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電動車両用バッテリ残容量表示装置
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- 【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 バッテリの残容量をフルマーク〜空マーク間に示し、空マークの手前に残量警報ゾーンがマークされているバッテリ残容量表示装置において、前記残量警報ゾーンのフルマーク側端部と前記フルマークとの略中間位置にセンタマークを明示したことを特徴とする電動車両用バッテリ残容量表示装置。
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- 【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は電動車両用バッテリ残容量表示装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】本出願人は、先に特開平5−94593号公報で電動車の報知装置を提案した。同公報の図3に示す通り電動車はスピードメータやバッテリメータ等の表示部9を備え、バッテリメータ9bには「F」と「E」とその間の目盛が付され、指針がバッテリの残容量を示す構成となっている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】ところで、電動車両はガソリン又はヂーゼルエンジン車両の様に適時燃料を補給することが困難である。充電スタンドがまだ完備していないからである。そこで、遠方へ出かける時には出発時にフル充電し、バッテリ残容量が半分になったら引き返すという運転手法が採られる。
【0004】図13はバッテリメータの一例を示す図であり、フルマーク151と空マーク152との中間位置(L1’=L2’の関係)にセンタマーク153を明示したものである。運転者はセンタマーク153を目安に引き返せばよい。
【0005】しかし、バッテリは充放電を繰返すことで劣化していくことが知られており、バッテリメータの指示容量と実際のバッテリ残容量とに誤差を生じてくることが考えられる。そこで、本考案の目的はバッテリメータにおけるセンタマークの位置を改良して運転の利便を図ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するべく本考案は、バッテリの残容量をフルマーク〜空マーク間に示し、空マークの手前に残量警報ゾーンがマークされているバッテリ残容量表示装置において、残量警報ゾーンのフルマーク側端部とフルマークとの略中間位置にセンタマークを明示した。
【0007】
【作用】バッテリの残容量をフルマーク〜空マーク間で示し、フルマーク側に偏ったセンタマーク位置でバッテリ残容量が半分になったことを表示する。
【0008】
【実施例】本考案の実施例を添付図面に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【0009】図1は本考案に係る電動車両の側面図であり、電動車両1は、車体フレーム2(メインフレーム3と、その前部のヘッドパイプ4と、後部のリアフレーム5等とからなる。)のヘッドパイプ4にフロントフォーク7を介して前輪8を取付け、上部に操向ハンドル9を取付け、メインフレーム3にバッテリ収納ケース10を懸架し、メインフレームの後部にブラケット12及びピボット軸13を介してパワースイングユニット14(走行モータ15を含む)の先端を枢着し、また後斜めに立上がった前記リアフレーム5の上方にヘルメット収納部16とシート17、リアフレーム5の下方にリアサスペンション18を取付け、このリアサスペンション18の下端で支えられたパワースイングユニット14の後部に車軸19を介して後輪21が取付けられた、いわゆる電動二輪車である。
【0010】そして、リアフレーム5に沿って充電器等の電気部品が配列され、車体フレーム2等はカウル、フェンダで全体的に囲われているがこれらについては別図で詳しく説明する。シート17の後方にシートロック機構兼プラグ取出し蓋ロック機構が設けられているがこれについても後述する。図中、22はサイドスタンド、23はローラ、14aはローラ23を受けるための凹部、24はナンバプレート取付け板である。
【0011】図2は本考案に係る車両の車体フレームを主体とした平面図であり、リアフレーム5は平面視で略O型を呈し、それの内側に、車体後部から前部に向ってダウンレギュレータ27、制御部28,29(28は充電制御部でバッテリへの充電の際の制御を行ない、29は走行制御部で走行に係るモータ等の制御を行なう。)、バッテリ冷却ファン30、ヒューズボックス31が順に配列されている。32は電気機器を繋ぐハーネスである。前記メインフレーム3は中空パイプであり、一端が前記バッテリ冷却ファン30の吐出ダクト33に接続されたエアダクトである。このエアダクトを兼ねたメインフレーム3の構造は後述する。そしてメインフレーム3に本実施例では車体前後に3個、左右に2列の合計6個のバッテリ35…が搭載されている。36…はバッテリ固定バンドである。
【0012】図3は本考案に係る車体の略中央横断面図であり、車体前方から見るとメインフレーム3下方にバッテリ収納ケース10のボトムプレート38が配置され、これにバッテリ35…が載置され、バッテリ35の空気取入れ口35aが分岐通路40を介してメインフレーム3に当接されていることに特徴がある。ボトムプレート38はいわゆる波板であり、上下方向の剛性が大きい形状とされている。ボトムプレート38左右端のヒンジ39,39に前記バッテリ固定バンド36,36の一端が係止される。
【0013】図4は本考案に係る車体フレーム、バッテリ収納ケース、附属品の分解斜視図であり、図2,3では説明しなかったが、O型のリアフレーム5にブリッジブラケット41、リアサスペンション18の取付け片42を含むクロスパイプ43、冷却ファン取付け孔44,44を含むクロスパネル45が車体クロス方向に渡されている。このクロスパネル45は前記ピボット軸13を受けるブラケット12,12間に渡された部材である。46,47は制御部取付け片である。
【0014】また、メインフレーム3から略三角形のサポートブラケット49,50,51が垂下され、前記ボトムプレート38を支える。ボトムプレート38両側のヒンジ39…にバッテリ固定バンド36…の下端を合せ、長いピン52で一括揺動可能に係止する。54はバッテリ収納ケース10のサイドをカバーするバッテリケースサイド下部カバー、55はバッテリ収納ケース10の前方をカバーするバッテリケース前カバー、また、56はイグニッションキースイッチ付きメインスイッチ、57はバッテリ受け板、58,59はクッション材(バッテリ35の横ずれを防止する。)である。
【0015】図5は本考案に係る制御部、リアフェンダおよびその付近の部品の分解図であり、制御部前部サポート61は図4の制御部取付け片46,46にボルト止めされ、制御部後部サポート62は図4の制御部取付け片47,47にボルト止めされる。制御部前部サポート61は上面にバッテリ冷却ファンの取付け片63を備え、またボルト64,64で充電制御部28の前部を保持し、更に脚片61a,61aとボルト65,65にて走行制御部29を保持する。制御部後部サポート62はボルト66,66で充電制御部28の後部を保持し、更に脚片62a,62aとボルト67,67でリアフェンダ69の後部を保持する。このリアフェンダ69は図示せぬ後輪21の上位に配置されるものであるが、図示する通り制御部28,29等の収納ボックスを兼ねたものである。
【0016】ところで充電制御部28は充電中に内部のエレメントが発熱するため強制冷却する必要があり、71はそのための充電器冷却ファン、72は吸気口である。73は充電コード、74は充電プラグであり、充電コード73は図右の充電コードボックス76に収納される。この充電コードボックス76は例えば樹脂ブロー成形品であり、取付け片76a,76bで車体フレーム2側に係止される。また、図左下の77は排風ホースであり、充電器内部の熱を逃すためのホースである。なお、78は後部フェンダであり、79はそのためのステイである。
【0017】図6は本考案に係る電動車両のフェンダ、カバーの組立図、図7は車体前部のフェンダ、カバーの分解斜視図、図8は車体後部のフェンダ、カバーの分解斜視図である。図7において、80はフロントフェンダ、81はフロントインナアッパカバー82はフロントフェンダ80の前部の上部に取付けるフロントカバー、83は同下部に取付けるフェンダマッドガード、84はステアリングマッドガード、85はフロントインナアッパカバー、86はステップフロア、87はサイドフロアであり、これらは図6に示す通りにメインフレーム3,ヘッドパイプ4を囲う如くに取付ける。
【0018】図8において、90は車体メインカバー、91はセンタカバーであり、これらは前記ヘルメット収納部16を囲うものである。92はヒューズボックス蓋であり、この蓋92を開閉することで適時ヒューズを交換できる。93はコード取出し口第1蓋、94はコード取出し口第2蓋、95は荷台、そして96は前記ステップフロア86から下方に垂下され、バッテリ収納ケース10のサイド下部を囲うフロアサイドカバー、97は前記車体メインカバー90の後部下縁に沿わされるサイドカバーである。これらは図6に示す通りにメインフレーム3,リアフレーム5を囲う如くに取付ける。図6で破線で示す部品は図1のものと同一なので説明を省略する。
【0019】図9は本考案に係る車両のシート後部の拡大図(シートロック機構兼プラグ取出し蓋ロック機構を示す図)であり、ヘルメット収納部16の上部開口を塞ぐシート17の下面後部に折曲バー(又は折曲パイプ)101が取付けられ、この折曲バー101の下方に着座スイッチ102が配置され、この着座スイッチ102はスイッチ等取付け板103を介して前記ブリッジブラケット41にボルト止めされている。スイッチ等取付け板103は後に詳しく説明する。図中、93はコード取出し口第1蓋、94はコード取出し口第2蓋であり、シート17を開け、先ずコード取出し口第1蓋93を開け、次にコード取出し口第2蓋94を開けることで図1の充電コード73を引出すことができる。105は充電コード73先端のプラグを係止するためのプラグ受けである。また、106はキーシリンダ、107はキーシリンダ106に連結したレバーであり、キーシリンダ106を廻すとレバー107が上昇して、シート17を開放可能にする。詳しくは次に述べる。
【0020】図10は図9の10矢視図であり、スイッチ等取付け板103は上部に、折曲バー101を導くガイド溝108を有し、下部左右に円弧孔109,110が開けられた板部材である。着座スイッチ102をボルト111にて小ブラケット112に締結し、この小ブラケット112を取付け板103の前面に溶接することで、着座スイッチ102をスイッチ等取付け板103の中央下部に取付ける。また、折曲バー101の下降動作で着座スイッチ102を押す第1揺動板114をスイッチ等取付け板103に揺動可能に取付ける。更にまた、第2揺動板116をスイッチ等取付け板103に揺動可能に取付ける。そして第1揺動板114はばね117にて常に反時計方向に付勢され、また第2揺動板116はばね117にて常に時計方向に付勢されている。
【0021】シート17から乗員が離れると、ばね117の作用で図10よりも僅かに第1揺動板114は反時計方向に回転してそれのアーム118が、第2揺動板116のカム119に当って停止する。第2揺動板116が静止しているので、これ以上は第1揺動板114は反時計方向に回転せず、折曲バー101は第1揺動板114で上昇を制限される。従って、シート17はロックされて開かない。即ち、シート17に乗員が座ると図10の状態となって着座スイッチ102が押され、シート17に乗員が座っていないとばね117の作用で図10の状態よりも僅かに第1揺動板114が反時計方向に回転して着座スイッチ102は開放される。よって、シート17のロックをキープしたまま乗員の有無を電気的に検知することができる。
【0022】次にシート17を開く手順を説明する。図9のキーシリンダ106を回動してレバー107を上げる。すると図10の第2揺動板116が反時計方向に回転し、それのカム119が第1揺動板114のアーム118より下位になる。この結果、カム119のロック作用が消滅し、ばね117の作用で第1揺動板114は大きく反時計方向に回転し、折曲バー101の上昇を可能にする。以下、人手でシート17を開ければよい。
【0023】図11は本考案の表示装置の図であり、表示装置120は表示板121にスピード表示部122、バッテリ残容量表示部125、スタンバイインジケータ135、スピードインジケータ136、サイドスタンドインジケータ137及びターンインジケータ138を備えている。
【0024】スピード表示部122は、電動車両1のスピードを0〜60Km/h間で表示する。スタンバイインジケータ135は、4個のランプまたは発光ダイオード135a〜135dからなる。メインスイッチ56がONのときに左右のランプ135b,135dが点灯すること、着座スイッチ102が着座状態を検知し且つサイドスタンド22が収納されたときに各ランプ135a〜135dが1個ずつ順番に点滅すること、走行モータ15が運転状態にあるときに全ランプ135a〜135dが点灯することで、これらの各状態を表示する。スピードインジケータ136は、電動車両1のスピードが30Km/h以上になると点灯表示する。サイドスタンドインジケータ137は、サイドスタンド22がスタンド状態にあるときに点灯表示する。ターンインジケータ138は、右折または左折時に点灯表示する。
【0025】一方、バッテリ残容量表示部125にはフルマーク126、空マーク127、フルマーク126〜空マーク127間の容量表示マーク128がプリントされている。フルマーク126はバッテリ35の満容量を表示し、空マーク127はバッテリの空容量を表示し、容量表示マーク128は途中の残容量を表示するものである。空マーク127の手前に残量警報ゾーン129がプリントされ、この残量警報ゾーン129はバッテリ35の残容量が空になる直前であることを表示するものである。表示板121は、フルマーク126〜空マーク127間にわたり揺動する指針132を備える。
【0026】ところで、バッテリ35が初期状態で劣化等のない場合には、実際の残容量が空のときに指針132が残量警報ゾーン129の空マーク側の端部129aを指すようになっているが、バッテリの劣化や計器系の誤差等があった場合には、この指針132の指す位置がフルマーク側にずれてしまう。これを考慮して、残量警報ゾーン129のゾーン幅が決定される。
【0027】残量警報ゾーン129のフルマーク側の端部129bとフルマーク126との略中間位置にセンタマーク130をプリントしたことを特徴とする。このセンタマーク130はバッテリ35の残容量が満容量の約半分であることを表示するものであるが、正しくはセンタマーク130がフルマーク126側に偏っているので、センタマーク130位置での実際の残容量は、バッテリ35初期状態ではフル充電時の半分よりも多いことになる。
【0028】以上のバッテリ残容量表示装置の作用を次に説明する。図12はバッテリ残容量表示装置の作用説明図である。センタマーク130は容量表示マーク128の中間位置にある(L1=L2の関係)。電動車両1のバッテリ35にフル充電すると、バッテリ残容量表示部125は指針132(図11参照)がS1点を指して、バッテリが満容量であることを示す。
【0029】その後、電動車両1を走行することによりバッテリ35のエネルギが消費されるので、これに応じて指針132が容量表示マーク128上のL1の範囲を移動し、途中の残容量を表示する。電動車両1を更に走行させることによりバッテリ35のエネルギが消費されるので、これに伴い指針132がセンタマーク130を指して、バッテリの残容量が半減したことを表示することにより、運転者に引き返すタイミングを報知する。
【0030】この時点で電動車両1を引き返すと、引き返し走行によりバッテリ35のエネルギが消費されるので、これに応じて指針132が容量表示マーク128上のL2の範囲を移動し、途中の残容量を表示する。電動車両1を元の出発地点まで引き返した時点で指針132はS2点を指しており、バッテリ35にはまだL3で示す範囲だけエネルギが残存していることを示す。
【0031】但し、バッテリの劣化や計器系の誤差等があった場合には、表示された残容量よりも実際の残容量が少ないのでエネルギの余裕残存量は少なくなってくるが、実際の走行には何等影響がない。尚、本考案はいわゆる指針付きバッテリメータ、イルミネート表示式(指針無し)バッテリメータのいずれにも採用できる。
【0032】
【考案の効果】以上に述べたとうり本考案は、バッテリの残容量をフルマーク〜空マーク間に示し、空マークの手前に残量警報ゾーンをマークし、残量警報ゾーンのフルマーク側端部とフルマークとの略中間位置にセンタマークを明示したことにより、バッテリの劣化や計器系の誤差分の残容量を余裕分としてとらえ、その他の容量で実走行をまかなうという考え方に基いて、その半分の容量を運転者に明示するようにしたので、運転の利便を図ることができる。
- 【登録番号】第2573716号
【登録日】平成10年(1998)3月20日
【発行日】平成10年(1998)6月4日
【考案の名称】電動車両用バッテリ残容量表示装置
- 【出願番号】実願平5−56451
【出願日】平成5年(1993)10月19日
【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎 (外3名)
【審査官】 丸山 英行
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