとの相対移動によりコンテナ内部に装填されたビレットの加圧押出をなすダイス本体とシールリングで構成されたフリーダイスであって,中心部に製品形状を決定するベアリング孔を有するダイス本体と,前記ダイス本体のダイステム当接側を小径に形成するとともに,この小径部外周にコンテナのビレット装填孔に摺接するシェル掻き落とし用シールリングを着脱可能に嵌挿して取付けた構成にする。
【0011】
【作用】ダイス本体およびシールリングの組立体からなるフリーダイスをダイステムの前端面に配設し,押出ステムの前進によってコンテナ内に装填されたビレットの押出しを行なう。押出完了後はプレス機外よりプレスポジションにダイローダを移動してコンテナシェルの付着したフリーダイスをクランプして後退させ取出す。この後コンテナシェルを除去して清掃されたフリーダイスをダイローダ上に載置してプレス中心位置まで移動し再度プレス機によってビレットの押出しに供される。
【0012】
【実施例】以下、本考案に係る間接押出プレス用フリーダイスの具体的実施例を図面を参照して詳細に説明する。図1および図2は本考案実施例のフリーダイスを用いた工程順序説明図、図3および図4はシールリングに付着したコンテナシェルの除去工程説明図である。間接押出プレス全体の構成は図5に示す従来のものと同構成であるからその詳細な説明を省略し、以下図1〜図4を用いて本考案との関連箇所のみを説明する。
【0013】コンテナ1aは図示されないコンテナホルダ1ならびに移動手段によってダイステム11に向かって前進する。ビレット10の通過孔を中心に有するダイステム11の先端にはコンテナ内壁面41に付着したコンテナシェル17を掻き落とすシールリング53を有したフリーダイスすなわちダイス組立体50が配設されている。
【0014】ダイス組立体50は,ダイス本体51およびシールリング53から構成されている。ダイス本体51は外周が円形状を有するとともに,中心部に製品通過孔51aが穿設されている。ダイス本体51は,内部が中空でかつ外部が直胴円筒状を有した小径部51bと,前記小径部51bの軸方向他端(押出ステム8a側)に径外方向に突出されるリング状の基端部51cからなり,基端部51cの製品通過孔51aの一部に押出管14の形状を決めるベアリング部51dが設けられている。
【0015】一方,前記ダイス本体51の外周部にコンテナ内壁面41をクリーニングするためのシールリング53が,ダイス小径部51bの反基端部51c側から着脱可能に嵌挿して同軸的に取付けられ,ビレット10の押出中にはダイス組立体50の一部としてコンテナ内壁面41に生じたコンテナシェル17の掻き落としができるようになっており,これらシェル17はコンテナ1aとシールリング53とダイス本体51の基端部51c間に形成される空間部33に堆積されるようになっている。
【0016】本実施例では,一旦,シールリング53に付着したコンテナシェル17の除去作業をシェル除去装置60によりシールリング53に付着したコンテナシェル17を素早く除去後,再度ダイス本体51の小径部51bに嵌挿するいわゆるダイス本体51が1つに対してシールリング53を1つ用いたダイス組立体50によってプレスサイクルを中断することなく実施できる構成となっている。
【0017】前記ダイス組立体50を構成するダイス本体51およびシールリング53の外径寸法はつぎのようになっている。すなわち,ビレット10の押出中にダイステム11側に当接するシールリング53の外径(D1)と,ビレット10側に当接する側のダイス51の基端部51cの外径(D2)はD1>D2となっている。このような寸法構成のダイス組立体50を一定径Dを有したコンテナ1a内に装填されるとダイス51の基端部51cの外径D2間には((D−D2)/2=)t0の隙間を有し,コンテナ1aの内径Dとシールリング53の外径D1間には((D−D1)/2=)t1の隙間を有した状態となり,t0>t1の関係を持つ。
【0018】一般的に,前記t1は微小なほぼ零に近い寸法とし,前記t0はコンテナ内壁面41に付着したコンテナシェル17の高さより大きくなるように構成されている。コンテナ1a内に装填されたビレット10が押出ステム8aの前進によってコンテナ1aとともに固定されたダイステム11に向かって前進するとコンテナ1a内のビレット10は押出管14として押出成形される。このとき,ダイステム11の前方に位置するダイス組立体50のダイス本体51の基端部51cではコンテナ内壁面41に付着したコンテナシェル17をクリーニング(掻き落とす)することなく通過するものの,シールリング53によってコンテナシェル17はコンテナ内壁面41より掻き落とされクリーニングされる。
【0019】これら掻き落とされたコンテナシェル17はダイス本体51の基端部51cとシールリング部53間に形成された空間部33に逐次堆積されるような構成になっている。
【0020】本考案による間接押出プレスのプレスサイクルについて述べると,図1(1)にビレット10の押出状態を示すように,まず,従来同様ビレット10をコンテナ1a内に装填した後,図示しないピアサラム28を作動させてマンドレル5を前進してビレット10を挿通し,マンドレル5の先端チップ部5aをダイス本体51のベアリング部51dの中心位置に固定する。つづいて,先端部にフリーダミーブロック24の配設された押出ステム8aを矢印のようにダイステム11に向かって移動すると,フリーダイス50によってコンテナ1a内のビレット10は押出管14として押出成形され,ダイステム11内に通過してエンドプラテン側に排出され,この間接押出中にシールリング53によって,コンテナ内壁面41に付着したコンテナシェル17が除去され,シェル17は空間部33に堆積される。
【0021】押出しが終了すれば、ディスカード40(ビレット10の押粕)はコンテナ1aの図に向かって右方に突き出され(図1(2))、ディスカード40が既知の切断刃42の前進動作によって押出管14と分離切断され(図2(1))、一方、押出ステム8aは矢印に示すようなビレット10の押出方向と反対方向に後退する。
【0022】次いで、図2(2)に示すように、コンテナ1aが図に向かって左方に若干再移動して、ダイス組立体50がコンテナ1aの右端外に露出するとともに、図示しないダイアンローダをプレス機外のポジションよりプレスポジションに移動し、ダイアンローダ装置に設けたクランプがプレス中心軸線と同心状に位置して、前記露出したダイス組立体50を確実、かつ、強固に把持することになる。この後、ダイアンローダ装置は、プレス機外のスタートポジションまで後退させ、ダイス組立体50を取除き、ダイス本体51とシールリング53に分解されシールリング53に付着したコンテナシェル17の除去に供される。
【0023】シールリング53に付着したコンテナシェル17の除去作業は前記した押出プレス本体におけるビレット10の押出工程とは別の工程にて行なわれる。図3および図4によってシールリング53に付着したコンテナシェル17の除去工程を説明する。
【0024】押出終了後,コンテナ1a外に取出されたダイス組立体50を押出プレス本体とは別位置に設けられたシェル除去装置60を用いてコンテナシェル17が除去される。シェル除去装置60はシールリング53をクランプするクランプ部61と,シールリング53に付着したコンテナシェル17をたたき落とすノッカ62と,ダイス本体51の小径部51bの外周面に付着したコンテナシェル17を除去するブレード63から構成されている。
【0025】シールリング53の外方で半径方向(放射状)にかつ等間隔に4本のクランプ部61を有し,2本1組で対向位置に移動自在に配設されている。前記クランプ部61と同方向の垂直上方に配設されたノッカ62がシールリング53の側面に沿って上下移動自在に配設されている。さらに,ダイス本体51の基端部51cのシールリング53側に隣接してブレード63が半径方向にかつ4分割されて移動自在に配されている。
【0026】まず、コンテナシェル17の付着したダイス組立体50のシールリング53部をクランプ部61で挟持する(図3(1))。次に、ダイス本体51の小径部51b側端面を例えばNO.1プッシャ30Lで押してシールリング53に嵌挿されているダイス本体51を取出す(図3(2))。この後、ノッカ62を下降させるとシールリング53に付着したコンテナシェル17は強制的に除去される(図3(3))。一旦下降したノッカ62はコンテナシェル17の除去完了後上昇させ元の位置にて待機させるとともに、ブレード63も同時に後退させる(図4(1))。こうして、コンテナシェル17の除去されたシールリング53にダイス本体51をNO.2プッシャ30Rで押圧して再嵌挿させて(図4(2))、ダイス組立体50として次回の使用に備える(図4(3))。
【0027】
【考案の効果】以上説明したことからも明らかなように,本考案では,間接押出プレスのダイステム先端に配置され,コンテナとの相対移動によりコンテナ内部に装填されたビレットの加圧押出をなすダイス本体とシールリングで構成されたフリーダイスであって,中心部に製品形状を決定するベアリング孔を有するダイス本体と,前記ダイス本体のダイステム当接側を小径に形成するとともに,この小径部外周にコンテナのビレット装填孔に摺接するシェル掻き落とし用シールリングを着脱可能に嵌挿して取付けたことにより,同一ダイス本体の連続再使用が可能となり,厳密な交差の要求される押出管の製造が可能となる。また,プレス動作を中断することなく連続して押出しが可能となり生産性が向上する。さらに,ダイス本体とシールリングを嵌合した部分では,ガタがほとんどなく,また,フリーダイスであるためダイステムの芯精度の影響を受けず,押出管の肉厚精度が向上する。
- 【登録番号】第2554997号
【登録日】平成9年(1997)8月1日
【発行日】平成9年(1997)11月19日
【考案の名称】間接押出プレス用フリーダイス
- 【出願番号】実願平3−114262
【出願日】平成3年(1991)12月20日
【出願人】
【識別番号】000000206
【氏名又は名称】宇部興産株式会社
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