二軸式ミキサ
- 【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】混練槽内に配設した二本の平行な混練軸を駆動用モータにより相反する方向に回転させて各種材料を混練する二軸式ミキサにおいて、駆動用モータにより回転駆動するスプロケットを混練軸に遊嵌する一方、混練軸の軸端に振動伝達用アームを半径方向に固着し、振動伝達用アームと前記スプロケットとを弾性体を介して連結すると共に、振動伝達用アームには混練軸の円周方向に振動を与える振動機を取り付けたことを特徴とする二軸式ミキサ。
- 【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、砂利、砂、セメント、水、及び混和剤を練り混ぜて生コンクリートを製造する二軸式ミキサに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の二軸式ミキサは混練槽内に相反方向に回転する二本の平行な混練軸を配設し、該混練軸に放射状に多数のアームを固着してそのアーム先端部に混練羽根を取り付け、前記混練軸を駆動用モータによって相反方向に回転させて混練羽根で材料を移動させることによって材料の練り混ぜを行なっている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】高品質の生コンクリートを製造するためには、混練材料である砂利、砂の周りにセメントの皮殻が均一に形成されることが望まれるが、従来の二軸式ミキサにおいては、混練羽根が一定の方向にほぼ定速度で回転する構造となっているため、混練羽根の回転による各種材料間の相対速度が等しい状態で同一方向に移動する。したがって、各種材料間の移動速度が等しく同一方向に各材料が移動すると砂利、砂間にセメントが侵入する機会が少ないため、砂利、砂の周りに均一なセメントの皮殻を形成するには十分な時間をかけて混練する必要がある。
【0004】本考案は上記の点に鑑み、混練羽根によって単に材料を移動させるだけではなく、混練羽根によって各種材料間の移動速度に差異を生じさせるようにして材料の混練を効果的に行なうように工夫した二軸式ミキサを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本考案は上記の目的を達成するために、混練槽内に配設した二本の平行な混練軸を駆動用モータにより相反する方向に回転させて各種材料を混練する二軸式ミキサにおいて、駆動用モータにより回転駆動するスプロケットを混練軸に遊嵌する一方、混練軸の軸端に振動伝達用アームを半径方向に固着し、振動伝達用アームと前記スプロケットとを弾性体を介して連結すると共に、振動伝達用アームには混練軸の円周方向に振動を与える振動機を取り付けたものである。
【0006】
【作用】本考案によれば、駆動用モータを駆動して混練軸に遊嵌したスプロケットを回転させると、スプロケットは弾性体を介して混練軸に固着した振動伝達用アームを押し回すこととなって混練軸を回転させる。この時、振動伝達用アームに取り付けた振動機を駆動し、混練軸の円周方向に振動を発生させる。これによって振動は振動伝達用アームを介して混練軸に伝わり、混練軸に取り付けた混練羽根が円周方向に振動しながら回転することとなる。この時、振動伝達用アームとスプロケットとの間に挟み込んだ弾性体が振動に伴って伸縮して振動の振幅を増大させると共に振動による駆動伝達機構への悪影響を吸収してくれる。この混練羽根の振動によって混練材料を叩くこととなって混練材料の移動速度に変化を与え、砂利、砂間にセメントを進入させる機会を多くすることができる。
【0007】
【実施例】以下本考案の実施例を図面に基づいて説明する。
【0008】1は砂利、砂、セメント、水、混和剤等の材料を混練して生コンクリートを製造する二軸式ミキサであって、混練槽2に二本の平行な混練軸3、3’を貫通し、混練槽2に固定した軸受4により回転自在に支持してある。混練軸3、3’には半径方向に多数のアーム5を放射状に配設し、該アーム5の先端部には適宜角度を有した混練羽根6を取り付けてある。混練軸3、3’の一端部にはギヤ7、7’を装着して噛合させ、混練軸3、3’を同期速度で回転させるようにしている。
【0009】そして混練軸3、3’の他端部には回転伝達機構としてスプロケット8、8’を混練軸3、3’に固着することなく遊嵌状態で装着している。該スプロケット8、8’の側方には駆動用モータ9、9’を配設してあり、駆動用モータ9、9’に取り付けたスプロケット10、10’と前記スプロケット8、8’とをチェーン11、11’により連結して駆動用モータ9、9’によりスプロケット8、8’を回転するようにしている。
【0010】前記スプロケット8、8’の外側面に弾性体取付け金具12を固着すると共に、スプロケット8、8’に接近させて混練軸3、3’に振動伝達用アーム13を軸半径方向に向けて固着する。そして振動伝達用アーム13とスプロケット8、8’に固着した弾性体取付け金具12の間に弾性体14、例えば複数枚の皿バネを振動伝達用アーム13の回転方向に伸縮するように挟み込んで振動伝達用アーム13とスプロケット8、8’とを結合する。
【0011】前記振動伝達用アーム13の先端部にはピストンの往復運動により振動を発生させるピストン式振動機15を取り付ける。このピストン式振動機15はその振動方向を混練軸3、3の円周方向、即ち、混練軸3、3’を中心とする仮想円の接線方向と一致させる。
【0012】16は混練軸3、3’と共に回転するピストン式振動機15に圧縮空気を供給する回転ジョイントであって、該回転ジョイント16はその回転中心を混練軸3、3’の軸心と一致させるようにして混練槽2に取り付けた支持枠17に固定している。そして回転ジョイント16の一方側はエアー配管18により前記ピストン式振動機15に連結し、他方側はエアー配管19により駆動用空気源(図示せず)に連結している。
【0013】しかして、二軸式ミキサ1により生コンクリートを混練する場合、駆動用モータ9、9’を駆動してスプロケット8、8’を回転させる。スプロケット8、8’は弾性体14を介し振動伝達用アーム13を回転させて混練軸3、3’を回転させる。そして所定量計量した砂利、砂、セメント、水、混和剤を、混練槽2内に順次投入して混練を開始する。混練時にはピストン式振動機15に駆動用の圧縮空気を供給してピストン式振動機15を振動させる。この振動は振動伝達用アーム13を通して混練軸3、3’に伝わり、混練軸3、3’を円周方向に振動させる。この時スプロケット8、8’と振動伝達用アーム13の間に介在させた弾性体14が振動伝達用アーム13の振動に伴って伸縮して振動の振幅を増大させると共にスプロケット8、8’等の駆動伝達機構への振動による悪影響を吸収してくれる。混練軸3、3’を円周方向に振動させると混練軸3、3’に取り付けたアーム5を介して混練羽根6に伝達される。これによって混練羽根6は振動しながら回転することになり、混練材料に振動を与えてそれぞれの材料の移動速度に変化を与え、砂利、砂間にセメントを進入させる機会を多くすることができて効率良く混合することができ、高品質の生コンクリートを製造することができる。
【0014】なお、振動機はピストン式振動機15を使用したがピストン式振動機に代えてローラやボールの回転により振動を発生する回転式の小型振動機を採用しても良いが、これらを採用する時には混練軸3、3’の半径方向に振動を与えて機械的損傷を与えることのないような工夫、例えば回転式振動機を二個取り付けて軸の半径方向の振動を相殺させ、混練軸3、3’の円周方向のみ振動を与えるなどの工夫をすることが好ましい。また空気式振動機に代えて電気式の振動機を採用することもできる。
【0015】また、弾性体14はミキサ混練テストを行なって最適の弾性力を有するものを適宜決定するようにし、また実施例では一箇所のみに弾性体を介在させてスプロケット8、8’と振動伝達用アーム13とを結合するようにしたが複数箇所に弾性体を介在させて結合するようにしても良いし、更には本考案は一軸式及び多軸ミキサ等にも採用可能なことは言うまでもない。
【0016】
【考案の効果】以上のように本考案によれば、混練軸3、3’に遊嵌させた回転力を伝達するスプロケット8、8’と混練軸3、3’に固着した振動伝達用アーム13を弾性体14を介して結合すると共に、振動伝達用アーム13にピストン式振動機15を取り付けて混練軸3、3’を円周方向に振動させ、これによって混練羽根6を振動させながら回転させて混練材料を叩くようにして混練するので、振動によってスプロケット8、8’等の回転伝達機構に悪影響を与えることなく、それぞれの混練材料の移動速度や移動方向に変化を与え、砂利、砂間にセメントを十分進入させて砂利、砂の周りに均一なセメントの皮殻を形成することができ、高品質な生コンクリートを製造することができる。
- 【登録番号】第2561916号
【登録日】平成9年(1997)10月24日
【発行日】平成10年(1998)2月4日
【考案の名称】二軸式ミキサ
- 【出願番号】実願平3−101997
【出願日】平成3年(1991)11月14日
【出願人】
【識別番号】000226482
【氏名又は名称】日工株式会社
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