万能鋏
- 【要約】
【課題】他の鋏に変えることなく、対向する一対の凸状円弧の裁断刃によって、直線裁断は勿論のこと、裁断方向の指向性を皆無にして、利き手のインコーナー、アウトコーナいずれの曲線裁断も、任意の湾曲方向と湾曲度で、自由自在に容易に実施できると共に凸状円弧の裁断刃の後部に直線刃を連設すれば直線裁断との組み合わせも自在に裁断することができる優れた万能鋏を提供する。
【解決手段】後部を開閉回動操作アーム110とし前部を対向裁断刃120とする一対の挟み部材130の中間部を回転軸140で支持してなり開閉回動操作アームを開回動させて対向裁断刃間に被裁断体を位置させ開閉回動操作アームを閉回動させて対向裁断刃で被裁断体を裁断する鋏において、前記対向裁断刃の少なくとも先部に、または中間部から先部に、或いは後部から先部の全域に亘って、凸状円弧の裁断刃に形成して万能鋏を構成する。
- 【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
後部を開閉回動操作アームとし前部を対向裁断刃とする一対の鋏み部材の中間部を回転軸で支持してなり開閉回動操作アームを開回動させて対向裁断刃間に被裁断体を位置させ開閉回動操作アームを閉回動させて対向裁断刃で被裁断体を裁断する鋏において、前記対向裁断刃の少なくとも先部に、または中間部から先部に、或いは後部から先部の全域に亘って、凸状円弧の裁断刃に形成したことを特徴とする万能鋏。
- 【考案の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本考案は、種々の使用目的に対応した鋏全般に適用できるものであるが、特に紙、布、プラスチック板、鉄板などの平板状で且つ相応の強度を備えているものでも、曲線裁断および直線裁断を自由自在に実施することができる鋏に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な鋏において、和鋏も洋鋏も後部を開閉回動操作アームとし前部を対向裁断刃とする一対の鋏み部材の中間部を回転軸で支持してなり開閉回動操作アームを開回動させて対向裁断刃間に被裁断体を位置させ開閉回動操作アームを閉回動させて対向裁断刃で被裁断体を裁断するが、対向裁断刃部は上から見て直線的な背に沿って直線的に形成されている。
この鋏では平板状の被裁断体を直線的に切ることは、裁断方向が直線方向に指向するため簡単であるが、湾曲させて切りながら所定の平面形状の板に切り取り成型するには、被裁断体の種類が紙や布などの柔らかいものに限定されるが容易ではない。
【0003】
一方、刃部を横から見て湾曲させている鋏としては、特許文献1に紹介の板金用の鋏や、特許文献2に紹介の植木鋏が知られており、それらの鋏は、一方の刃部が凹状の湾曲刃で、対向する他方の刃部が凸状湾曲刃となっている。また特許文献3には、対向刃部がいずれも凹状湾曲刃としてなる葉巻切断用鋏も紹介されている。
更に、特許文献4には、対向する刃部の双方が凹状湾曲刃に形成されていると共に、前記凹状湾曲刃が、前記凹状湾曲刃の開閉操作に際して回動中心側の刃基部から順次当接して、刃先側部位が刃基側部位に先んじて当接しない形状とした鋏もある。
これらの鋏では棒状体を湾曲刃の中心部で逃がさないで切ろうとするものであり、平板状の被裁断体を直線方向裁断は勿論のこと湾曲彎曲方向の裁断は甚だ困難である。
【0004】
又、刃部を上から見て横に湾曲させている鋏としては、直線部に続いて左に又は右に湾曲させたものがある。これは上記の棒状体を切る鋏と異なり平板状の被裁断体を左か右のいずれかの方向に湾曲させて切りながら所定の平面形状の板に切り取り成型するものであるが、湾曲方向とその湾曲度に大きく影響されるため、多くの種類の横湾曲鋏を用意する必要があり、きわめて煩雑な作業を伴う問題がある。
【特許文献1】実公平3−44417号公報
【特許文献2】特開昭62−74391号公報
【特許文献3】特開平11−18745号公報
【特許文献4】特開2005−34382号公報
【考案の開示】
【考案が解決しようとする課題】
【0005】
本考案の万能鋏は、他の鋏に変えることなく、対向する一対の凸状円弧の裁断刃によって、直線裁断は勿論のこと、裁断方向の指向性を皆無にして、利き手のインコーナー、アウトコーナいずれの曲線裁断も、任意の湾曲方向と湾曲度で、自由自在に容易に実施できると共に凸状円弧の裁断刃の後部に直線刃を連設すれば直線裁断と曲線裁断を自由自在に実施することができる優れた万能鋏を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
後部を開閉回動操作アームとし前部を対向裁断刃とする一対の挟み部材の中間部を回転軸で支持してなり開閉回動操作アームを開回動させて対向裁断刃間に被裁断体を位置させ開閉回動操作アームを閉回動させて対向裁断刃で被裁断体を裁断する鋏において、前記対向裁断刃の少なくとも先部に、または中間部から先部に、或いは後部から先部の全域に亘って、凸状円弧の裁断刃に形成したことを特徴とする万能鋏。
【考案の効果】
【0007】
本考案の万能鋏は、他の鋏に変えることなく、対向する一対の凸状円弧の裁断刃によって、被裁断体に対する裁断方向の指向性を皆無にして、直線裁断は勿論のこと、利き手のインコーナー、アウトコーナいずれの曲線裁断も、任意の湾曲方向と湾曲度で、自由自在に容易に実施できると共に凸状円弧の裁断刃の後部に直線刃を連設すれば直線裁断と曲線裁断を自由自在に実施することができる優れた万能鋏である。
このように、紙、布、プラスチック板、アルミ板、銅板、鉄板などの平板状で且つ相応の強度を備えている被裁断体でも、曲線裁断および直線裁断を自由自在に実施することができるから種々の使用目的に対応した鋏全般に適用できるものである。
【考案を実施するための最良の形態】
【0008】
本考案において、開閉回動操作アームは、図1、図2のように指掛けリングを設けるか、図3のようにストレートにして被裁断体の硬さなどに応じて開閉作用部を任意に可変して力の入れ方で回転モーメントの強弱を調節できるようにしてもよい。また開閉回動操作アームの作用部に図3のように窪み凹み等のエンボス加工やゴム等の巻き付けなどの滑り止めのグリップ110G等の処置を施すのも良い。
一対の挟み部材の中間部を回転自在に支持する回転軸は、図4に示すように挟み部材に設ける軸受けを長穴軸受けにし、この長穴軸受けに軸ロック部を複数個設け、回転軸をカム式形状の回転ロック軸にして、この回転ロック軸を横にして長穴内で移動可能にし、任意の回転軸位置の軸ロック部にて縦に回転させて横移動をロックし任意に可変可能にする。
本考案において、裁断刃は上から見て即ち裁断方向に対して直角縦方向から見て、直線的に形成し湾曲させず、しかも裁断刃に形成する凸状円弧の裁断刃は、横から見て即ち裁断方向に対して直角横方向から見て、凸状円弧状に形成し凹状に湾曲させないで無指向性の湾曲切りを確実に可能ならしめる。
本考案において、凸状円弧の裁断刃は、前記対向裁断刃の少なくとも先部に、または中間部から先部に、或いは後部から先部の全域に亘って配置し、しかもその後端の凸状円弧開始点は最初の切断位置となるように形成する。
本考案において、凸状円弧の裁断刃の凸状円弧は、対向関係を同一凸状円弧としてよく異る凸状円弧にして裁断方向を無指向性にするものである。また多点曲げ円弧曲線にしてもよい。
本考案において、凸状円弧の裁断刃の後部に直線刃を連設すれば直線裁断との組み合わせも自在に裁断することができる。
以下に本考案を実施するための最良の形態を図1に示す実施例1、図2に示す実施例2、図3に示す実施例3により詳細に説明する。
【実施例1】
【0009】
図1において、本実施例の万能鋏S1の基本構成は、後部を開閉回動操作アーム110とし前部を対向裁断刃120とする一対の挟み部材130の中間部を回転軸140で支持してなる。これで開閉回動操作アーム110を開回動させて対向裁断刃120間に被裁断体Wの切断開始部を位置させ開閉回動操作アーム110を閉回動させて対向裁断刃120で被裁断体Wを裁断する。
而して上記鋏において、前記対向裁断刃120は、後部の直線刃121各々の先部に、凸状円弧の裁断刃122を形成する。
この凸状円弧の裁断刃122は対向半径関係を異ならしめてもよい。
凸状円弧裁断刃122は、半径10mmの同一円弧にし、その直線刃121との接点の凸状円弧開始点121-122を被裁断体Wに対する最初の切断位置となるように形成する。
この構成の万能鋏S1は、直線刃121による直線裁断と大まかな湾曲裁断を可能にし、および凸状円弧裁断刃122による微細な湾曲裁断を自由自在に可能にしたものである。
【実施例2】
【0010】
図2において、本実施例2の万能鋏S2の基本構成は、前記実施例1と同一であり同一部分については同一符号を付しその構成と作用の詳細説明は省略する。
而して上記鋏S2において、前記対向裁断刃120は、後端から中間部までを直線刃123とし、中間部から先端部に凸状円弧の裁断刃124を形成する。
この凸状円弧の裁断刃124は、対向半径関係を異ならしめてもよい。
凸状円弧裁断刃124は、半径40mmの同一円弧にし、直線刃123との接点の凸状円弧開始点を被裁断体Wに対する最初の切断位置となるように形成する。
この構成の万能鋏S1は、前例と同様に直線刃123による直線裁断と大まかな湾曲裁断を可能にし、および凸状円弧裁断刃124による微細から大まかな湾曲裁断を自由自在に可能にしたものである。
【実施例3】
【0011】
図3において、本実施例3の万能鋏S3の基本構成は、前記実施例1と前記実施例2と同一であり同一部分については同一符号を付しその構成と作用の詳細説明は省略する。
而して上記鋏S3において、前記対向裁断刃120は、後端から先端部の全域に亘り凸状円弧の裁断刃126を形成する。
この凸状円弧の裁断刃126は、対向半径関係を異ならしめてもよい。
凸状円弧裁断刃126は、半径70mmの同一円弧にし、直線刃を有しなく後端の凸状円弧開始点126-0を被裁断体Wに対する最初の切断位置となるように形成する。
この構成の万能鋏S3は、微細及び大まかな湾曲裁断を自由自在に可能にし、および凸状円弧裁断刃124による微細から大まかな湾曲裁断を自在に可能にしたものである。
【産業上の利用可能性】
【0012】
本考案の万能鋏の効果は、前記のように他の鋏に変えることなく、対向する一対の凸状円弧の裁断刃によって、被裁断体に対する裁断方向の指向性を皆無にして、直線裁断は勿論のこと、利き手のインコーナー、アウトコーナいずれの曲線裁断も、任意の湾曲方向と湾曲度で、自由自在に容易に実施できると共に凸状円弧の裁断刃の後部に直線刃を連設すれば直線裁断との組み合わせも自在に裁断することができる優れた万能鋏であり、紙、布、プラスチック板、アルミ板、銅板、鉄板などの平板状で且つ相応の強度を備えている被裁断体でも、曲線裁断および直線裁断を自由自在に実施することができるから種々の使用目的に対応した鋏全般に適用できるものである。
このため、幼稚園、小学校、中学校などの教材裁断実習用の万能鋏として、一般家庭やデザインスクール等での実習・実用の万能鋏として、更に、紙加工工業、プラスチック板加工工業、板金工業等々において広く活用され、この種産業に大いに貢献する多大な産業上の効果を呈するものである。
- 【登録番号】実用新案登録第3151253号(U3151253)
【登録日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【発行日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【考案の名称】万能鋏
- 【出願番号】実願2009−1490(U2009−1490)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】
【識別番号】594177966
【氏名又は名称】
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