コンクリート冷却用ステーション
- 【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 コンクリートミキサー車が前後に通過しうる空間を構成して枠組みされた門型フレームと、該フレームの上部に配置されたステージ上にあって、前記ミキサー車のホッパーに向けて進退可能に配置された液化ガス供給用ノズルと、前記ステージの下部にあって、前記ホッパーに対向して昇降可能に支持された白煙除去用のフードと、該フードに一端を連通させ、かつ前記フレームの外側に沿って配管された排気ダクトとを備えたことを特徴とするコンクリート冷却用ステーション。
【請求項2】 前記フレームには、散水管が付設されていることを特徴とする請求項1記載のコンクリート冷却用ステーション。
- 【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この考案は、組立分解が簡単であり、コンクリートミキサー車をドライブスルー方式で受け入れてそのアジテータ内部に液化ガスを供給してコンクリートを冷却するとともに、ホッパーから排出される白煙を除去できるようにしたコンクリート冷却用ステーションに関する。
【0002】
【従来の技術】暑中コンクリートやマスコンクリートの施工を良好に仕上げるための方法として液化窒素ガス等の液化ガスを用いてコンクリートを冷却する方法がある。液化ガスは冷却のための潜熱および顕熱が極めて大きいので、小規模な設備で効率の良い冷却を行うことができ、コンクリートミキサー車などに搭載したコンクリートの冷却に好適である。
【0003】この冷却方法を適用する具体的な設備として冷却用ステーション方式が提案されている。この方式は、コンクリートミキサー車による搬送途中で冷却用ステーションに立ち寄らせ、そのアジテータ内にホッパーを通じて液化ガス供給用ノズルを挿入し、液化ガスを注入しつつアジテータを回転させて短時間でコンクリートを適正な温度に冷却するものである。しかし、この冷却用ステーションを実用化するにあたっては、以下の課題がある。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】まず、液化ガスは沸点が低くく、気化したガスも相当の顕熱があり、極めて低温に保たれている。したがって、ガスがホッパーから外部に拡散するとその周囲の空気が急冷され、この結果微小な水滴,氷晶あるいはこれと微細モルタルの混ざった密度の濃い白煙がホッパーから吹き出て周囲の視界を妨げ、屋外での周囲の交通の妨げとなったり、作業員の作業にも支障を与え、火事と誤解される原因にもなるため、液化ガス供給装置とともに白煙除去装置を冷却用ステーションに並設する必要があり、大掛かりな設備となりがちである一方、効率の点などからはコンクリート製造プラントと打設現場とを結ぶ沿道沿いの適当な場所に容易に設置でき、また不要となった場合に容易に分解して他に転用できることも要求されている。さらにはミキサー車をバックで冷却用ステーションに導入したのでは正しい位置に停車させたり、停車後のノズルのセットなどに時間がかかるため、ドライブスルー方式にすること、なども課題として掲げられている。
【0005】この考案は以上の課題を解決するもので、液化ガス供給ノズルとともに、白煙除去のためのフードを設け、かつ組立,分解が簡単なドライブスルー方式のコンクリート冷却用ステーションを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、この考案は、コンクリートミキサー車が前後に通過しうる空間を構成して枠組みされた門型フレームと、該フレームの上部に配置されたステージ上にあって、前記ミキサー車のホッパーに向けて進退可能に配置された液化ガス供給用ノズルと、前記ステージの下部にあって、前記ホッパーに対向して昇降可能に支持された白煙除去用のフードと、該フードに一端を連通させ、かつ前記フレームの外側に沿って配管された排気ダクトとを備えたものである。前記フレームに散水管を付設してもよい。
【0007】
【作用】以上の構成による冷却用ステーションにあっては、ミキサー車を前進させてフレームの内部の正しい位置に停車させることができる。停車時にノズルをホッパーを通じてアジテータ内部に供給し、次いでフードを下降してホッパーの開口部に対向させて液化ガスの供給および白煙の除去作業を行うことができる。作業が終了後フードを上昇させノズルを後退させれば、そのままミキサー車を停車位置から前進させることができる。
【0008】
【実施例】図1,図2はこの考案に係る冷却用ステーション1を示すものである。この冷却用ステーション1は組立式枠組み構造であって、パイプ材の上端をヒンジ結合したA形の一対の側部フレーム2と、両側部フレーム2の頂部を連結するパイプフレーム3と、各側部フレーム2の中間部および下部にボルト結合などによって一体化された補強パイプ4,5と、中間部の補強パイプ4の上部に配置された中間ステージ6と、前記パイプ3フレームに一体的に配置された上部ステージ7とからなる正面から見て門型をした構造であり、中間ステージ6と両側部フレーム2によって囲われる空間内をコンクリートミキサー車Cが前後を通じて通過する大きさに形成されている。
【0009】中間ステージ6上にはノズル装置8が配置されている。ノズル装置8は中間ステージ6上にブラケット9を介して揺動可能に支持された油圧シリンダ10と、シリンダ10に一端を接合され、他端を前記中間ステージに連結した角度調整用のジャッキ11と、シリンダ10に進退可能に挿通された中空プランジャ12と、中空プランジャ12の内周に配置され、中間ステージ6の前方下部に突出して設けられた液化ガス供給用ノズル14とからなっている。そして、このノズル14の後端はフレキシブルホース15などを介してLN2 ガス供給装置16に接続されている。
【0010】中間ステージ6の前部側下部には、白煙除去用フード18が配置されており、フード18の両側は上端を上部ステージ7に連結した昇降用の一対の油圧シリンダ20に連結されている。フード18の上部には筒部18aが一体に突設されており、この筒部18aは上部ステージ7の前部側に垂設された排気ダクト21の下部にスライド可能に挿通されている。排気ダクト21の上部側は複数のエルボ21aを介して曲げられ、一方の側部フレーム2の側面に沿って地表まで配管され、地表部に配置された白煙除去装置22に接続している。
【0011】また、図中23,24は各ステージ6,7間および中間ステージ6と地表を結ぶタラップ、25,26は各ステージ6,7に設けられた手摺である。
【0012】次に以上の構成におけるコンクリート冷却作業を説明する。
【0013】まず、ノズル14が後退位置に位置し、フード18が上昇位置に位置している状態で、コンクリートミキサー車Cが冷却用ステーション1の後部側から前進して内部を通過することができる。コンクリートミキサー車Cが指定された停車位置で停車すると、そのアジテータC1のホッパーC2は前記ノズル14の斜め前方であって、フード18の直下に位置する。したがって、停車後油圧シリンダ10を駆動してプランジャ12を前進させるとノズル14はホッパーC2を通じてアジテータC1の内部に挿通される。なお、必要に応じて角度調整用のジャッキ11により侵入角度を調整する。次に、油圧シリンダ20を駆動してフード18を下降させることにより、ホッパーC2の開口は完全に塞がれることになる。
【0014】以上の準備操作終了後、ミキサー車CのアジテータC1を回転さた状態で、LN2 ガス供給装置16を駆動すれば、LN2 はコンクリート内部に吐出しコンクリートと練りまぜられ、これを冷却する。また、これと同時に白煙除去装置22を稼動すれば、冷却によって生じた白煙はフード18および排気ダクト21を通じて除去装置側22側に吸引され、ここで透明化処理をされた上で外部に放出される。
【0015】冷却作業を完了したならば、各装置16,21を停止し、ふたたびフード18を上昇位置に戻し、ノズル14を後退位置に位置させれば、このままの状態でミキサー車Cを前進側に発車させることができる。
【0016】なお、冷却作業に伴うアジテータC1の表面冷却によって塗装が剥がれる惧れがあるため、作業中にホースなどによりアジテータC1の外周に水をかければ塗装の剥落を防止できる。しかしながら、例えば図3に示すように各側部フレーム2の前方に工事用足場30を配置し、アジテータC1の両側を囲うとともに、各足場30に散水管31を配管し、冷却作業と同時に散水管31を通じてアジテータC1の外周に自動的に散水すれば、散水のための要員が不要となる。
【0017】
【考案の効果】以上実施例によって詳細に説明したように、この考案によるコンクリート冷却用ステーションにあっては、ホースを介して液化ガス供給装置に連結し、また排気ダクトを介して白煙除去装置に連結する構成であるため、冷却と同時に白煙処理を行うことができる。また、冷却用ステーション自体が組立分解可能なフレームによって構成されているため、コンクリート製造プラントと打設現場とを結ぶ沿道沿いの適度な場所に簡単な組立により設置でき、不要となった場合に個々の装置を切り離す一方で、冷却用ステーションを分解して他の箇所に転用できるため、移動設置が容易である。
【0018】また、ドライブスルー方式であるため、コンクリートミキサー車を冷却用ステーション内に誘導するための作業が簡単であり、しかもノズルやフードのセットや調整に時間を取られない利点を有する。
- 【登録番号】第2559459号
【登録日】平成9年(1997)9月19日
【発行日】平成10年(1998)1月19日
【考案の名称】コンクリート冷却用ステーション
- 【出願番号】実願平3−10372
【出願日】平成3年(1991)2月5日
【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】一色 健輔 (外1名)
【審査官】 鈴木 紀子
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