スポンサード リンク
連続鋳造機のロングノズル循環装置
スポンサード リンク
- 【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】鋳込位置およびプリフイリング位置にそれぞれ設置されたロングノズル着脱装置と、前記鋳込位置から前記プリフイリング位置まで往復移動するロングノズル移送台車とを有し、前記プリフイリング位置で前記ロングノズルが前記ロングノズル移送台車からレードルに装着されて該レードルと共に鋳込位置まで回動し、鋳込終了後該レードルから前記ロングノズルが外されて前記ロングノズル移送台車上に搭載されて前記プリフイリング位置まで戻されることを特徴とする連続鋳造機のロングノズル循環装置。
スポンサード リンク
- 【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、連続鋳造機のロングノズル循環装置に関し、特にプリフイリング鋳込方式による連続鋳造機において、レードル底部に取り付けられるロングノズルをプリフイリング位置からモールドへの鋳込位置まで循環移送できるようにしたロングノズル循環装置に関する。
【0002】
【従来の技術】連続鋳造機においては従来から、タンディッシュのモールド鋳込位置への移動および鋳込み後のタンディッシュの退却の動作をスムーズにするためにタンディッシュが鋳込準備位置から鋳込位置、排滓位置を経て再び鋳込位置に戻るように円形レール上を一方向に循環移動するタンディッシュ回動式の連続鋳造機が知られている(例えば特公昭52−33049号公報、特公昭53−40566号公報など)。また鋳込準備時間をさらに短縮するためにタンディッシュが鋳込位置の手前の定位置で注湯を完了し、この状態でタンディッシュを鋳込位置へ移動させるいわゆるプリフイリング鋳込方式を採用した連続鋳造機も既に提案している。即ち、例えば特願平4−194773号明細書によれば、レードル、タンディッシュおよびプラズマトーチを同心状に移動するように配置し、これらを同期して回動させつつ鋳込位置の手前から前記タンディッシュへの注湯、加熱を行い、前記鋳込位置でモールドへの鋳込みを行う鋳込み方法および循環鋳込装置を提案している。
【0003】一般に連続鋳造機では、レードルからタンディッシュ内に溶鋼を注湯する際、ロングノズルあるいはエアーシールパイプと称する長尺の注湯ノズルをレードル底部の溶鋼注ぎ口に圧着した後、レードルと共に下降させてノズル下端をタンディッシュ内に浸漬させて注湯する。従来、この種のロングノズルは、鋳込位置で操作デッキ上に設置したノズル保持装置を用いて可動状態に保持し、シリンダ装置によってレードル底部に押し付け、1回の注湯が完了するとレードルから取り外して操作デッキ上に仮置し、溶鋼の入った次のレードルがくると再び保持装置でレードル底部に圧接して注湯作業を行っている。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】上述した如く従来の連続鋳造機においては、鋳込み後レードルからロングノズルを取り外し、鋳込位置の操作デッキ上に仮置きしておき、次のレードルがくると再びロングノズルを該レードルに取り付けるので、その作業に時間がかかり、鋳込作業の能率を阻害していた。また、前述した特願平4−194773号の循環鋳込装置では、鋳込位置の手前からレードルとタンディッシュを同期して移動させ、この移動中にタンディッシュへの注湯を行うので、鋳込位置への到達後、直ちにモールドへの鋳込開始が可能となり、生産性の向上が図れるものの、ロングノズルを鋳込位置とプリフイリング位置の間で循環移送する機構がないために、この循環鋳込装置でプリフイリング鋳込を行おうとすると、複数本のロングノズルをプリフイリング位置に準備しておき、該位置でレードル底部に順次ノズルを装着し、注湯しつつ鋳込位置まで移動させて取り外すという方法をとらざるを得ず、コスト高となる問題があった。
【0005】そこで本考案は、タンディッシュを一方向に循環移動させつつ1個のロングノズルを繰り返し使用して低コストでプリフイリング鋳込を行えるようにした連続鋳造機のロングノズル循環装置を提供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本考案による連続鋳造機のロングノズル循環装置は、鋳込位置およびプリフイリング位置にそれぞれ設置されたロングノズル着脱装置と、前記鋳込位置から前記プリフイリング位置まで往復移動するロングノズル移送台車とを有し、前記プリフイリング位置で前記ロングノズルが前記ロングノズル移送台車からレードルに装着されて該レードルと共に鋳込位置まで回動し、鋳込終了後該レードルから前記ロングノズルが外されて前記ロングノズル移送台車上に搭載されて前記プリフイリング位置まで戻されるように構成されている。
【0007】
【実施例】次に、本考案を実施例について図面を参照して説明する。図1は本考案の1実施例によるロングノズル循環装置を有する連続鋳造機の概略的な平面図であり、図2は図1の実施例おけるレードルターレットの旋回中心での垂直断面図である。レードルターレット1は中心の旋回軸2の直径方向両側部から一組の腕部3が延在し、その先端にそれぞれレードル4,4aを保持して該旋回軸のまわりを回転駆動される。レードルターレット1の下方で鋳造床5上に、前記旋回軸2と同芯の2体の隔置された円形レール6が設置され、このレール6上をタンディッシュ7を搭載したタンディッシュカー8が前記レードルターレット1の回転速度(角速度)と同じ速度で同方向に回動するようになっている。ここでタンディッシュカー8はレードルターレット1に保持されたレードル4に対峙するように位置合せされており、レードル4内の溶鋼はレードル底部のロングノズル9(図2)を通してタンディッシュ7へ注湯される。レードルターレット1の旋回軸2上端にはロータリジョイント10が設けられ、図示しない外部供給源から該旋回軸2の内部を通して、さらにロータリジョイント10および中空アーム11を介してタンディッシュ7の稼動に必要な気体,液体等のユーティリティをタンディッシュ7に供給するようになっている。
【0008】円形レール6に沿って走行するタンディッシュカー8上のタンディッシュ7は該円形レール6上の所定箇所で鋳込位置Bに対峙し、この位置でタンディッシュ底部の浸漬ノズル12(図2)を介して下方の鋳型13内に溶鋼の鋳込みが行われる。図1に示すように、鋳込位置Bからレードルターレット1の旋回中心角で約90゜手前の位置をプリフイリング開始位置Aとし、このプリフイリング開始位置Aから鋳込位置Bにわたって円形レール6の外側にロングノズル移送台車14の走行レール15が円形レール6と同芯状に設けられている。またプリフイリング開始位置Aおよび鋳込位置Bにはそれぞれロングノズル着脱装置17,20が旋回可能に設けられている。この実施例のロングノズル移送台車14は、図3に示すように、駆動モータ18を備えプリフイリング開始位置Aと鋳込位置B間を往復移動する自走式台車であり、ロングノズル着脱装置20から受け取ったロングノズル9を保持してプリフイリング開始位置Aへ移送するようになっている。また図示していないが、プリフイリング開始位置Aから鋳込位置Bにわたって円形レール6の外側にプラズマトーチ台車の走行レールが円形レール6と同芯に設けられている。プラズマトーチ台車はプラズマトーチを搭載してこの走行レール上をプリフイリング開始位置Aから鋳込位置Bまで往復移動するが、往行時、即ち鋳込位置Bへ向って移動するときはタンディッシュカー8と同速度(角速度)で該タンディッシュカー8と一緒に移動するようになっている。19はレードル操作デッキである。
【0009】溶鋼の入ったレードル4がクレーン等で運ばれてきてレードルターレット1の一方の腕部先端に保持され、プリフイリング開始位置Aに保持される。このときロングノズル移送台車14はプリフイリング開始位置Aに移動しており、該位置のロングノズル着脱装置17の旋回アーム21が台車14上のロングノズル9を把持して下降し、かつレードル4側へ旋回し、該レードル底部の溶鋼注ぎ口にロングノズル9を圧着する。この状態でプリフイリング開始位置Aでレードル4からその下方のタンディッシュカー8上のタンディッシュ7に溶鋼の注入が開始され、同時にプラズマトーチによりタンディッシュ内溶鋼が加熱されるとともにレードルターレット1,タンディッシュカー8およびプラズマトーチ台車が同時に起動され、同速度で鋳込位置Bまで移動する。この移動中にもレードル4からの注湯,プラズマトーチによる溶鋼加熱が続けられ、タンディッシュ7に溶鋼が所定量注湯された時点で鋳込位置Bにて鋳型13への鋳込みが開始される。鋳込開始後プラズマトーチ台車は元のプリフイリング開始位置Aへ戻る。またタンディシュカー8の鋳込位置Bへの移動と前後してロングノズル移送台車14が鋳込位置Bへ移動し、鋳込み中にレードル4が空になると、鋳込位置Bのロングノズル着脱装置20が作動し、空になったレードル4からロングノズル9を外してロングノズル移送台車14上に搭載する。台車14はロングノズル9を保持して再びプリフイリング開始位置Aに戻り、また空のレードル4はレードルターレット1の回転によりプリフイリング開始位置Aと180゜反対側の退避位置Cに移動し、予め溶鋼を充填した新しいレードルと交換される。このレードル4の交換を数回繰返し、鋳込みを継続する。そして、継続鋳込みによってタンディッシュ7の保持・点検が必要になると、タンディッシュカー8をレードルターレット1と共に前述と同じ方向、即ち図1の矢印方向へ退避させる。この時、さらに連続して鋳込みを継続する場合、前記プリフイリング開始位置Aに新しいタンディッシュ7を用意しておき、前記使用済タンディッシュ7およびレードル4の退避と同時に予め鋳込位置Bの反対側でレードルターレット1に載置された新しいレードルをプリフイリング開始位置Aに回動し、ここから前記したと同様に新しいレードル4から新しいタンディッシュ7に注湯を開始すると共に、注湯しながらレードル4とタンディッシュ7およびプラズマトーチを同期させて鋳込位置Bまで回動させ、鋳込位置に到達したら直ちに鋳型13への鋳込みを開始すれば、鋳型13内に鋳込まれた溶鋼がまだ残っているうちに引続いて鋳込みが可能であり、連続した鋳込みができる。また、タンディッシュ7の交換の際、一旦鋳込みを中断する場合、使用済タンディッシュ7およびレードル4を退避位置に退避させると共に、鋳型13に鋳込まれた溶鋼は鋳片として一旦連続鋳造機外に引抜いてしまう。そして、次の鋳込みを行う時には、周知の方法で、鋳型側では次の鋳込みのためにダミーバーの挿入,鋳型シール等の鋳込準備が行われる。また、この鋳型側の鋳込準備中にプリフイリング開始位置Aでは次の鋳込みに使用される新しいタンディッシュ7と予め溶鋼を充填したレードル4が用意される。そして、次の鋳込みを開始する際には、前記したと同様にプリフイリング開始位置Aでロングノズル移送台車14からロングノズル着脱装置17によりロングノズル9を受け取って次レードルに圧着し、該位置Aからタンディッシュへの溶鋼の注入および加熱が開始され、鋳込位置Bへ回動される。そして、鋳込位置Bに到達したら直ちに鋳込作業が開始される。
【0010】
【考案の効果】以上説明したように本考案によれば、レードル底部に圧着するためのロングノズルの移送台車をプリフイリング開始位置と鋳込位置との間で往復移動できるようにし、且つそれぞれの位置でロングノズルをレードルに着脱できるようにしたので、1本のロングノズルで鋳込位置の手前からレードルとタンディッシュを同期して移動させて該移動中にレードルからタンディッシュへの溶鋼の注湯を行うことができ、鋳込位置への到達後、直ちに鋳込開始が可能となり、プリフイリングによるロングノズルの詰まり等の故障が生じない。鋳型側の準備中にタンディッシュへの注湯がなされるので、タンディッシュ側の充湯時間が短縮され、生産性の向上が図られる。またプリフイリングと同時にプラズマトーチで溶鋼を加熱するので、注湯初期におけるタンディッシュ内溶鋼温度を昇温することができ、鋳片の品質向上,歩留り向上がもたらされる。さらに、タンディッシュの交換もきわめて短時間で行えるので、一旦鋳込みを中断することなく連続した鋳込みも可能になる等の効果を有する。
- 【登録番号】第2576229号
【登録日】平成10年(1998)4月24日
【発行日】平成10年(1998)7月9日
【考案の名称】連続鋳造機のロングノズル循環装置
- 【出願番号】実願平4−82774
【出願日】平成4年(1992)11月5日
【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】日本鋼管株式会社
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】染川 利吉
【審査官】 天野 斉
- ★当サイトのどのページも全てリンクフリーです、自由にお使いください
※以下のタグをホームページ中に張り付けると便利です。
-
当サイトではIPDL(特許電子図書館)の公報のデータを著作権法32条1項に基づき公表された著作物として引用しております、
収集に関しては慎重に行っておりますが、もし掲載内容に関し異議がございましたらお問い合わせください、速やかに情報を削除させていただきます。