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織機における経糸切断検知装置
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- 【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】経糸毎に支持されるとともに経糸列の幅方向に整列する複数のドロッパーを備え、経糸が切断した際には切断経糸に対応するドロッパーの落下を検知して機台を停止させる織機における経糸切断検知装置において、各ドロッパーに対して、同ドロッパーの先端部と、経糸切断によって落下したドロッパーの先端部に隣接する前記ドロッパーの先端部下部とを異なる色彩に配色したことを特徴とする織機における経糸切断検知装置。
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- 【考案の詳細な説明】
[産業上の利用分野]
本考案は織機における経糸切断検知装置のドロッパーに関するものである。
[従来技術]
製織中に経糸が切断すると、その切断を検知して速やかに機台を停止させねばならない。その方法として、経糸毎に導体からなるドロッパーを支持し、該ドロッパーには電気回路のスイッチを内蔵するドロッパーバーが遊嵌状態に挿入されており、経糸切断によりドロッパーがドロッパーバー上に落下して前記電気回路のスイッチを作動させて機台が停止されるものが知られている。
しかし従来からドロッパーは全て均一色で、しかも同色であるため、多数のドロッパーの中から落下したものを見つけることは非常に煩雑であり、経糸の切断箇所の発見には時間を浪費するものであった。そのため、落下したドロッパーをいち早く検出する装置が実公昭60−21420号公報、特開昭60−81355号公報、及び特開昭62−206062号公報に開示されている。
実公昭60−21420号公報に開示された装置は、落下したドロッパーに対応するドロッパーバーを左右動することで、経糸の支持を失ったドロッパーが経糸に支持されている他のドロッパーより左右の揺れが大きいことから落下したドロッパーを検出し、経糸切断箇所を洗い出している。
特開昭60−81355号公報に開示された装置は、経糸切断装置を含む所定幅を表示装置によって表示し、その幅内を探して経糸切断箇所を発見するものである。
特開昭62−206062号公報に開示された装置は、光電式センサーを備え、織幅方向に移動可能な検出装置により落下したドロッパーを検出するとともに、位置決定装置の灯の点灯によって落下したドロッパーの位置を表示したり、あるいはつかみにより落下したドロッパーを他のドロッパーより上方に突出させ、また他のドロッパーとの間隔を広げるなどして、落下したドロッパーと他のドロッパーとを識別可能にしている。
[考案が解決しようとする課題]
しかしながら、前述したとおり従来装置におけるドロッパーは全て均一色で、しかも各ドロッパーは同色であるため、実公昭60−21420号公報の装置において、多数ドロッパーの中から該当するドロッパーをその動き量のみから見つけることは非常に面倒である。
特開昭60−81355号公報の装置においても、所定の幅内を探すだけではあるが、経糸は高密度であるのが通常であり、所定幅内とはいってもドロッパーの数はかなり多く、その中から落下したものを探すにはやはりかなりの時間を浪費することになり、稼働効率が低下する。また、所定幅を小さくするとそれだけの表示装置が必要となり、制御回路等が複雑化するのみならず、コスト増大が避けられない。
特開昭62−206062号公報の装置は、経糸切断位置の検出の精度は向上するが、このような装置はその制御が複雑であるばかりか、かなり高価なものとなる。また、均一色のドロッパーを、それと同色のしかも多数のドロッパーの中から探す点で前述の装置と同様に、経糸切断位置の検出は煩雑な作業とならざるをえない。
本考案は多数のドロッパーの中から容易に落下したドロッパーを探し出し、速やかに経糸切断位置を検出できる経糸切断検知装置を提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段]
そのため本考案では、経糸毎に支持されるとともに経糸列の幅方向に整列する複数のドロッパーを備え、経糸が切断した際には切断経糸に対応するドロッパーの落下を検知して機台を停止させる織機における経糸切断検知装置において、各ドロッパーに対して、同ドロッパーの先端部と、経糸切断によって落下したドロッパーの先端部に隣接する前記ドロッパーの先端部下部とを異なる色彩に配色した。
[作用]
各ドロッパーはその先端部と先端部下部とが異なる色彩で配色されているため、前記ドロッパーのいずれかが経糸切断により落下すると、落下したドロッパーの先端部はその周囲の正常状態のドロッパーと異なる色彩関係になるため、落下したドロッパーを容易に発見することができる。
[実施例]
本考案を具体化した実施例を第1図から第4図に基づいて説明する。ワープビーム1から送り出されるシート状の経糸Tはバックローラ2、テンションローラ3を経て経糸切断検知装置5に到り経糸T1本毎にドロッパー6を支持している。その後経糸Tはその幅方向に、該経糸Tの上下両側に配された1対の経糸押さえバー8により開口始点を規制され、綜絖4の上下動によって杼口を形成される。そして、図示しない緯入れ装置から前記杼口に緯糸が挿入され、筬12により筬打ちされて織布Wを形成する。
前記経糸切断検知装置5は電導性の前記ドロッパー6及びドロッパーバー7から構成されている。そして、前記ドロッパー6はドロッパーバー7が挿入される長孔6aと、該長孔6aの下方に経糸T1本が通される透孔6bとが形成され、前記長孔6aは、ドロッパー6が経糸Tに支持されている状態ではドロッパーバー7の後述する導体7aとは接触しない充分な大きさに形成されている。ドロッパー6の先端部6cには長孔6aの上端近傍にかけて白色の塗装が施されているとともに、前記白色塗装の下部から長孔6aの下端近傍にかけてのドロッパー6の周縁部6dに黒色の塗装が施されている。即ち、白色塗装された先端部6cに対する黒色塗装された下部6dの位置関係は、第3図及び第4図に示されるように、経糸切断が生じたドロッパーが落下したとき、その白色塗装された先端部6cに対応する隣接ドロッパーの位置が黒色塗装された下部6dとなるように配色されている。なお、本実施例では、長孔6aの周囲には電導性を損なわないように塗装はされていない。経糸Tの幅方向に架設されて多数のドロッパー6に遊嵌状態に挿入されるドロッパーバー7は、導体7aと抵抗体7c、及び両者の間に介在される絶縁体7bから構成されている。そして、導体7aの一端が織機制御装置14及び経糸切断位置表示回路13に接続される一方、抵抗体7bが直流電源9と閉回路を構成するとともに、経糸切断位置表示回路13に接続され、通常は導体7aと抵抗体7cとは電気的に接続されず、経糸切断によって落下したドロッパー6′を介して接続されるようになっている。
経糸押さえバー8の上部に経糸切断検位置を表示するための複数の等間隔に配されたLEDαi(i=1〜6)からなる表示装置11が設置され、該表示装置11は前記経糸切断位置表示回路13からの信号に基づいて所定のLEDαiが点灯し、経糸の切断箇所を所定の幅単位で表示する。
以上のように構成した本実施例の作用について説明する。機台運転中には経糸毎に支持された多数のドロッパー6が全て同じ高さにあり、ドロッパー6の先端部6c付近の白色塗装とその下部6dの黒色塗装とが経糸Tの幅方向に整列した状態にある。
経糸T′が切断すると、その経糸T′に対応するドロッパー6′はその支持を失い、ドロッパーバー7上に落下する。これにより導体7aと抵抗体7cとがドロッパー6′を介して電気的に接続され、落下したドロッパー6′の位置に対応する電圧信号が織機制御装置14に入力して機台が停止される。一方、前記電圧信号は経糸切断位置表示回路13に入力し、該表示回路13からの出力信号により表示装置11の2つのLEDα2,α3が点灯して経糸切断箇所を含む幅を表示する。なお、経糸切断位置表示回路13及び表示装置11の回路構成等の詳細については特開昭60−81355号公報に開示された公知の技術を用いればよい。
前記表示装置11により表示される幅内のドロッパー6の列は、ドロッパー6先端部6cの白色及びその下部の周縁部6dの黒色が整然と並んでおり、その1か所がドロッパー6′の落下によって分断されて黒色の中に白色が入り込んだ状態になっている。白色と黒色とは別系統の色であるため、作業者は極めて容易に落下したドロッパー6を探し出すことができ、即ち経糸Tの切断箇所が認識される。その後、切断経糸を織布側に繋ぎ機台の運転が再開される。このように、経糸切断箇所の発見が速やかであるほど、切断経糸を織布側に繋ぎ機台の運転を再開するのに費やされる時間は短縮され、織機の稼働効率は向上するものである。
以上の実施例においては、ドロッパー6の先端部6cを白色、その下部の周縁部6dを黒色に塗装したが、その他の色彩によりコントラストを付与してもよく、またドロッパーバー7自体を前記ドロッパー6のコントラストに合わせた色にしてもよい。
本考案は勿論以上の実施例に限定されるものではなく、落下したドロッパー6に対応するドロッパーバー7を左右動させて、落下して経糸の支持を失ったドロッパー6′の他のドロッパー6との動き量の違いから経糸切断箇所を検出するようにしてもよく、その場合ドロッパー6とドロッパー6′との動き量の相違に併せてコントラスト色の配列の分断から、該当するドロッパー6′を極めて容易に探し出すことができ、経糸切断位置の検出作業に費やす時間を短縮することが可能である。
[考案の効果]
以上詳述したように本考案は、各ドロッパーの先端部とその下部とに対し、異なる色彩となるように配色したため、経糸切断によって落下したドロッパーはその先端部が隣接する周囲の他のドロッパーと異なる配色になるため、機台上方側から見ても落下ドロッパーの位置を簡単に探し出すことができ、その後の経糸繋ぎ作業も含めて織機の再起動までに要する時間を短縮して織機の稼動効率を向上させることができる。
- 【登録番号】第2545229号
【登録日】平成9年(1997)5月2日
【発行日】平成9年(1997)8月25日
【考案の名称】織機における経糸切断検知装置
- 【出願番号】実願平2−69419
【出願日】平成2年(1990)6月28日
【出願人】
【識別番号】999999999
【氏名又は名称】
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