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吸着機構及び吸着機構用の吸着基板
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- 【要約】
【課題】 表面側に多極着磁の磁力の出ているボード面1に、着磁ピッチの異なるマグネット3を安定した状態で吸着することのできる貼着機構を提供したものである。
【解決手段】 多極着磁の磁力が表面側に出ているボード面1と、吸着用のシート状マグネット3との間に、鉄粉層を設けたシート2を介在することにより、ボード面1側の磁力の一部とマグネット3の磁力の一部が鉄粉層に吸着し、磁石の反発力を抑えて着磁ピッチの異なるマグネットを安定して吸着できるようにしている。
- 【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 多極着磁の磁力が表面側に出ているボード又は壁面等の吸着基板表面と、この表面に吸着する吸着用マグネットとの間に、鉄粉層を設けたシート又は磁性体薄板を介在することにより、互いに着磁ピッチの異なるマグネットを吸着できるようにした吸着機構。
【請求項2】 表面側に設けた多極着磁したシート状マグネットの着磁面を鉄粉層を設けたシート又は磁性体薄板で覆った吸着機構用の吸着基板。
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- 【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
表面側に多極着磁したボードや壁面には、本来、磁性体又は同一着磁ピッチのマグネットを吸着する。しかし、新規購入したボードに買い置きのマグネットを使用したり、吸着用のマグネットシートを買い足したときなど、異なった着磁ピッチのものを使用しなければならないことがある。このようなときに着磁ピッチの異なるマグネットを互いに安定して吸着することのできる吸着機構及び吸着機構に用いる吸着基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図3は2.5mmピッチで多極着磁した磁石と3.0mmピッチで多極着磁したマグネットとを吸着した場合の説明図である。図3に示すようにボード表面に着磁ピッチの異なるマグネットを吸着すると、互いに異極同士が対向した部分のみ吸着し、同極同士が対向した部分は反発する。このため、落下して吸着しにくく、吸着しても反発する部分が浮き上がった状態になる。すなわち、複数のシート状マグネットを並列して吸着すると、それぞれのシートの一部分のみが吸着し反発する部分はボード面との間に隙間を生じ、吸着したシート状マグネット表面に凹凸ができる。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
上記のように従来の吸着機構では着磁ピッチの異なるマグネットをボード表面に吸着すると反発した部分が浮き上がるので、複数枚を並列して吸着したとき表面の凹凸が激しく、不揃いになり、外観上悪く、また、吸着するシート状マグネットは多くの場合、表面側に絵や文字を表示しているが、これらの表示が見にくくなる。さらに、吸着固定したシート状マグネットは貼着面に対して垂直方向の力には抵抗力が強いが、端部の一部から剥がす力に対しては抵抗なく簡単に離脱する性質を有する。このため従来の吸着機構では反発して浮き上がった部分に手や物が当たると、マグネットを剥がすのと同じ作用により簡単に落下してしまう等の難点があり、ボード面や壁面と着磁ピッチの異なるマグネットを吸着して使用することは事実上不可能に近いことであった。
【0004】
本考案は上記のような難点を解消したもので、着磁ピッチの異なるマグネットをボード面や壁面から浮き上がることなく吸着できるようにしたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本考案による吸着機構は上記の課題を解決するために、多極着磁の磁力が表面側に出ているボード面又は壁面などの吸着基板と、これらの表面に吸着する吸着用マグネットとの間に、鉄粉層を設けたシート又は磁性体薄板を介在したことにより、着磁ピッチの異なるマグネットを安定して吸着固定できるようにしている。また、この吸着機構用の吸着基板としては多極着磁したシート状マグネットの着磁面を鉄粉層または磁性体薄板で覆ったものが用いられる。
【0006】
【考案の実施の形態】
多極着磁の磁力が表面側に出ているボード又は壁面等の吸着基板の構造は既製品の場合、表面にマグネット面が露出していることは少なく、多極着磁したマグネットの表面を磁力を阻害しない厚さの合成樹脂フィルムで覆ったものが多く、ホワイトボードやグリーンボードのように書き消し自由にしたり、装飾用の色柄を施したものが多い。
【0007】
本願吸着機構において、ボードの既製品など既製の吸着基板を用いるときは吸着基板の磁力の出ている面を鉄粉層を設けたシートで覆うことにより、吸着する吸着用マグネットとの間に鉄粉層を介在する。この鉄粉層の上から吸着基板側磁石と着磁ピッチの異なる吸着用マグネットを貼着すると、磁力の一部が鉄粉層に吸着し、磁力の他の一部は鉄粉層を突き抜けて吸着基板側の磁石と吸着又は反発する。同時にボードや壁面側の磁力も一部は鉄粉層に吸着し、他の一部は鉄粉層を突き抜け着磁ピッチの異なるマグネットと吸着又は反発する。
【0008】
このとき、ボード等の吸着基板側の磁石及び吸着用マグネットが鉄粉層に吸着することにより反発力となる磁力の一部が吸収されることになり、同時に鉄粉層表面にマグネットが吸着するので、マグネットの浮き上がりを防止することができる。しかし、鉄粉層の厚さが薄すぎるときは反発現象が強いままであり、最適な鉄粉層の厚さは粒子の大きさや磁力の強さに応じて異なる。鉄粉層が薄すぎる場合は鉄粉層を設けたシートを複数枚重ねることにより最適な厚さにすることができる。鉄粉層を設けたシートに代えて磁性体薄板を用いることもできる。鉄粉層はフィルム状の薄いシートに鉄粉を吹き付け、塗布、蒸着などの方法によって形成されている。
【0009】
本願吸着機構では鉄粉層を設けたシートは吸着基板の表面側を覆う場合に限らず、前記シートによって吸着用マグネットの表面を覆うことにより鉄粉層を介在しても良い。吸着用マグネットは名札のようなシート状に限らず立体的なものや柔軟性のない板状体の裏面に固定されている場合もある。
【0010】
本願吸着機構を実施することを前提にして、ボード等の吸着基板を新規に形成するときは多極着磁したシート状マグネット前面に鉄粉層を設けたシートを一体的に形成しても良い。この場合、多極着磁したマグネット前面を覆った鉄粉層を設けたシート表面に任意の色柄の装飾層を設けても良い。鉄粉層を設けたシートに代えて磁性体薄板を形成しても同様の作用を得ることができる。
【0011】
【実施例】
図1は本考案による吸着機構と吸着基板を用いた表示板の一例を示した正面図、図2は本考案による吸着機構の原理説明図である。
【0012】
1は吸着基板のボード面で、2.5mmピッチで多極着磁されたシート状マグネットである。2は鉄粉層を設けたシートで、ボード面1の磁力によって吸着固定し、一体となって吸着基板を形成する。吸着基板表面は磁力を阻害しない程度の厚さのフィルム又は塗装等による装飾層で被覆することもある。3は着磁ピッチ3.0mmのシート状マグネットで、表面が装飾用フィルムで覆われ任意の図形又は文字が表示されている。
【0013】
図2に示すように、ボード面1の磁力の一部はaのような磁力線によってシート2の鉄粉層に吸着する。一方、シート2を介在して貼着したシート状マグネット3も磁力の一部がbのような磁力線によってシート2の鉄粉層に吸着する。ボード面1及びシート状マグネット3の他の磁力は鉄粉層を突き抜け、互いに対向した磁極が異極か同極かによって吸着または反発するが、シート状マグネット3はシート2の鉄粉層に吸着しているのでボードから浮き上がらず、マグネット3を複数枚並列して吸着しても表面に凹凸を生じることがない。上記実施例は着磁ピッチが2.5mmと3.0mmの磁石を吸着する場合について説明したが、他の着磁ピッチの組み合わせでも同様の作用効果を得ることができる。
【0014】
【考案の効果】
本考案は上記のような構成及び作用を有するので、ボードや壁面など吸着基板側の磁石と着磁ピッチの異なる吸着用マグネットを、磁石の反発によって部分的に浮き上がることもなく吸着でき、外観上も凹凸なしに複数枚を並列吸着できると共に吸着作業中や吸着後に剥がれにくく、互いに着磁ピッチの異なる磁石を安定した状態で吸着することができる。
- 【登録番号】第3057378号
【登録日】平成11年(1999)2月10日
【発行日】平成11年(1999)5月11日
【考案の名称】吸着機構及び吸着機構用の吸着基板
- 【出願番号】実願平10−6715
【出願日】平成10年(1998)7月27日
【出願人】
【識別番号】000110893
【氏名又は名称】ニチレイマグネット株式会社
【識別番号】000201191
【氏名又は名称】
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