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浸漬型鋳型内電磁攪拌装置用コイル
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- 【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 本体フレ−ムと、この本体フレ−ムの内周の軸線方向のほぼ中央部に挿入され内周の等分位置から半径方向内方に突出する複数の磁極を有するヨ−クと、このヨ−クの内周に沿い前記磁極に外嵌されたコイルとから成るコイル組立体と、このコイル組立体の磁極より半径方向内方の空間部内に軸線に沿ってほぼ垂直に配置され、上端と下端が解放され上端が溶湯の注入口となり下端は溶湯が冷却され逐次凝固しながら移動される中空管状または実体のスラブの出口となる連続鋳造鋳型と、この連続鋳造鋳型の外周に配置された水冷ジャケットと前記円本体フレ−ムに設けられた冷却水の流入口と流出口とを有し、前記冷却水は、前記磁極とコイルおよび水冷ジャケットの外周の間の空隙と前記水冷ジャケット内を貫流して、前記コイル組立体を冷却水に浸漬して冷却するとともに、前記鋳型を前記水冷ジャケットにより冷却する浸漬型鋳型内電磁撹拌装置用コイルにおいて;前記コイルは、セラミックフェルト又はアスベストフェルト等の無機材料で被覆された被覆平角導体が所定の形状と所定の回数に巻回され、エポキシワニス、ポリイミドワニス、又はシリコンワニス等の無溶剤ワニスが真空加圧含浸後加熱硬化されていることを特徴とする浸漬型鋳型内電磁撹拌装置用コイル。
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- 【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この考案は一般に連続鋳造機に関し、特に連続鋳造機の鋳型などの中、冷却水に直接接触する状態で浸漬されて使用される浸漬型鋳型内電磁撹拌装置に使用されるコイルに関する。
【0002】
【従来の技術】浸漬型電磁撹拌装置用コイルでは、限定されたスペ−ス内で大電流が流されるために占積率の点から丸線よりも平角導体が使用される。前記の、従来のコイル素線の断面拡大図を図6に示すが、平角導体1の外周被覆2は鋳型が高温になるにも拘らずPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(フルオロネイテッドエチレンプロピレン)またはETFE(エチレンテトラフルオロエチレン)などのフッ素樹脂が使用されている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】これらのフッ素樹脂被覆電線を使用した電磁撹拌装置を長年月運転すると、被覆素材は有機物であることから運転中の温度上昇やヒ−トサイクルによって絶縁劣化を生じ、遂にはレヤ−ショ−トなどによりコイル焼損に至る。焼損した電磁撹拌装置の修復は不可能でコイル巻き替え変えなどの多大な費用と復旧工期を要するなどの問題があり解決策が要望されていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本考案では、セラミックフェルト又はアスベストフェルト等の無機材料で被覆された被覆平角導体を使用し、電磁撹拌装置用コイルとして所定形状と回数にコイル巻き成形して、必要に応じヨ−クの内周とコイル外周間、磁極とコイル間にもスペ−サを配置した上で、成形されたコイルをヨ−クの内周に沿うようにして磁極に外嵌して、ヨ−ク・コイル組立体とし、次にこの組立体に、エポキシワニス、ポリイミドワニス、又はシリコンワニス等の無溶剤ワニスを真空加圧含浸して加熱硬化させることにより上記の課題を解決した。
【0005】
【作用】導体被覆を構成する基材としてセラミックフェルト又はアスベストフェルト等の耐熱性無機材料を使用するので、1000℃前後の高温度にも耐えてコイル焼損を生ずることがない、しかし前記の無機材料被覆は多孔性であるため、単独では水中において絶縁抵抗が低下するが、前記の無溶剤ワニスを真空加圧含浸して微細な孔を充填することにより水中での絶縁抵抗の低下も防止される。このようにされた電磁撹拌装置も長期間運転使用すると、含浸したワニスが温度やヒ−トサイクルによる膨張、収縮により劣化するが、水中絶縁抵抗を監視して、前記絶縁抵抗値が一定値以下になった場合は、運転を中止し、再度新しい無溶剤ワニスで真空加圧含浸を行うようにすれば、導体被覆を構成する基材は無機材料製で熱劣化がないので水中絶縁抵抗は回復し、リサイクルが容易に可能であり、万一コイルのレヤ−ショ−トで循環電流が流れても、被覆基材は無機材料であるので溶融、焼損することがなく再度新しい無溶剤ワニスを真空加圧含浸して加熱硬化するだけで、煩雑な巻替えを必要とせずリサイクル可能である。
【0006】
【実施例】図1は、本考案による浸漬型鋳型内電磁撹拌装置用コイル11を取り付けた縦型連続鋳造機の鋳型10の半体断面立面図であり、図1のA−A断面を図2に示すが、円筒形の本体フレ−ム12の軸方向中程に、円筒形のヨ−ク13が配置されていて、その円周方向四等分の位置から磁極14が、鋳型10の軸線0−0に向って半径方向に突出し、ヨ−ク13と磁極14とでコア15を形成し、コア15の4個の磁極の周囲にコイル11が巻きつけられ、このコイル11の内側に断面が管状のウォ−タジャケット16が、更にその内側に四角管状の鋳型空隙17が画定される。この鋳型空隙17内に溶湯が注入され、前記磁極14の極性の変化による電磁攪拌作用により、注入された溶湯が撹拌されて、組成が均一になり冷却されながら降下し、ピンチロ−ルなどにより下流側に移動されて凝固し、ビレットまたはスラブと呼ばれる金属四角管が連続鋳造され適宜な長さに切断される。この実施例では、鋳型空隙17は四角管状のスラブを鋳造するものとして示したが、スラブは四角管状に限られず、円柱または角柱など通常のインゴットと同形状のスラブの連続鋳造に使用されることは勿論である。冷却水は、本体フレ−ム12の図示しない下部から入り、矢印Bで示すようにコイル周辺を上方へ流れ、ウォ−タジャケット16の外周を下方へ流れて戻り、更にウォ−タジャケット16内に流入して上方へ流れ、外部へ流出するようになっており、コイル11は水及び蒸気に曝される。
【0007】本考案によるコイル11の部分拡大断面図を図5(A)に示すが、セラミックフェルト又はアスベストフェルトの被覆18が施された平角素線1を図1,図2と図1のC矢視部分拡大図である図3に示すように、所定の形状と巻回数に巻いて個々のコイル11とし、磁極の部分を除いたヨ−クの内周には図4(A)に示すように中間にジョイントシ−ト21aを挟んで折り曲げたポリエステルフェルトスペ−サ21を図4(B)のように所定の間隔に配置し、コイル−ヨ−ク間スペ−サ21bとし、このスペ−サ21bの内側で磁極14の側周と上下周に、図3に示すように外周をガラスバインドテ−プ20で巻いたコイル11を、図1と図2に示す位置に挿入する。各磁極の側面とコイル11の間には、図4(C)の矢印のようにスペ−サ21を挿入してコイル−磁極間スペ−サ21cとする。このようにして隣接する磁極14の外周に挿入され互いに隣接するコイル11相互の間には、前記のスペ−サ21を図4(D)のように押しつぶしたコイル−コイル間スペ−サ21dを、図2に示すようにコイル11が挿入された内側から半径方向外方に挿入する。次に、このようにして組み立てられたコイル11磁極14などの部材を、真空加圧含浸により、エポキシワニス、ポリイミドワニス又はシリコンワニス等の無溶剤ワニス22を含浸させた後、加熱硬化する。
【0008】
【考案の効果】本考案による浸漬型の連続鋳造用鋳型内電磁撹拌装置用コイルは、従来技術のものでは冷却水や、冷却水がコイル、鋳型壁などの昇温により加熱されて発生した蒸気に曝され、温度の周期的変動、いわゆるヒ−トサイクルによってワニスが劣化し絶縁抵抗が低下し、逐にはレヤ−ショ−トに基く焼損に至って寿命が極めて短かくなるという問題を解決し、寿命が更に延長される。また長期運転使用されて、温度の変動に伴なうヒ−トサイクルによる膨脹収縮によりワニスが逐次劣化しても、水中での絶縁抵抗を監視して、一定値以下になった場合には運転を中止し、再度新しいワニスを真空加圧含浸すれば水中絶縁抵抗も回復し、容易にリサイクルが可能であり、万一コイルがレヤ−ショ−トしても被覆基材は無機材料であるので、溶融・焼損することがなく、再度新しい無溶剤ワニスを真空加圧含浸すればリサイクルが可能で煩雑な巻替えは不必要となる効果を有する。
- 【登録番号】第2578836号
【登録日】平成10年(1998)5月29日
【発行日】平成10年(1998)8月20日
【考案の名称】浸漬型鋳型内電磁攪拌装置用コイル
- 【出願番号】実願平4−44735
【出願日】平成4年(1992)6月5日
【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】神鋼電機株式会社
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 武夫 (外2名)
【審査官】 守安 太郎
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