スポンサード リンク
自在平行定規の製図ヘッドに於ける基線角度固定装置
スポンサード リンク
- 【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 スケール取付板へ固着したハンドル軸に、分度盤及び前記分度盤の裏面に固着したラチェットホイールと、自在平行定規のキャリッジ或いはアームに連結される固定板とを回転自在に遊嵌し、前記スケール取付板を前記固定板に対して任意の回転位置で固定する任意角度固定装置を設けるとともに、前記分度盤の表面に分度盤の回転中心と同心円の環状T形溝を刻設し、Tボルトの頭を前記T形溝内に遊嵌し、前記固定板に設けた孔にTボルトのねじ部を遊挿して上方へ突出せしめ、雌ねじ部を有する基線ブレーキレバーを前記ねじ部に螺合し、前記基線ブレーキレバーを回動して前記Tボルトを緊締することにより、前記分度盤と前記固定板とを圧接させて任意の回転位置で固定する基線角度固定装置を設けた自在平行定規の製図ヘッドに於て、前記T形溝は、分度盤(32)の回転中心と同心円であって前記分度盤(32)の裏面に刻設した溝(32a)と、前記溝(32a)の底部に開穿され前記溝(32a)と同心且つ同一半径で、前記分度盤(32)の表面へ貫通する円弧状の細溝(32b)と、前記分度盤(32)の裏面に固着して前記溝(32a)の開口面を閉鎖したラチェットホイール(12)とによって形成したことを特徴とする自在平行定規の製図ヘッドに於ける基線角度固定装置。
スポンサード リンク
- 【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この考案は自在平行定規の製図ヘッドに関するものであり、特に、製図ヘッドの基線角度固定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のレール式自在平行定規やベルトプーリ式自在平行定規の製図ヘッドに於ける基線角度固定装置を図3及び図4に従って説明する。図3はレール式自在平行定規1を示し、図板2の後端部の横レール3に係合する横キャリッジ4に、縦レール5が連結されている。縦レール5に係合する縦キャリッジ6には製図ヘッド7が連結され、製図ヘッド7は図板2上をXY方向に移動自在となっている。
【0003】図4に示すように、製図ヘッド7は、縦キャリッジ6に連結されるヒンジ部8aを有する固定板8の中心孔にハンドル軸9が遊嵌されている。ハンドル軸9の上部にはグリップ10が装着され、下端部にはスケール取付板11が固着されている。固定板8とスケール取付板11との間にはラチェットホイール12と分度盤13が遊嵌され、ラチェットホイール12と分度盤13はねじ14,14,…によって結合されている。そして、スケール取付板11上に軸着したラチェット爪11aがラチェットホイール12に係合しているときは、スケール取付板11に分度盤13が結合される。
【0004】分度盤13には回転中心と同心円のT形溝15が設けられ、T形溝15の下面にT形溝15の溝幅よりも大径のボルト挿入用の孔16を開穿してTボルト17の頭17aをT形溝15内に遊嵌し、Tボルト17のねじ部17bは、固定板8に設けた孔8bを貫通して基線ブレーキレバー18の雌ねじ部18aが螺合している。分度盤13の上面には分度目盛り13aが設けられており、スケール取付板11に設けたバーニヤ19が分度盤13の外周部に配設されて、スケール取付板11の回転角度を読取れるように形成されている。
【0005】基線ブレーキレバー18を回動して雌ねじ部18aとTボルト17との螺合を緩めると、固定板8に対する分度盤13並びにラチェットホイール12の固定が解除されるが、ラチェットホイール12にラチェット爪11aが係合しているので、分度盤13並びにラチェットホイール12をスケール取付板11と一体的に回動させることができる。そして、分度盤13を所望の角度へ回転させて、基線ブレーキレバー18を締めることにより、固定板8に対して分度盤13が固定されて基線角度が設定される。尚、20はラチェット爪11aの解除操作用のインデックスレバーである。
【0006】
【考案が解決しようとする課題】従来、自在平行定規の製図ヘッドに於ける基線角度固定装置は、分度盤の上面に環状のT形溝15を刻設しているが、分度盤13の上面とT形溝15の幅広部天面との平行度、並びに幅広部天面の平滑度が不十分な場合は、基線角度固定時における制動力の不足やスケール回転時における円滑性の低下を生じる。従って、T溝フライスを使用する溝切削加工に高い精度を要求され、且つ、別途Tボルト挿入用の孔16をエンドミルによって切削するので、工程が多く生産性が低いという欠点がある。
【0007】そこで、分度盤のT形溝加工を容易にして生産性並びに部品精度を向上し、コストの削減並びに品質の向上を図るために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本考案は該課題を解決することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】この考案は、上記目的を達成するために提案するものであり、スケール取付板へ固着したハンドル軸に、分度盤及び前記分度盤の裏面に固着したラチェットホイールと、自在平行定規のキャリッジ或いはアームに連結される固定板とを回転自在に遊嵌し、前記スケール取付板を前記固定板に対して任意の回転位置で固定する任意角度固定装置を設けるとともに、前記分度盤の表面に分度盤の回転中心と同心円の環状T形溝を刻設し、Tボルトの頭を前記T形溝内に遊嵌し、前記固定板に設けた孔にTボルトのねじ部を遊挿して上方へ突出せしめ、雌ねじ部を有する基線ブレーキレバーを前記ねじ部に螺合し、前記基線ブレーキレバーを回動して前記Tボルトを緊締することにより、前記分度盤と前記固定板とを圧接させて任意の回転位置で固定する基線角度固定装置を設けた自在平行定規の製図ヘッドに於て、前記T形溝は、分度盤の回転中心と同心円であって前記分度盤の裏面に刻設した溝と、前記溝の底部に開穿され前記溝と同心且つ同一半径で、前記分度盤の表面へ貫通する細幅な円弧溝と、前記分度盤の裏面に固着して前記溝の開口面を閉鎖したラチェットホイールとによって形成したことを特徴とする自在平行定規の製図ヘッドに於ける基線角度固定装置を提供するものである。
【0009】
【作用】分度盤の裏面には、分度盤の回転中心と同心円の溝を穿設し、さらにこの溝内に溝と半径が等しく、且つ細幅の溝を円弧状に開穿して表裏で溝幅が異なる段付きの溝が形成されている。分度盤の裏面にラチェットホイールを固着することにより、幅広の溝の開放面が閉鎖されてT形溝が形成される。そして、予め溝にTボルトを挿入し、細溝からTボルトのねじ部を突出させた後に、分度盤へラチェットホイールを固着することにより、TボルトがT形溝内に保持される。Tボルトのねじ部は、固定板に設けた孔を貫通して上方に突出し、ねじ部に基線ブレーキレバーの雌ねじ部を螺合して製図ヘッドの固定板と分度盤とを固定或いは固定解除する基線角度固定装置が構成される。
【0010】
【実施例】以下、この考案の一実施例を図1及び図2に従って詳述する。尚、図4に示した従来例と同一構成の部分は同一符号を付すものとする。図1は製図ヘッド31を示し、製図ヘッド31は、スケール取付板11にハンドル軸9の下端部位を固着し、ハンドル軸9にはラチェットホイール12、分度盤32、固定板8が順次遊嵌されて、スケール取付板11上に積載されている。ラチェットホイール12と分度盤32はねじ14,14,…によって一体的に結合され、固定板8には自在平行定規のキャリッジに連結されるヒンジ部8aが設けられている。ハンドル軸9の中間部にはスラストブレーキディスク33,33が遊嵌され、その上部にブレーキロックナット34を螺合し、ブレーキロックナット34の上面外縁部近傍にはピン34aが立設されている。中空のハンドル軸9内に遊挿したラチェット操作ピン35の上端部にはインデックスレバー20が枢着され、インデックスレバー20の中間部にブレーキロックナット34のピン34aが係合されて任意角度固定装置が構成されている。ラチェット操作ピン35の下端部はラチェット連結プレート36に係合し、ラチェット連結プレート36の先端部はスケール取付板11に枢着したラチェット爪11aに係合している。ラチェット爪11aは、引張コイルばね37の付勢によってラチェットホイール12の外周部に係合され、分度盤32に対してスケール取付板11を固定している。
【0011】分度盤32は、図1及び図2に示すように、分度盤32の回転中心と同心、且つ、下面から上下中間部位に達する深さの環状の溝32aを切削加工によって穿設し、さらに溝32aの底面に、溝32aと同心であって半径が等しく、且つ環状の溝32aよりも細幅の細溝32bを円弧状に打ち抜いている。細溝32bの回転範囲は、製図作業におけるスケール取付板11の所要回動範囲を充たす角度に設定し、分度盤32の下面にラチェットホイール12を固着することにより、環状の溝32aの開放面が閉鎖されてT形溝38が形成される。そして、分度盤32の下面にラチェットホイール12を固着する前に、予め溝32aにTボルト17を挿入し、細溝32bからねじ部17bを突出させた後にラチェットホイール12を固着することにより、Tボルト17の頭17aはT形溝38内に保持される。
【0012】ラチェットホイール12を固着した分度盤32をハンドル軸9に遊嵌してスケール取付板11上に載置し、分度盤32上に固定板8を積載してTボルト17のねじ部17bを固定板8に設けた孔8bへ挿入すると、ねじ部17bは孔8bを貫通して上方へ突出する。この突出したねじ部17bに基線ブレーキレバー18の雌ねじ部18aを螺合する。
【0013】製図作業において基線の角度を設定する際は、基線ブレーキレバー18を回動し、Tボルト17を緩めて分度盤32の固定を解除すると、分度盤32はラチェットホイール12とラチェット爪11aを介してスケール取付板11に係合されているので、スケール取付板11を回転すると分度盤32も連動して回転する。そして、分度盤32を所望の角度に合わせて基線ブレーキレバー18を回動し、分度盤32を固定板8に固定する。以後は、インデックスレバー20のグリップ10の中心方向への押し込み操作によって、ラチェット操作ピン35、ラチェット連結プレート36を介してラチェット爪11aが回動され、ラチェット爪11aがラチェットホイール12から離脱してスケール取付板11を任意の角度へ回転でき、基線に対するスケールの回転角度を、分度盤32の分度目盛り13aとバーニヤ19とによって読取ることができる。
【0014】尚、この考案は上記一実施例に限定されるべきものではなく、例えば、溝32aを細溝32bと同様に円弧状に加工してもよい。また、製図ヘッド31の構成は種々の改変をなすことができ、この考案がそれらの改変されたものに及ぶことは当然である。
【0015】
【考案の効果】この考案は上記一実施例において詳述したように、分度盤に単純形状の溝加工と打ち抜き加工等によって2段階に幅が変化する段付溝を開穿し、溝の幅広側をラチェットホイールによって閉鎖して基線角度固定装置用のT形溝を形成する。従って、従来のT溝フライス等を使用したT形溝切削加工と比較して、特殊工具を必要とせず、加工が著しく容易となって切削面の精度の向上が図れ、加工コストの削減並びに品質の向上に寄与できる。また、分度盤の板厚を従来のものより薄型化することができ、製図ヘッドの小型軽量化に寄与する等諸種の実用的価値ある考案である。
- 【登録番号】第2600249号
【登録日】平成11年(1999)8月6日
【発行日】平成11年(1999)10月4日
【考案の名称】自在平行定規の製図ヘッドに於ける基線角度固定装置
- 【出願番号】実願平5−60803
【出願日】平成5年(1993)11月11日
【出願人】
【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】林 孝吉
【審査官】 三輪 学
- ★当サイトのどのページも全てリンクフリーです、自由にお使いください
※以下のタグをホームページ中に張り付けると便利です。
-
当サイトではIPDL(特許電子図書館)の公報のデータを著作権法32条1項に基づき公表された著作物として引用しております、
収集に関しては慎重に行っておりますが、もし掲載内容に関し異議がございましたらお問い合わせください、速やかに情報を削除させていただきます。