車両用シートベルト切断装置
- 【要約】
【目的】 被切断物に対し刃の食い込みを確実にする車両用シートベルト切断装置を提供する。
【構成】 波型の形状を縁部2aに有する板状の取っ手2の先部に板状部3を設け、該板状部3の表面より小さい円形刃7をこの面に沿うように軸支し、該円形刃7の刃面を一部板状部3から露出するように、板状部3の縁3cから円形刃7の外側接線方向より中心にずれて溝9を形成し、溝9を形成する縁3cと反対側の縁3cに軸11を設け、軸11にナイフ10の基部を軸支して該ナイフを前記縁3cに沿って前記板状部3に収容し、該ナイフを手前から前方へ回転し所定角度で係止し露出するようにした。取っ手2は、波型の形状の縁部が指に合うので持ちやすく、板状部3の形状が円形刃7およびナイフ10の刃面を保護する。シートベルト等は溝9に挿入して切断する。また、ナイフ10を突出させて鎌のような形状にして使用する。
- 【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 波型の形状を縁部に有する板状の取っ手の先端部に板状部を設け、該板状部の表面形状の内部に納まる円形刃をこの面に沿うように軸支し、該円形刃の刃面の一部を前記板状部から露出するように、前記板状部の縁から前記円形刃の外側接線方向より中心にずれて溝を形成し、該溝を形成する縁と反対側の縁の先部に軸を設け、該軸にナイフの基部を軸支して該ナイフを前記縁に沿って前記板状部に収容し、該ナイフを取っ手の方向から逆方向へ回転し所定角度で係止し露出するようにしたことを特徴とする車両用シートベルト切断装置。
【請求項2】 前記板状部の先部に鋼体を一体成形し、該先端部の片縁または両縁に鋼体を露出させ尖頭突起を形成したことを特徴とする請求項1記載の車両用シートベルト切断装置。
【請求項3】 前記鋼体の露出面を端面とする円柱部を形成し、前記取っ手の基部を角状に形成し、前記円柱部の周壁に係合する円弧状の突起と、前記円柱部の両端面に対向する突起と、前記取っ手の基部を係止する爪付き突起とを配設した基盤を備えたことを特徴とする請求項2記載の車両用シートベルト切断装置。
- 【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、自動車に常時装備させておくための車両用シートベルト切断装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車のフロントガラス等に強化ガラスを用い、シートベルトを装備することによって、安全性を考慮した自動車が利用されている。また、自動車の運転講習会が開かれ、運転マナーの知識も十分に指導されている。ところが、居眠り運転、脇見運転等による事故も後を絶たない。そこで、衝突時に運転者への衝撃を和らげるエアバッグも取付けられる。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
また、交通事故にも軽微のものとそうでないものがあり、車体が曲がるようなものもある。通常、自動車が衝突して停止した時、シートベルトを外してドアを開けて外に出る。そして、車体のどの部分が破損しているか確認する。しかしながら、衝撃が強いときなどは、シートベルトは外れない、ドアは開かない、等の状態を引き起こすことになる。このような状況では、素手ではなかなか解決できないので何らかの工具を必要とする。
【0004】
本考案は、上記のように自動車に関して非常用に用いられる車両用シートベルト切断装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本考案は上記目的を達成するために、波型の形状を縁部に有する板状の取っ手の先端部に板状部を設け、該板状部の表面形状の内部に納まる円形刃をこの面に沿うように軸支し、該円形刃の刃面の一部を前記板状部から露出するように、前記板状部の縁から前記円形刃の外側接線方向より中心にずれて溝を形成し、該溝を形成する縁と反対側の縁の先部に軸を設け、該軸にナイフの基部を軸支して該ナイフを前記縁に沿って前記板状部に収容し、該ナイフを取っ手の方向から逆方向へ回転し所定角度で係止し露出するようにしたことを特徴とする。
【0006】
また、上記の車両用シートベルト切断装置において、前記板状部の先端部に鋼体を一体成形し、該先部の片縁または両縁に鋼体を露出させ尖頭突起を形成したことを特徴とする。
【0007】
また、前記鋼体の露出面を端面とする円柱部を形成し、前記取っ手の基部を角状に形成し、前記円柱部の周壁に係合する円弧状の突起と、前記円柱部の両端面に対向する突起と、前記取っ手の基部を係止する爪付き突起とを配設した基盤を備えたことを特徴とする。
【0008】
【作用】
本考案は上記のように構成したものであり、取っ手は、波型の形状の縁部が指に合うので持ちやすく、取っ手の面と円形刃およびナイフの面が重なり、使用しないときは板状部の面に納まる。また、シートベルト等は溝に挿入して円形刃の刃面に当て切断する。また、ナイフを突出させると鎌のような形状になる。
【0009】
そして、上記の板状部の先部に鋼体を埋め込むことで、重心が先部に近くなり切断時の操作に慣性力が追加される。また、尖頭突起により、シートベルト切断装置を窓ガラスへ振り下ろすことで窓ガラスの破壊が容易になる。このときは円形刃およびナイフは板状部に納まっているので邪魔にならない。
【0010】
また、シートベルト切断装置は基盤の爪付き突起と円弧状の突起とにより基盤に係着でき、シートベルト切断装置は円弧状の突起側を持って着脱させる。また、両縁に対向する突起により尖頭突起を覆う。
【0011】
【実施例】
以下、本考案の実施例を添付図面に基づいて説明する。図1に示すように、シートベルト切断装置1は取っ手2と、取っ手2から延びた板状部3が合成樹脂によって形成され、取っ手2の両方の縁2aは波型に形成されている。また、板状部3の先端部には鋼体と一体に成形した円柱部4が形成されている。鋼体は円柱部4の端面の部位で露出し尖頭突起5を形成している。尖頭突起5は片縁だけでも良いが両縁に設けた方が便利で有る。実施例において尖頭突起5の角度xはほぼ90度になっている。
【0012】
板状部3の両面には凹部3a,3bが形成され(図2参照)、図1に示す凹部3aには中央位置に軸6が取付けられ、円形刃7が回転可能に収容されており、円形刃7の上部に取付けられたカバープレート8は軸6で固定されている。板状部3の取っ手寄りの縁3cから円形刃7の外側接線方向より内側に向かって溝9が形成され、溝内において刃面が露出されている。実施例において溝9の侵入角度yは縁3cに直交する軸線に対しほぼ70度になっている。
【0013】
図2に示すように、溝9を形成した縁3cとは反対側の縁3cには、縁3cに開口して凹部3bが形成されている。凹部3bには縁3cの先部にナイフ10の軸11が設けられ、ナイフ10は軸11に回転自在に取付けられ、板状部3の内部に収容される。符号12はナイフ10の回転を止めるストッパであり、先部が縁3cに向かって逆L字状に曲がっている。ナイフ10を突出させるには軸11を回転させる。または、軸11を回転してわずかにナイフ10の先端が突出したらナイフ10を持って取っ手と逆方向に回転させる。ナイフ10は図2に示すように直角になった位置で刃面10aを手前にして係止する。また、ナイフ10を覆うカバープレート13は、ストッパ12をカバープレート13に形成した孔に挿通し、隙間14を確保して装着される。
【0014】
シートベルト切断装置1は利用者の行動範囲内に、図3に示す取付具15によって設置される。あるいは、取っ手2に開けた孔2bに紐を通して吊り下げるか、壁に固定した取付金具に差してぶら下げるかする。
【0015】
シートベルト切断装置1でシートベルトを切断する場合、シートベルトを溝9に引っ掛けるように差し入れる。これによりシートベルトの端が曲がらずに固定され、シートベルトの端が円形刃7に斜めに当たって切断が容易となる。また、溝にシートベルトがうまく入らない場合はナイフを使用する。また、別な使い方として、エアバッグが故障して収縮していない場合、ナイフを突出させて突き立て切断する。これらの方法では、円形刃7に当たる角度の向きが手前になり、ナイフの刃面10aも手前になるので、引き寄せるようにして切断作業を行なうことになり力を入れやすい。また、尖頭突起5を形成した鋼体の慣性が働くので操作が容易となる。なお、通常は円形刃7は板状部3の内部に隠れており、ナイフも収容されているので刃面を保護し取扱いが容易である。
【0016】
図3に示す取付具15はほぼシートベルト切断装置1の外形に倣い、円柱部4の周壁に係合する円弧状の突起16と、円柱部4の両端面に対向する突起17,17と、取っ手2の基部を係止する爪付き突起18とを基盤19に配設したものである。突起17には尖頭突起5が収容するように凹部17aが形成されている。また、爪付き突起18には取っ手2の角状の基部を係止する爪18aが設けられている。さらに、基盤19には取付用孔20が二か所に設けられている。なお、取付箇所の形状に応じて基盤19に取付用溝21を設けても良い。
【0017】
シートベルト切断装置1は取付具15に、取っ手2の基部を爪付き突起18に合わせ、円柱部4を円弧状の突起16に嵌め込んで装着する(図4参照)。突起17,17は横ずれを防ぐ。実際には、取付具15は自動車のドア内壁、シート裏側、フロントパネルまたはサンバイザ等に固定する。シートベルト切断装置1のみを足下に置いておくと、衝撃時に移動して手の届かない箇所に移動する虞があるので、取付具15で保持することにより常に所定位置に配置しておくことができる。
【0018】
【考案の効果】
本考案は、以上のように構成したものであるので、円形刃およびナイフの刃面を保護し、また、被切断物に刃が確実に当たるようにされ、緊急時に対応することができる。また、先部に鋼体を着けることにより慣性が働き操作性が良くなると共に、尖頭突起によりフロントガラス等を容易に割ることができる。また、取付具を配設することでシートベルト切断装置の保管が簡単である。
- 【登録番号】第3008352号
【登録日】平成6年(1994)12月21日
【発行日】平成7年(1995)3月14日
【考案の名称】車両用シートベルト切断装置
- 【出願番号】実願平6−11751
【出願日】平成6年(1994)8月29日
【出願人】
【識別番号】592101149
【氏名又は名称】三山工業株式会社
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫 (外2名)
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