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コイル先端鼻曲げ装置
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- 【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 コイルから巻戻した帯材先端部を挟持及び送給する上下一対のピンチロールと、該ピンチロールの出側で昇降し、前記ピンチロールによって挟持した前記帯材先端部の曲りを矯正して平坦化する鼻曲げロールと、該鼻曲げロールを支承するアームに連結し、該ロールを昇降させる昇降シリンダを有する昇降装置とを具備したコイル先端鼻曲げ装置において、前記鼻曲げロールの昇降装置に設けられ前記昇降シリンダの昇降ストロークを検出する昇降ストローク検出器と、該検出器に接続し、切替弁を介して圧力を昇降シリンダに加え、鼻曲げロールを目標位置に移動する昇降ストローク制御手段とを具備し、前記昇降ストローク制御手段を、各種の前記帯材の仕様に応じた前記鼻曲げロールの目標ストロークが予め記憶されたストローク算出・記憶部と、前記昇降ストローク検出器で検出された昇降ストロークを前記ストローク算出・記憶部に憶された各種の目標ストロークの中から前記帯材の仕様に応じて選択された目標ストロークと比較するストローク比較部と、この比較部での比較結果が一致するまで前記切替弁による前記昇降シリンダの昇降作動を継続させる指示を出す切替弁作動指示部とを有して形成したことを特徴とするコイル先端鼻曲げ装置。
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- 【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、コイルから巻戻した帯材の先端曲り部を曲げ戻して平坦化し、下流ラインの通板性を向上させる、コイル先端鼻曲げ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図4は従来のコイル先端鼻曲げ装置の一例を示す側面図である。
【0003】図4において、31は鼻曲げロールであり、軸34の両端部の下ピンチロール33と軸受ブロック35との間に回動自在に枢着されたアーム32に、回転自在に軸着されている。
【0004】36は昇降シリンダであり、架台40に揺動自在に枢着され、そのロッド部36aはアーム32に連結されている。
【0005】37はアジャストロッドであり、架台40に揺動自在に枢着されたガイド39に摺動自在に嵌挿されてその上端部はアーム32に連結され、その下端のねじ部37aにはアジャストナット38が螺合されている。41は上ピンチロール、43は巻戻し機である。
【0006】次にその作動について説明すると、予め、帯鋼46の板厚、材質等の仕様によって、鼻曲げロール31の上昇高さを決定し、この高さでアジャストナット38の位置を設定しておく。
【0007】そして、巻戻し機43によって、帯鋼コイル45から帯鋼46を巻戻し、この帯鋼先端部46aを上下ピンチロール41,33によって所要の位置で挟持し、巻戻しを停止する。
【0008】次に、2点鎖線で示すように、アーム32を昇降シリンダ36によって軸34を中心にして回動し、アジャストナット38がガイド39に当接するまでアジャストロッド37及び鼻曲げロール31を上昇させて下方に曲っている帯鋼先端部46aを上方に曲げ戻して平坦にする。
【0009】次に、昇降シリンダ36によって、鼻曲げロール31、アーム32及びアジャストロッド37を元の位置に下降させ、巻戻し機43及び上下ピンチロール41,33を作動し、通板性が向上した帯鋼先端部46aを図示しない帯鋼処理ラインに送給する。
【0010】帯鋼46の仕様が変更されると、その仕様によってアジャストナット38の位置を変更し、前述と同様の手順で帯鋼先端部46aを平坦にする。
【0011】
【考案が解決しようとする課題】ところで前述のような従来の装置では、帯鋼46の仕様が変更される毎に、作業員がライン内に入ってアジャストナット38の位置を変更し、鼻曲げロール31の上昇高さを調節するので不安全であり、自動化の妨げになっていた不具合がある。
【0012】また、アジャストロッド37、アジャストナット38、ガイド39等の部材点数が多くて、装置が複雑になっていた不具合もあった。
【0013】本考案はこれら各不具合を解消し、装置の自動化を容易にし、作業者の安全を図ることができるコイル先端鼻曲げ装置を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するための構成として請求項1 の考案に係るコイル先端鼻曲げ装置は、コイルから巻戻した帯材先端部を挟持及び送給する上下一対のピンチロールと、該ピンチロールの出側で昇降し、前記ピンチロールによって挟持した前記帯材先端部の曲りを矯正して平坦化する鼻曲げロールと、該鼻曲げロールを支承するアームに連結し、該ロールを昇降させる昇降シリンダを有する昇降装置とを具備したコイル先端鼻曲げ装置において、前記鼻曲げロールの昇降装置に設けられ前記昇降シリンダの昇降ストロークを検出する昇降ストローク検出器と、該検出器に接続し、切替弁を介して圧力を昇降シリンダに加え、鼻曲げロールを目標位置に移動する昇降ストローク制御手段とを具備し、前記昇降ストローク制御手段を、各種の前記帯材の仕様に応じた前記鼻曲げロールの目標ストロークが予め記憶されたストローク算出・記憶部と、前記昇降ストローク検出器で検出された昇降ストロークを前記ストローク算出・記憶部に憶された各種の目標ストロークの中から前記帯材の仕様に応じて選択された目標ストロークと比較するストローク比較部と、この比較部での比較結果が一致するまで前記切替弁による前記昇降シリンダの昇降作動を継続させる指示を出す切替弁作動指示部とを有して形成したことを特徴としている。
【0015】
【作用】前記のように構成した請求項1の考案に係るコイル先端鼻曲げ装置は、作業開始以前に、昇降ストローク制御手段のストローク算出・記憶部に各種帯材の板厚、材質等の各々の仕様による先端部鼻曲げに必要な鼻曲げストロークの目標ストロークが予めプログラムされている。そして、実際の鼻曲げ動作を開始する前においては、これから鼻曲げ加工する帯材の仕様を昇降ストローク制御手段のストローク算出・記憶部に入力して、それに応じた目標ストロークを選択し記憶させておく。つまり、ラインの外部に設置される昇降ストローク制御手段への入力操作により、帯材の仕様変更に応じて、それに適する目標ストロークを選択して、この選択された目標ストロークをストローク記憶部に記憶させる。【0016】そして、帯材コイルから帯材を巻戻し、この先端部をピンチロールによって所要の位置で挟持し、巻戻しを停止する。次に、昇降ストローク制御手段によって昇降装置の昇降シリンダを作動させ、鼻曲げロールを上昇(巻戻された帯材の先端部が上方に曲がっている場合は帯板先端部の上方から鼻曲げロールを下降)させながら、この昇降ストロークを昇降ストローク検出器によって検出し、昇降ストローク制御手段のストローク比較部において目標ストロークと比較する。
【0017】この比較結果が一致するまで前記昇降ストローク制御手段の切替弁制御部は、昇降シリンダの作動が継続するように切替弁に指示を出し、それにより、鼻曲げロールが目標ストロークを移動して曲がっている帯材の先端部を曲げ戻して平坦にすると昇降装置は停止される。そして、鼻曲げロールを元の位置に移動させて巻戻しを再開し、前記曲戻しにより通板性が向上した帯材先端部をピンチロールによって下流ラインに送給する。
【0018】帯材の仕様が変更される場合には、その度に変更された仕様が昇降ストローク制御手段のストローク算出・記憶部に入力されるから、この記憶部に予め記憶されていて前記変更された仕様に対応した目標ストロークが選択される。そのため、この変更された目標ストロークにしたがって以後の鼻曲げ作業が前述と同様の手順で実行されて帯材の先端部を平坦にする。
【0019】
【実施例】以下図面により本考案の1実施例について説明する。図1は本考案の一実施例である、コイル先端鼻曲げ装置を示す側面図、図2は図1の制御盤の構成を示すブロック図、図3は制御手順を示すフロー図である。
【0020】なお、従来の装置と同一の部材及び部位には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0021】図1において、1は市販のポテンショメータを利用したストローク検出器であり、架台9に揺動自在に枢着された昇降シリンダ3に装着され、そのワイヤ1aは昇降シリンダ3のロッド部3aに連結されている。
【0022】この昇降シリンダ3のロッド部3aは、従来の装置と同様に、下ピンチロール33の軸34に回動自在に枢着されたアーム2に連結されている。また、昇降シリンダ3のヘッド側及びロッド側には切替弁5が連結されている。
【0023】10は制御盤であり、ストローク検出器1及び切替弁5が連結されており、該制御盤10は、図2に示すようにストローク検出器1が連結されたストローク比較部11と、ストローク算出・記憶部12と、切替弁5に連結された切替弁作動指示部13とを有する昇降ストローク制御手段を具備している。
【0024】次に本装置の作用について説明する。まず、ストローク算出・記憶部12には、各種の帯鋼46の板厚、材質等の各々の仕様による帯鋼先端部46aの鼻曲げに必要な鼻曲げロール31の上昇高さ(昇降シリンダ3の目標とするストローク、つまり、本実施例では、以下所要ストロークと称する。)が予めプログラムされている。そして、実際に鼻曲げ動作を開始する前においては、制御手順のフローを示す図3に記載のように、これから鼻曲げ処理しようとする帯鋼46の仕様をストローク算出・記憶部12に入力(ステップ51)する。それにより、これから鼻曲げ処理しようとする帯鋼46の仕様に応じた所要ストロークが、ストローク算出・記憶部12の中から選択され、それはストローク比較部11に基準値として記憶(ステップ52)される。【0025】そして、巻戻し機43によって、帯鋼コイル45から帯鋼46を巻戻し、この帯鋼先端部46aを上下ピンチロール41,33によって所要の位置で挟持し、巻戻しを停止する。
【0026】次に、切替弁作動指示部13によって切替弁5を上昇にし、図2に2点鎖線で示すように、アーム2を昇降シリンダ3によって軸34を中心に回動して鼻曲げロール31を上昇(ステップ53)させながらこの上昇ストロークをストローク検出器1によって検出(ステップ54)し、ストローク比較部11によって所要ストロークと比較(ステップ55)する。
【0027】鼻曲げロール31が所要ストロークに上昇して下方に曲がっている帯鋼先端部46a を上方に曲げ戻して平坦にすると、切替弁作動指示部13によって切替弁5をブロックにして昇降シリンダ3による鼻曲げロール31の上昇を停止し、さらに切替弁5を下降にして鼻曲げロール31及びアーム2を元の位置に下降(ステップ56)させ、巻戻し機43及び上下ピンチロール41,33を作動し、前記鼻曲げにより通板性が向上された帯鋼先端部46aを図示しない帯鋼処理ラインに送給する。
【0028】帯鋼46の仕様が変更される場合には、その仕様をストローク算出・記憶部12に入力して変更された仕様に応じた所要ストロークに変更する。このストローク変更は制御盤10での入力操作で済むから、作業員が仕様変更の度にラインに入って作業をする必要がない。そして、この変更後には、前述と同様の手順で帯鋼先端部46aを平坦にする。
【0029】以上本考案の1実施例につき縷々説明したが、本考案は上記実施例に限定されるものでなく、本考案技術思想の範囲内において種々設計変更が可能であり、それらは何れも本考案の技術的範囲に属するものである。
【0030】
【考案の効果】請求項1 に係る考案によれば、鼻曲げロールの昇降装置に設けた昇降ストローク検出器と、この検出器により検出される鼻曲げロールの昇降ストロークを帯材の仕様に応じて自動的に制御する昇降ストローク制御手段とを備え、この制御手段を、各種の帯材の仕様に応じた鼻曲げロールの目標ストロークが予め記憶されたストローク算出・記憶部と、昇降ストローク検出器で検出された昇降ストロークをストローク算出・記憶部に憶された各種の目標ストロークの中から帯材の仕様に応じて選択された目標ストロークと比較するストローク比較部と、この比較部での比較結果が一致するまで昇降シリンダに圧力を加える切替弁による昇降シリンダの昇降作動を継続させる指示を出す切替弁作動指示部とを有して形成したことにより、帯材の仕様が変更されても、その仕様を昇降ストローク制御手段に入力するだけの手間で、鼻曲げロールの昇降高さを自動的に調節して帯材先端部の曲りを正確に矯正することができる。従って、装置の自動化が容易になるとともに、仕様変更に伴う鼻曲げロールの調節において作業員がラインに入っていく必要がなく作業員の安全性が向上する。
【0031】また、昇降装置の部材点数を減少して装置を簡単にすることができる。
- 【登録番号】第2585171号
【登録日】平成10年(1998)9月4日
【発行日】平成10年(1998)11月11日
【考案の名称】コイル先端鼻曲げ装置
- 【出願番号】実願平5−62747
【出願日】平成5年(1993)10月29日
【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外6名)
【審査官】 中澤 登
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