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ボ―ド取付用清掃具
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- 【要約】
【課題】 本願出願人の先願に係るホワイトボード用イレイザーが持つ特長を活かしつつ、アームに取付けられた従来のイレイザーの面倒な操作性を改善するボード取付用清掃具を提供する。
【解決手段】 清掃具は、ボード80のボード面70上をボード面70に沿って移動可能に取付けられるアーム81と、このアーム81に取付けられ、ボード面70の筆記を消すイレイザー(外装ケース1)とからなる。イレイザーは、ローラ4がアーム81の一方側(左側)でボード面70に接触する位置から他方側(右側)でボード面70に接触する位置まで回転するように、支持アーム82でアーム81に支持されている。

- 【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】文字や図形等を書くボード面を有するボードに、ボード面上をボード面に沿って移動可能に取付けられるアームと、このアームに取付けられ、ボード面の筆記を消すイレイザーとからなり、前記イレイザーは、下側が開口する外装ケースと、この外装ケースの開口から部分的に出入するように外装ケースの内側に一定角度範囲内で揺動可能に且つ着脱可能に支持され、下側が開口すると共に開口側に微粒子除去部を有する内装ケースと、この内装ケースの開口から部分的に突出した状態で内装ケースの内側に一定角度範囲内で揺動可能に且つ着脱可能に支持され、表面にボード面の微粒子を付着すると共に前記内装ケースの微粒子除去部が接触する清掃面を有する転動体とを備え、前記転動体をボード面に押圧させて回転させたときに、ボード面から転動体の清掃面に付着した微粒子が内装ケースの微粒子除去部により除去されて、内装ケースと転動体とで形成される空間に収容されるようにすると共に、転動体がアームの一方側でボード面に接触する位置から他方側でボード面に接触する位置まで回転するようにアームに支持されていることを特徴とするボード取付用清掃具。
【請求項2】前記イレイザーをアームの一方側の位置、他方側の位置及び一方側と他方側のほぼ中間位置にそれぞれ固定する固定手段を備えることを特徴とする請求項1記載のボード取付用清掃具。
【請求項3】前記イレイザーをボード面に押圧する付勢手段を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のボード取付用清掃具。
【請求項4】前記イレイザーは、アームの一方側に複数本並設されていることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3記載のボード取付用清掃具。
【請求項5】前記イレイザーにおける内装ケースの揺動可能な角度範囲は転動体の揺動可能な角度範囲より狭く、内装ケースの揺動が制止された状態で更に転動体が揺動することで、転動体の清掃面に付着した微粒子が内装ケースの微粒子除去部により除去されることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4記載のボード取付用清掃具。
【請求項6】前記イレイザーにおける転動体は、その清掃面にボード面との摩擦を増大させて転動を促進させる摩擦面を転動方向に沿う方向に有することを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4又は請求項5記載のボード取付用清掃具。
【請求項7】前記イレイザーにおける転動体は、その清掃面にブラシ状布が設けられており、前記内装ケースは、その開口両側に微粒子除去部を有し、各微粒子除去部の先端がブラシ状布に接触することを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5又は請求項6記載のボード取付用清掃具。
【請求項8】前記転動体に設けられたブラシ状布は、転動体の端面の中心線を境界として一方側及び他方側でそれぞれ斜め上向きに起毛し、前記内装ケースの微粒子除去部は、その先端にそれぞれ対応のブラシ状布の起毛方向とは反対の斜め上向きに起毛するブラシ状布を有することを特徴とする請求項7記載のボード取付用清掃具。
【請求項9】前記イレイザーにおける内装ケースは、内装ケースと転動体とで形成される空間を開放することが可能なカバーを有することを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7又は請求項8記載のボード取付用清掃具。
【請求項10】前記イレイザーにおける内装ケースは外装ケースに対して、前記転動体は内装ケースに対して、それぞれ嵌合により着脱可能に取付けられることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8又は請求項9記載のボード取付用清掃具。
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- 【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、ボードに例えば専用の水性マーカーペンで描かれた文字や図形等の筆跡を消去するボード取付用清掃具に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、通常の黒板に代わって、白色のボード面を有するボード(いわゆるホワイトボード)と、ボード面上を左右方向にスライドするようにボード面の前側に垂設されると共に、ボード面に書かれた文字や図形等の筆記を感知する感光部機構を設けたアームとを備える電子黒板が広く使用されている。このような電子黒板では、図19に示すように、ボード101は床面に対して垂直若しくはほぼ垂直に立設され、そのボード面102にフェルト製のペンや水溶性マーカー等により書く。そして、アーム103をボード面102に対してスライドさせることにより、アーム103の感光部機構(図示せず)でボード面102全体を光学的に走査し、ボード面102の筆記をコピーすることができるようになっており、例えば会議中に議事録等を瞬時に正確にコピーできるため非常に便利である。
【0003】
このような電子黒板において、ボード面102に書き残された筆記をコピー後に消去し、元の白紙の状態に戻すのには、湿ったフェルト製のイレイザーや雑巾等を用いて、人手でボード面102全体を清掃拭きしているのが現状であり、ボード面102のコピーの自動化に比して消去作業は非能率的である。
この実情に鑑み、上記電子黒板において、図19(平面図)及び図20(側面図)に示すようにアーム103にイレイザー110を取付け、アームの移動に伴い、ボード面102の拭き掃除を自動的に行えるようにした、本願出願人の先願に係る「電子黒板用イレイザー」(特願平5−231307号)がある。
【0004】
この公報記載のイレイザー110は、ボード面102に対応して長尺状であり、両端部にブラシ支持部111,112と、このブラシ支持部111,112に着脱可能に支持され、ボード面102に接触するブラシ部113とを有し、ブラシ支持部111,112がアーム103に嵌合されることによりアーム103に固定される。
【0005】
イレイザー110の拡大図を示す図21において、ブラシ支持部111,112は突片114aを有すると共に、ブラシ部113も突片114bを有する。両突片114a,114bは、支軸115により連結されており、この支軸115を支点としてブラシ部113は約90度の範囲で回転することができる。又、ブラシ部113は、ブラシ支持部111,112の突片114b間に架設したクリップ部材116に取付けられている。
【0006】
ブラシ部113は、図21において、クリップ部材116にスポンジ等の保水性芯材117を着脱可能に嵌入し、この保水性芯材117にフェルト等からなる清掃用のブラシ材118を貼付したものである。ブラシ部113は、これをボード面102側に動かせばボード面102との接面状態(図21の状態)になり、ボード面102から離せば非接面状態になる。
【0007】
【考案が解決しようとする課題】
このようなイレイザー110を装備した電子黒板において、ボード面102の筆跡をコピーしながら消去する場合、コピーする前に筆跡が消去されてしまわないように、アーム103の進行方向に対してアーム103の後側にイレイザー110を位置させる必要がある。
【0008】
ところが、上記電子黒板では、イレイザー110はアーム103の一方側(図19では右側)に固定されているため、アーム103がボード面102を右から左に移動する場合は、ブラシ部113をボード面102との接面状態にした上でアーム103を移動させればよいが、アーム103がボード面102の左側に在る場合は、ブラシ部113をボード面102との非接面状態にしてからアーム103を右に一旦移動させ、その後にブラシ部113をボード面102に接面させてから、アーム103を左に移動させなければならない。つまり、コピーと消去を同時に行う場合は、アーム103は必ずボード面102の右側を移動開始位置とする必要があり、操作が面倒である。しかも、使用に伴って、ブラシ部113の表面(即ちブラシ材118の表面)にマーカーペンの残渣(顔料)が付着・堆積してくるため、定期的に洗浄等のメンテナンスを行う必要がある。
【0009】
又、図22に示すように、アーム103の左右両側にイレイザー、即ちブラシ部113a,113bを設けることも提案されている。この場合、コピーと消去を同時に行うときは、アーム103の進行方向における前側のブラシ部113a又は113bをボード面102から離しておけばよいので、一方側にのみイレイザーを設けた場合よりも便利である。しかしながら、イレイザーを両側に設けると、コストが掛かる上に、2つのブラシ部113a,113bのメンテナンスがより面倒となる。
【0010】
一方、上記のようなイレイザー110では、徐々にブラシ部113の表面にマーカーペンの残渣が付着・堆積するので、清掃能力が失われてくる。そうなると、拭き残しが出たり、ボード面102が全体に黒ずんだり、微粒子が床面に飛び散ったり、飛び散った微粒子で衣服を汚したりするなどの不具合が発生する。
このマーカーペンの残渣による問題点を解決するために、本願出願人は、「ホワイトボード用イレイザー」(特願平11−57969号)を先に出願した。このイレイザーでは、後記の実施形態で詳細に説明するように、マーカーペンの残渣が内部に収容されるのに伴って、清掃面が常にクリーニングされるので、長期間にわたって清掃能力が低下せず、残渣の飛散も起きない。
【0011】
この特長を有するイレイザーを上記従来のイレイザー110に代えて使用すればよいのであるが、単に交換しただけでは、マーカーペンの残渣による問題点は解決できても、コピーしながら消去する場合に、アーム103を移動前にボード面102のどちらか一方側に位置させなければならない操作上の面倒な問題点が残る。
【0012】
従って、本考案は、そのような問題点に着目してなされたもので、上記ホワイトボード用イレイザーが持つ特長を活かしつつ、アームに取付けられた従来のイレイザーの面倒な操作性を改善するボード取付用清掃具を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本考案の請求項1記載のボード取付用清掃具は、文字や図形等を書くボード面を有するボードに、ボード面上をボード面に沿って移動可能に取付けられるアームと、このアームに取付けられ、ボード面の筆記を消すイレイザーとからなり、前記イレイザーは、下側が開口する外装ケースと、この外装ケースの開口から部分的に出入するように外装ケースの内側に一定角度範囲内で揺動可能に且つ着脱可能に支持され、下側が開口すると共に開口側に微粒子除去部を有する内装ケースと、この内装ケースの開口から部分的に突出した状態で内装ケースの内側に一定角度範囲内で揺動可能に且つ着脱可能に支持され、表面にボード面の微粒子を付着すると共に前記内装ケースの微粒子除去部が接触する清掃面を有する転動体とを備え、前記転動体をボード面に押圧させて回転させたときに、ボード面から転動体の清掃面に付着した微粒子が内装ケースの微粒子除去部により除去されて、内装ケースと転動体とで形成される空間に収容されるようにすると共に、転動体がアームの一方側でボード面に接触する位置から他方側でボード面に接触する位置まで回転するようにアームに支持されていることを特徴とする。
【0014】
この清掃具は、アームをボードに取付けて使用するもので、特にイレイザーをアームの一方側と他方側に回転移動させることができる構造に特徴を有する。アームにコピー機能が付いているとし、ボード面の筆跡をコピーしながら消去する場合、アームがボード面の例えば左側に在るとき、イレイザーをアームの左側に位置させる。そして、アームを右に移動させれば、ボード面の筆跡がコピーされながら、アームの後側のイレイザーで筆跡が消去される。反対に、アームがボード面の右側に在るときは、イレイザーをアームの右側に位置させてから、アームを左に移動させる。
【0015】
一方、清掃具に使用するイレイザーは、前記「ホワイトボード用イレイザー」
をボード面の幅に応じて長尺状にしたものであり、構造に変わりはなく、同様の作用効果が得られる。つまり、イレイザーをボード面上で移動させると、転動体がボード面上を転がり、転動体の清掃面にマーカーペンの残渣(顔料)が付着する。この清掃面に付着した微粒子は、転動体の回転に伴い、清掃面に接触する内装ケースの微粒子除去部により清掃面から除去され、内装ケースと転動体で形成される空間に収容される。これにより、ブラシ部の表面に微粒子が付着・蓄積する従来のイレイザーとは異なり、転動体の清掃面に付着した微粒子は、内装ケースと転動体で形成される空間に次々に収容され、清掃面は常に綺麗な状態に維持される。
【0016】
従って、本考案の清掃具を使用すれば、上記ホワイトボード用イレイザーが持つ特長(何度使用しても長期間にわたり清掃能力が低下せず、マーカーペンの微粒子を飛散させずに確実に捕捉することができる点)を活かしつつ、アームに取付けられた従来のイレイザーに比べて、操作性が向上し、ボード面の筆跡の消去・清掃を能率良く行うことができる。
【0017】
なお、本考案において、ボードは、ボード面が白色のいわゆるホワイトボードだけでなく、黒色、緑色等の、マーカーペンで書くあらゆるボードを含む。
【0018】
【考案の実施の形態】
以下、本考案を実施の形態に基づいて説明する。
実施形態に係るボード取付用清掃具をボードに取付けた状態の部分正面図(平面図)を図1に、その上面図を図2に示す。ボード80は床面にほぼ垂直に立設され、その表面のボード面70に専用の水性マーカーペンで文字や図形等を描くものである。
【0019】
清掃具は、ボード80のボード面70上をボード面70に沿って左右方向(矢印方向)に移動可能に取付けられたアーム81と、このアーム81に取付けられ、ボード面70の筆記を消すイレイザー(外装ケース1)とからなる。なお、この実施形態では、アーム81はボード面70に沿って自動的に移動する機能と、ボード面70の筆記をコピーする機能とを有するものであるが、これらの機能は従来のものと同様でよいので、説明は省略する。
【0020】
アーム81には支軸83が回転可能に取付けられ、この支軸83に2つの支持アーム82の一端部が固定され、支持アーム82の他端部にイレイザー(外装ケース1)が支軸84で支持アーム82に対して相対的に回転可能に取付けられている。
支軸83はアーム81に設けられた軸受(例えばボールベアリング、図示せず)で容易に回転可能に支持され、支軸84はイレイザーの外装ケース1に嵌挿されている。従って、イレイザーの外装ケース1を持ってアーム81の一方側から他方側に回転させると、支軸83は支持アーム82と一体に回転し、支軸84はイレイザーと一体に且つ支持アーム82に対し相対的に回転する。これにより、イレイザーは、アーム81の一方側でボード面70に接触する位置から他方側でボード面70に接触する位置までほぼ180度の範囲にわたって容易に回転することができる。
【0021】
この清掃具では、イレイザーがアーム81の左側又は右側の位置にあるとき、イレイザーの転動体としてのローラ4がボード面70に確実に密着するように、イレイザーの位置を固定する固定手段が設けられている。この固定手段は、例えば図3に示すような構造である。ここでは、アーム81の適所に固定された固定具91から板バネ90が延び、板バネ90の先端に設けられたフック部90aが、支持アーム82の端部に形成された半円形の溝92a,92b,92cに支持アーム82の回転に伴って嵌合することで、イレイザーの位置が固定される。
【0022】
つまり、フック部90aが溝92aに嵌合すれば、イレイザーはアーム81の左側位置で固定され、フック部90aが溝92cに嵌合すれば、イレイザーはアーム81の右側位置で固定される。又、フック部90aが溝92bに嵌合したときは、イレイザーはボード面70にほぼ垂直な方向に立ち上がった状態で固定される。
【0023】
更に、この清掃具では、イレイザーをボード面70に押圧する付勢手段(スプリング等の弾性体)が設けられている。アーム81は、通常、ボード80の上端に左右方向に移動可能に支持されているので、特にアーム81の下部側がボード面70に対して前後方向に若干ガタツクことがある。このため、イレイザーのローラ4がボード面70に確実に密着するように、例えば支軸84が弾性体でボード面70側に付勢されるようになっている。
【0024】
次に、イレイザーの構造について説明する。イレイザーは、ボード80のボード面70の幅とほぼ同等の長尺状のもので、外装ケース1、内装ケース2、転動体としてのローラ4とを備える。まず、外装ケース1の平面図を図4の(a)に、一部破断正面図を図4の(b)に、端面図を図5の(a)に、一部破断端面図を図5の(b)に示す。この外装ケース1は、下側が開口するもので、両端部に内装ケース2を揺動可能に且つ着脱可能に支持する支持片10をそれぞれ有する。支持片10は、両側に直線状の切欠き12が形成されていることで、外装ケース1の長尺方向に幾分変位可能であり、内装ケース2の凸部25を嵌入する穴11を有する。穴11の直上には、前記支軸84を嵌挿する穴17が形成されている。又、外装ケース1は、その長尺方向の両側面中央部にそれぞれ内側に突出する爪部15を有し、爪部15は、両側に直線状の切欠きが形成されているため、外装ケース1の短尺方向に幾分変位可能である。
【0025】
内装ケース2は、図6〔平面図(a)、一部破断正面図(b)〕及び図7〔端面図(a)、一部破断端面図(b)〕に示すような形状である。但し、ここに示す内装ケース2は、カバー3が着脱可能に取付けられる構造であり、カバー3を取り外した状態のものである。この内装ケース2は、外装ケース1の内側に配置できるように外装ケース1よりも小さく、同様に下側が開口するものである。内装ケース2の両端部には、カバー3を着脱可能に支持する支持片20がそれぞれ設けられている。支持片20は、両側に直線状の切欠き22が形成されていることで、内装ケース2の長尺方向に幾分変位可能であり、カバー3の凸部30を嵌入する穴21を有する。又、内装ケース2の両端部には、それぞれ上記外装ケース1の穴11に嵌入される凸部25が設けられ、凸部25は、ローラ4の凸部41が嵌入される穴25aを有する〔図6の(b)〕。
【0026】
更に、内装ケース2は、図7の(b)に示すように、その開口両側にそれぞれ微粒子除去部27を長尺方向に沿って有する。微粒子除去部27は、その下側先端27aが後記転動体としてのローラ4の清掃面44に接触するようになっており、上側先端27bが係止爪になっている。図面には示されていないが、先端27aは、短繊維が植毛されたブラシ状布で覆われており、このブラシ状布は、ローラ4の清掃面44に設けられたブラシ状布の起毛方向とは反対の斜め上向きに起毛している。
【0027】
この内装ケース2に着脱可能に取付けられるカバー3は、図8〔平面図(a)
、端面図(b)、横断面図(c)〕に示すように湾曲状を呈し、両端部に内装ケース2における支持片20の穴21に嵌入される凸部30を有する。内装ケース2の長尺方向の中心線及び短尺方向の中心線が交差する内側位置には、ローラ4の揺動を制止するストッパ31が突設されている。又、カバー3の長尺方向における両端縁の4隅には、内装ケース2の内壁に係合する係合片33が設けられている。
【0028】
転動体としてのローラは、図9〔平面図(a)、下面図(b)〕及び図10〔端面図(a)、横断面図(b)〕に示すような構造である。このローラ4は、ここでは一部分が欠損した形状であり、上側が開口すると共に内側に空間40を有する。ローラ4は、両端部にそれぞれ内装ケース2の凸部25の穴25aに嵌入される凸部41を有する。
【0029】
ローラ4の表面44は、ボード面の微粒子を付着する清掃面になっており、清掃面44は、ここでは短繊維が植毛されたブラシ状布でローラ4の表面が覆われることで構成されている。図12の(b)に示す部分拡大図から明らかなように、ブラシ状布45は、ローラ4の端面の中心線を境界として一方側及び他方側でそれぞれ斜め上向きに起毛している。即ち、図12の(a)では、一方側(右側)のみ示してあるが、布45は右側では斜め右上に起毛し、左側では斜め左上に起毛している。
【0030】
ローラ4の清掃面44には、ローラ4の転動を促進させる目的で、ボード面との摩擦を増大させる摩擦面47が転動方向に沿う方向(ローラ4の横断方向)に設けられている。この摩擦面47は、例えば清掃面44のブラシ状布を横断方向に取り除き、この除去部分に摩擦抵抗の大きい帯状の弾性体(例えばゴム帯)を取付けることで構成される。この場合、弾性体の表面は、ローラ4をボード面に押付けていないときは、清掃面44のブラシ状布よりも引っ込み、ローラ4をボード面に押付けたときに、ブラシ状布が倒れることで布から現出するように設定されている。勿論、弾性体は予めローラ4に一体形成したものであってもよく、本数や幅は適宜増減すればよい。
【0031】
上記のように構成された外装ケース1、内装ケース2、カバー3、ローラ4を組み立てたイレイザーを図11〔正面図(a)、端面図(b)〕及び図12〔内部構造図(a)、(a)の点線円形で囲んだ部分の拡大図(b)〕に示す。組立方は、まず内装ケース2にローラ4を取付けるが、その前にカバー3の凸部30を内装ケース2の支持片20の穴21に嵌合させると共に、カバー3の係合片33を内装ケース2の内壁に係合させて、内装ケース2にカバー3を取付けておく。そして、ローラ4の凸部41を内装ケース2の凸部25の穴25aに嵌合させることで、ローラ4が内装ケース2に揺動可能に支持される。ローラ4を内装ケース2に取付けた状態では、ローラ4は、その開口両側の端部がカバー3のストッパ31に当たるまで回転可能であり、その範囲内で揺動可能となる。又、内装ケース2の微粒子除去部27の先端27aがローラ4の清掃面44(ブラシ状布)に接触する。
【0032】
次いで、内装カバー2の凸部25を外装カバー1の支持片10の穴11に嵌合させることで、内装カバー2が外装カバー1に揺動可能に支持される。内装カバー2を外装カバー1に取付けた状態では、内装カバー2は、その微粒子除去部27の係止爪27bが外装カバー1の爪部15に当たるまで回転可能であり、その範囲内で揺動可能となる。従って、内装カバー2とローラ4は相対的に回転可能であり、内装カバー2の揺動可能な角度範囲は、ローラ4の揺動可能な角度範囲より狭く設定されている。
【0033】
このイレイザーは、予めボード80に取付けたアーム81の支持アーム82の支軸84を外装ケース1の穴17に嵌挿することで、アーム81に取付けられる。アーム81がボード面70に沿って左方向に移動するときは、イレイザーをアーム81の右側に位置させ、右方向に移動するときは左側に位置させる。このとき、前記したように、板バネ90のフック部90aが支持アーム82の各対応溝92c,92aに嵌合するので、ローラ4とボード面70との密着が維持される。そして、アーム81を移動させれば、ボード面102の筆記のコピーと筆記の消去・清掃が同時に行われる。
【0034】
次に、このイレイザーの作用について説明する。図13において、まずイレイザーが支持アーム82で引っ張られて矢印方向(左方向)に移動する場合を想定すると、ローラ4がボード面70に適度な力で押付けられたまま、イレイザーはマーカーペンで描かれた筆跡(顔料)71に向かって移動する。イレイザーが移動すると、ローラ4の清掃面44に部分的に設けた摩擦面47とボード面70との摩擦により、ローラ4は反時計回り方向(矢印方向)に回転する。
【0035】
このとき、図12の(a)を参照して、内装ケース2の微粒子除去部27の先端27aがローラ4の清掃面44に接触しているため、ローラ4の回転に伴って内装ケース2も同方向に回転する。更に、イレイザーが左方向に移動すると、内装ケース2の一方側(左側)の微粒子除去部27の係止爪27bが外装ケース1の爪部15に当たり、内装ケース2の回転が止まるが、ローラ4は、その開口側の右側端部がカバー3のストッパ31に当たるまで回転する。
【0036】
ストッパ31によりローラ4の回転が停止すると、ローラ4の清掃面44のうち、左側部分がボード面70に接触することになるので、ローラ4が停止したまま、清掃面44の左側部分でマーカーペンの顔料71が拭き取られる。このとき、前記したように清掃面44のうち、左側部分ではブラシ状布が斜め左上に起毛しているため、清掃面44の左側部分は顔料71を掻き落としながら、微粒子72を蓄積する。これにより、筆跡71の消去とボード面70の清掃が行われる。
【0037】
次にイレイザーが右方向に移動する場合を想定すると、イレイザーが右方向に移動すると、同様にローラ4の摩擦面47とボード面70との摩擦により、ローラ4は今度は時計回り方向に回転し、これに伴って内装ケース2も同方向に回転する。すると、内装ケース2の右側の微粒子除去部27の係止爪27bが外装ケース1の爪部15に当たり、先に内装ケース2の回転が止まるが、ローラ4は、その開口側の左側端部がカバー3のストッパ31に当たるまで回転するので、微粒子72が付着した清掃面44の左側部分は、対応の微粒子除去部27の先端27aを越えて、内装ケース2の内側に入り込む。
【0038】
更にイレイザーが右方向に移動すると、ローラ4の開口側の左側端部がカバー3のストッパ31に当たり、ローラ4は停止する。このとき、今度はローラ4の清掃面44の右側部分がボード面70に接触することになるので、ローラ4が停止した状態で、清掃面44の右側部分で顔料71が拭き取られる。清掃面44の右側部分ではブラシ状布が斜め右上に起毛しているため、清掃面44の右側部分は顔料71を掻き落としながら、微粒子72を蓄積する。これにより、1回目では拭き取られなかった筆跡71の消去とボード面70の清掃が行われる。
【0039】
そして、再びイレイザーが左方向に移動する場合、前記したようにローラ4は反時計回り方向に回転し、内装ケース2も同方向に回転する。更にイレイザーが左方向に移動すると、係止爪27bと爪部15との係合により内装ケース2が先に止まるが、ローラ4はストッパ31に当たるまで回転し続ける。この際、内装ケース2の微粒子除去部27の先端27aは、そのブラシ状布がローラ4の清掃面44のブラシ状布の起毛方向とは反対の斜め上向きに起毛しているため、内装ケース2の内側に入り込んでいた清掃面44の左側部分が、内装ケース2から出るときに、左側の微粒子除去部27の先端27aと噛み合うことにより、付着していた微粒子72が掻き落とされ、掻き落とされた微粒子72は、落下することなく内装ケース2とローラ4で包囲された空間(ローラ4の内側空間40を含む)に収容・蓄積される。
【0040】
微粒子72が収容・蓄積されることで、ローラ4の清掃面44の左側部分は、微粒子72が付着していない清浄な初期状態にクリーニングされて、内装ケース2から出る。
続いて、イレイザーが右方向に移動する場合、ローラ4と内装ケース2は共に時計回り方向に回転する。すると、前記と同様に内装ケース2が先に止まり、ローラ4はストッパ31に当たるまで回転し続ける。このとき、内装ケース2の内側に入り込んでいた清掃面44の右側部分が、内装ケース2から出るときに、右側の微粒子除去部27の先端27aと噛み合うことにより、付着していた微粒子72が掻き落とされ、掻き落とされた微粒子72は同様に空間に収容・蓄積される。これにより、ローラ4の清掃面44の右側部分は綺麗にクリーニングされた状態で内装ケース2から出る。
【0041】
このように、イレイザーがボード面70に押付けられた状態でアーム81が移動することで、ボード面70を消去・清掃する動作は、前記従来のイレイザーと全く変わらないが、拭き取った水性マーカーペンの顔料71の微粒子72がイレイザー内部に逐次収容され、ローラ4の清掃面44が常に清浄にクリーニングされる。その結果、何度使用しても長期間にわたり清掃能力が低下せず、筆跡71の拭き残し、ボード面70の黒ずみ、床面への微粒子72の飛び散り、飛び散った微粒子72による衣服の汚れなどの不具合は発生しない。勿論、水洗の必要もない。
【0042】
一方、内装ケース2とローラ4で包囲された空間に収容・蓄積された微粒子72を捨てる場合は、図15の(a)に示すように、外装ケース1の爪部15を外側(矢印側)に変位させ、内装ケース2の微粒子除去部27の係止爪27bが爪部15に当たらないようにした上で、内装ケース2を反転させる(図14参照)
。すると、カバー3が外装ケース1の開口から出るので、例えばゴミ箱の上で内装ケース2からカバー3を外し、軽く振動や打撃を与えれば、内装ケース2とローラ4で包囲された空間(ローラ4の内側空間40を含む)に溜まった微粒子72をゴミ箱に捨てることができる。微粒子72を排出した後は、カバー3を内装カバー2に元通りに取付け、内装ケース2を回転させてカバー3を外装ケース1の内側に戻せばよい。この微粒子72の排出作業は、容易である上に、手や衣服を汚さずに済み、衛生的に行うことができる。
【0043】
なお、上記実施形態のイレイザーは一例であり、種々の変更が可能である。例えば、上記イレイザーでは、内装ケース2の微粒子除去部27の係止爪27bは外装ケース1の爪部15に係合するが、爪部15の代わりに、図15の(b)に示すようにスライド式ストッパ16を用いてもよい。この場合、外装ケース1の所定部分(例えば爪部15が設けられていた部分)に長尺方向の長孔を形成し、この長孔にストッパ16を嵌入し、90°回転させることでストッパ16を外装ケース1に取付ける。そして、内装ケース2の回転を制止させるときは、ストッパ16の制止部16aが微粒子除去部27の係止爪27bに当たるように、ストッパ16を長孔に沿って位置決めする。溜まった微粒子を排出するために内装ケース2を反転させる場合は、ストッパ16をスライドさせ、係止爪27bが制止部16aに当たらないようにする。
【0044】
又、上記イレイザーでは、カバー3は内装ケース2に対し嵌合により着脱するものであるが、図16の(a)のようにスライド式のカバー3′や、図16の(b)のように開閉式のカバー3″でもよい。
更に、前記実施形態では、アーム81はボード80のボード面70に沿って自動的に移動可能なものであるが、手動で移動させるものでもよい。この場合、アーム81又はイレイザーを持って動かせばよい。或いは、アーム81はコピー機能を有するものとして説明したが、コピー機能のないものでもよい。この場合は、アーム81を移動させれば、消去・清掃作用のみが行われる。
【0045】
一方、アーム81の1回の左方向又は右方向への移動でボード面70を綺麗に清掃できなかった場合は、アーム81を左右に数回移動させればよいが、1回の動作で完全に綺麗に清掃するには、例えば図17(平面図)及び図18(上面図)に示すように、アーム81の一方側に複数本(ここでは2本であるが3本以上でもよい)のイレイザー(外装ケース1A,1B)を並設するのが好ましい。この場合、支持アーム82を延長し、外装ケース1A,1Bを支軸84a,84bでそれぞれ支持する。又、イレイザーを2本並設することから、1本のイレイザーは狭幅に形成されており、ボード面70の面積を余り占有しないように配慮されている。勿論、2本のイレイザーは支持アーム82により共にほぼ180°の範囲で回転可能である。
【0046】
このようにイレイザーを複数本並設すると、例えば図17及び図18においてアーム81が右方向に移動するとき、1本目のイレイザー(外装ケース1B)で拭き残しがあっても、2本面のイレイザー(外装ケース1A)でその拭き残しを解消できるので、アーム81が1回移動するだけで、ボード面70をほぼ完全に綺麗に清掃できる。
【0047】
【考案の効果】
本考案のボード取付用清掃具は、以上説明したように構成されるため、次の効果を有する。
(1)イレイザーをアームの一方側と他方側に回転移動させることができるので、イレイザーの操作性が向上し、アームの位置によらず、ボード面を能率良く清掃できる。
(2)転動体の清掃面に付着した微粒子は、内装ケースと転動体で形成される空間に次々に収容され、清掃面は常に綺麗な状態に維持されるため、何度使用しても長期間にわたり清掃能力が低下せず、マーカーペンの微粒子を飛散させずに確実に捕捉することができる。
(3)内装ケースは外装ケースに対し、転動体は内装ケースに対し、それぞれ揺動可能且つ着脱可能であるから、内装ケースと転動体で形成される空間に溜まった微粒子は、例えば外装ケースに対し内装ケースを反転させ、内装ケースに設けられたカバーを開けて空間を開放することで、容易に排出することができ、排出した後は再び内装ケースを回転させて元に戻せばよいので、メンテナンスが容易であり、手や衣服も汚れない。
【0048】
請求項2の構成とすることで、アームの移動中にイレイザーの転動体の清掃面をボード面に確実に密着させることができる。
請求項3の構成とすることで、イレイザーの転動体の清掃面とボード面との密着性をより一層高めることができる。
請求項4の構成とすることで、アームの1回の移動でボード面をほぼ完全に綺麗に清掃できる。
【0049】
又、特に請求項8の構成とすることで、ボード面のマーカーペンの筆跡(顔料)を効率良く拭き取ることができる上に、転動体の清掃面に付着した微粒子を内装ケースと転動体で形成される空間に確実に収容することができる。
更に、特に請求項10の構成とすることで、組立・分解が容易となる。
- 【登録番号】第3064173号
【登録日】平成11年(1999)9月8日
【発行日】平成11年(1999)12月24日
【考案の名称】ボ―ド取付用清掃具
- 【出願番号】実願平11−3531
【出願日】平成11年(1999)5月24日
【出願人】
【識別番号】000234915
【氏名又は名称】八洲電機株式会社
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 茂信
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