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高所作業車のネガティブブレーキの制御装置
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- 【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 直流電動機により車輪を駆動して走行する車両上に昇降自在に作業台を取り付けてなる高所作業車であって、直流電動機と車輪との間の回転伝達系、直流電動機、または車輪に、スプリングによりブレーキ作動するソレノイド解除式のネガティブブレーキを取り付け、このネガティブブレーキのソレノイドへの通電をブレーキ制御信号発生回路を介して行うようにし、且つ前記ブレーキ制御信号発生回路は、前記直流電動機への駆動電源の接続時に前記ソレノイドへ通電し、前記直流電動機への駆動電源の遮断時に前記ソレノイドへの通電を遮断するよう構成したものにおいて、前記ブレーキ制御信号発生回路に、直流電動機の駆動電源の遮断時点に対するソレノイドへの通電の遮断時点を遅延させる遅延手段を取り付けると共に、前記作業台が所定以上上昇したことを検出して作動する検出器を取り付け、この検出器の作動時に前記遅延手段を機能させるよう構成したことを特徴とする高所作業車のネガティブブレーキの制御装置。
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- 【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、直流電動機により車輪を駆動して走行する車両上に昇降自在に作業台を取り付けてなる高所作業車のネガティブブレーキの制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】直流電動機により車輪を駆動して走行する車両上に昇降自在に作業台を取り付けてなる高所作業車は、バッテリ駆動式の小型の高所作業車で実施されている。この種の高所作業車の従来例を図2〜図3に基づいて説明する。図2は高所作業車の側面図を示し、基端筒2aと先端筒2bとからなる伸縮支柱2を車両1上に立設し、この伸縮支柱2の先端筒2bに作業者搭乗用の作業台3を取り付けている。車両1の駆動用の車輪4,4には、直流電動機5,5が直結されており、これら直流電動機5,5は、車両1に設けた駆動電源たるバッテリ6への接断により駆動および停止するようになっている。尚、8は、前記バッテリ6を駆動電源として駆動される油圧発生装置である。前記伸縮支柱2の伸縮駆動は、伸縮支柱2に内蔵した伸縮シリンダ7によっておこなわれるようになっており、この伸縮シリンダ7は、車両1に配置した油圧制御装置9を経由して当該伸縮シリンダ7に給排される油圧発生装置8からの圧油で伸縮駆動されるようになっている。駆動用の車輪4,4は、操向シリンダ(図示せず)によって操向できるようになっており、操向シリンダは、油圧制御装置9を経由して当該操向シリンダに給排される油圧発生装置8からの圧油で駆動されるようになっている。
【0003】 図3は、駆動用の車輪4,4を駆動する直流電動機5,5の、いずれか一方の直流電動機5の制御回路の説明図である。図において、10は、直流電動機5の前進、後進および停止を指令する操作スイッチであって、この操作スイッチ10を前進側に操作するとリレーR1に通電され、後進側に操作するとリレーR2に通電され、中立位置ではリレーR1およびR2への通電が断たれるようになっている。操作スイッチ10が前進側に操作されリレーR1に通電されると、直流電動機5のアマチュア5aおよびフイールドコイル5bへの通電を制御するa接点型のリレースイッチ11および12が接続し、バッテリー6からの電流がリレースイッチ11、アマチュア5a、リレースイッチ12、フイールドコイル5bの順にながれ、その結果直流電動機5が前進側に駆動される。また、操作スイッチ10が後進側に操作されリレーR2に通電されると、直流電動機5のアマチュア5aおよびフイールドコイル5bへの通電を制御するa接点型のリレースイッチ13および14が接続し、バッテリー6からの電流がリレースイッチ13、アマチュア5a、リレースイッチ14、フイールドコイル5bの順にながれ、その結果直流電動機5が後進側に駆動される。直流電動機5の前進側への駆動時と、後進側への駆動時では、アマチュア5aを流れる電流が逆になるようになっている。
【0004】 操作スイッチ10を中立位置(停止位置)にすると、リレーR1およびR2への通電が断たれ、前記リレースイッチ11〜14が断となり、直流電動機5への駆動電流が断たれる。
【0005】 図3の例では、リレーR1およびR2への通電が断たれた時に接続状態になるb接点型のリレースイッチ15および16を直列に介装した電路17により、直流電動機5のフィールドコイル5bへの通電を維持するように構成されており、且つ、リレーR1およびR2への通電が断たれた時に接続状態になるb接点型のリレースイッチ18および19並びに所定の抵抗器20を直列に介装した電路21により、直流電動機5のアマチュア5aの両端を接続している。したがって操作スイッチ10を中立位置に操作して直流電動器5への駆動電流を断つと、高所作業車の走行慣性力により駆動される直流電動機5が、いわゆる電流リターダー(電気式のブレーキ)として機能するようになっている。尚、22は、電路17中に介装されたタイマーであり、このタイマー22は、リレースイッチ15および16が共に接続状態となった時から所定時間(1〜2秒)電路17を導通状態にし、この間電流リターダ(電気式リターダー)を機能させるものである。
【0006】 23は、直流電動機5と車輪4との間の回転伝達系に取り付けられ、スプリング23aによりブレーキ作動するネガティブブレーキである。このネガティブブレーキ23はブレーキ解除用のソレノイド23bを有している。24および25は、ソレノイド23bとバッテリー6を接続する電路26に並列に介装されたa接点型のリレースイッチであって、このリレースイッチ24および25は操作スイッチ10を前進および後進側へ操作した時に通電状態となるリレーR1およびR2のリレースイッチである。リレースイッチ24および25を介装した電路26は、直流電動機5への駆動電源の接断に関連してブレーキ制御信号を発生するブレーキ制御信号発生回路27を構成している。このブレーキ制御信号発生回路27は、直流電動機5への駆動電源の接続時に前記ソレノイド23bへ通電し、前記直流電動機5への駆動電源の遮断時に前記ソレノイド23bへの通電を遮断するものである。この様なブレーキ制御信号発生回路27によりそのソレノイド23bへの通電を制御されるネガティブブレーキ23は、直流電動機5の駆動時に制動が解除され、停止時に制動するように制御されるのである。
【0007】 このように構成した従来の高所作業車のネガティブブレーキの制御装置は、ネガティブブレーキ23が直流電動機5の駆動制御に関連して自動的に制御されるので、傾斜地等において高所作業車を停止させても自動的にネガティブブレーキ23が働くので安全であるという効果を有するものである。
【0008】 しかしながら、上記の従来のネガティブブレーキの制御装置によれば、高所作業車の走行を停止しようとして操作スイッチ10を中立位置に操作して直流電動機5への通電を遮断するとこの操作に対応あるいは近接してネガティブブレーキ23が働くため、伸縮支柱2を伸長させ作業台3が上昇している不安定な状態では、高所作業車が転倒する危険があった。
【0009】 この考案の高所作業車のネガティブブレーキの制御装置は、直流電動機5への通電の遮断時点に対するネガティブブレーキ23の作動時点を作業台3の上昇時には自動的に遅延させるようにし、以て作業台3の上昇時において走行を停止させた時の高所作業車の転倒の危険を解消しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本考案の高所作業車のネガティブブレーキの制御装置は次の如く構成する。直流電動機により車輪を駆動して走行する車両上に昇降自在に作業台を取り付けてなる高所作業車であって、直流電動機と車輪との間の回転伝達系、直流電動機、または車輪に、スプリングによりブレーキ作動するソレノイド解除式のネガティブブレーキを取り付け、このネガティブブレーキのソレノイドへの通電をブレーキ制御信号発生回路を介して行うようにし、且つ前記ブレーキ制御信号発生回路は、前記直流電動機への駆動電源の接続時に前記ソレノイドへ通電し、前記直流電動機への駆動電源の遮断時に前記ソレノイドへの通電を遮断するよう構成したものにおいて、前記ブレーキ制御信号発生回路に、直流電動機の駆動電源の遮断時点に対するソレノイドへの通電の遮断時点を遅延させる遅延手段を取り付けると共に、前記作業台が所定以上上昇したことを検出して作動する上昇検出器を取り付け、この上昇検出器の作動時に前記遅延手段を機能させるよう構成したことを特徴とする高所作業車のネガティブブレーキの制御装置。
【0011】
【作用】以上の如く構成した本考案の高所作業車のネガティブブレーキの制御装置によれば、伸縮支柱2を伸長して作業台3を所定以上上昇させた状態を、上昇検出器が検出し、この検出結果でブレーキ制御信号発生回路に取り付けた遅延手段を機能させるので、直流電動機5への通電の遮断時点に対するネガティブブレーキ23の作動時点を作業台3の上昇時には自動的に遅延させることができるのである。このため、作業台3の上昇時において走行を停止させた時の高所作業車の転倒の危険は解消されるのである。
【0012】
【実施例】以下本考案の高所作業車のネガティブブレーキの制御装置の実施例を第1図に基づいて説明する。本考案の制御装置は、図2および図3に示し上述した従来の制御装置におけるブレーキ制御信号発生装置27の構成が一部異なるのみであるので、上述した全ての符号は、以下の説明においても援用するものとする。
【0013】 図1において、28は、ブレーキ制御信号発生回路27に取り付けた遅延手段である。29は、伸縮支柱2の適所に配置され、伸縮支柱2が所定以上伸長、即ち作業台3が所定以上上昇したことを検出して接続作動する上昇検出器である。前記遅延手段28は、電路26におけるリレースイッチ24,25後段とアース間に介装されたオフディレーリレー28aと、このオフディレーリレー28aにより切断制御されるオフディレースイッチ28bとで以て構成されている。そして、遅延手段28の前記オフディレースイッチ28bは、リレースイッチ24または25が接続時(直流電動機5へ駆動電源が接続された時)に当該接続に即応して接続され、リレースイッチ24および25が共に遮断時(直流電動機5への駆動電源が断たれた時)に当該遮断に所定時間遅延して断たれるようになっている。
【0014】 遅延手段28のオフディレースイッチ28bは前記上昇検出スイッチ29と直列に接続され、電路26におけるリレースイッチ24,25前段と電路26におけるオフディレーリレー28a接続点の後段との間を結ぶ電路30中に介装されている。31は、逆流防止用のダイオードである。
【0015】 次に作用を説明する。作業台3が降下した状態においては、上昇検出スイッチ29が非作動(切断)されているので、遅延手段28が介装された電路30は断たれておりその結果遅延手段28は機能しない。従って操作スイッチ10を中立位置にして直流電動機5への通電を遮断した時には、従来と同様に、当該遮断に即応してソレノイド23bへの通電が断たれネガティブブレーキ23が作動する。
【0016】 作業台3が所定以上上昇しており、上昇検出スイッチ29が作動(接続)している状態では、上昇検出スイッチ29が作動(接続)されているので遅延手段28のオフディレースイッチ28bにバッテリー6電源が印加されている。オフディレースイッチ28bは、操作スイッチ10を中立位置にして直流電動機5への通電を遮断してもこの遮断の時点から所定の時間(コンマ数秒から数秒)遅延して遮断されるので、その間電路30を介してソレノイド23bへの通電が持続されネガティブブレーキ23は解除状態を保つ。所定時間を経過すると遅延手段28のオフディレースイッチ28bが切断されるので電路30が断たれネガティブブレーキ23が作動する。
【0017】 このように本考案の高所作業車のネガティブブレーキの制御装置によれば、直流電動機5の駆動電源の遮断時点に対するソレノイド23b(ネガティブブレーキ23のブレーキ解放用ソレノイド23b)への通電の遮断時点を遅延させる遅延手段28が取り付けられており、この遅延手段28が作業台3の所定以上の上昇を検出して作動する上昇スイッチ29の作動時に機能するようになっているので、遅延時間を適当に設定することにより、作業台3の上昇時において走行を停止させた時の高所作業車の転倒の危険を解消することができるのである。
【0018】 尚、上記の実施例では作業台3の降下時には、直流電動機5への通電の遮断に即応してネガティブブレーキ23を作動させるようにしているが、操作スイッチ10を中立にした時に遮断されるリレースイッチ24および25にオフディレー機能を持たせるようにすることで、作業台3の降下時においても直流電動機5への通電の遮断に遅延してネガティブブレーキ23を作動させるようにしてもよい。勿論この遅延時間は、作業台3が所定以上上昇して上昇検出スイッチ29が作動した場合の遅延時間に比して少なく設定されていることは言うまでもない。
【0019】
【考案の効果】以上の如く構成し作用する本考案の高所作業車のネガティブブレーキの制御装置によれば、極めて簡単な構成により、作業台3の上昇時において走行を停止させた時の高所作業車の転倒の危険を解消できるという優れた効果をもつものである。
- 【登録番号】第2560113号
【登録日】平成9年(1997)10月3日
【発行日】平成10年(1998)1月21日
【考案の名称】高所作業車のネガティブブレーキの制御装置
- 【出願番号】実願平3−9613
【出願日】平成3年(1991)1月31日
【出願人】
【識別番号】000148759
【氏名又は名称】株式会社タダノ
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