製紙用脱水ローラの構造
- 【要約】
【課題】脱水効果を更に高め、且つ紙の平面度を更に高めるべく、製紙用脱水ローラの構造を提供する。
【解決手段】内部が空洞を呈した内筒20、及び該内筒20外周にはこれを覆う一層以上の網状を呈した外筒40を設け、該内筒20の外周上には複数の凹溝22を設け、該内筒20の各該凹溝22上には隔離板25を設けるべく更に嵌設溝24を設け、こうして複数の空間26を形成し、また各該空間26底部には該内筒20と相通する吸収孔27を設け、該外筒40が該空間26の上部を覆ってパルプPを支え、最後に一層の布製ベルト62を併せてパルプPを該外筒40に密着させ、該内筒20の真空吸水によって脱水を行う。
- 【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】機械本体上に自由に回転するべく内筒が枢設されており、且つ該内筒外側にはこれをカバーするべく網状の外筒が設けられている製紙用脱水ローラの構造において、該内筒は内部の空洞を呈した個所を収納空間としており、該収納空間中には真空室が設けられており、該内筒の外周には数個に隔てられた空間が設けられており、該空間底部には該内筒の収納空間と貫通している吸水孔が設けられており、また該外筒は完全に該空間の上部を封じており、パルプに直接密着してこれを支え、真空脱水の媒介面となっていることを特徴とする製紙用脱水ローラの構造。
【請求項2】該内筒収納空間中には真空室が懸吊されており、該真空室の上端は外部と密閉状態で該内筒内壁と連結されており、該真空室は更に該内筒外の真空ポンプに連結されており、該内筒の空間の吸水孔が、該内筒の回転に伴って順に該真空室の最上端に設けられた開口部を通過することで、真空室と順に相通することを特徴とする請求項1記載の製紙用脱水ローラの構造。
【請求項3】該内筒の外周には間隔を開けて複数の凹溝が設けられており、各該凹溝間にはリブが設けられており、また該リブ上には隔離板を嵌設するべく、ある一定の間隔で嵌設溝が設けられており、これらによって多数の空間が形成されていることを特徴とする請求項1記載の製紙用脱水ローラの構造。
【請求項4】該網状の外筒は粗目の内網層と細目の内網層とが重なって構成されていることを特徴とする請求項1記載の製紙用脱水ローラの構造。
- 【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は製紙用脱水ローラの構造に係り、特に脱水効果及び紙完成時の平面度が大幅にアップされる製紙用脱水ローラの構造の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、製紙の行程において、脱水機の構造は後続の乾燥のコスト、紙が完成した最の平面度に影響を及ぼすものであり、非常に重要なポイントとなっている。
公知構造の製紙における脱水機の主な構造としては、二つの布製ベルト間にパルプを挟んで脱水ローラをかけ、その真空作用によって脱水の効果を上げるというものが主である。この目的を達成するために、脱水機外表面にはプラスティック層を設けているが、脱水機と共に吸水孔が貫設されていることで、該脱水ローラが弾力性を以って該布ベルトを圧迫するようにしており、該布製ベルト中のパルプから水分を押し出すのと同時に、真空ポンプを作動させることによって更に脱水効果を高めている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかし、上述のような公知における脱水機には以下のような欠点がある。
先ず、ローラをかけて脱水する際、布製ベルトが脱水ローラの圧力を受け、ローラの軌跡が直接パルプ表面に出てしまうこと、並びにパルプの繊維が圧力を受けて浮き出てしまうことが挙げられ、これらが原因となって紙が完成した際に平面が平らでなく、小さな凹凸ができやすいといったことである。
更に、該脱水ローラの吸水孔は、最も小さくても一般には4mmぐらいの大きさが限度となっており、しかしパルプの粒はそれよりも小さく、つまりパルプの粒が該吸水孔にて詰まり易いことが言え、ローラのメンテナンスも手間がかかり、且つローラにおける単位面積当たりの孔数にも限りがある、つまり吸水孔の面積(全体の37%)に限度があり、効果的な脱水効果が今だ得られていないことが言える。
そこで、本考案は前記のような課題に鑑みてなされたもので、脱水効果を更に高め、且つ紙の平面度を更に高めるべく、本考案の製紙用脱水ローラの構造を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、請求項1の考案は、機械本体上に自由に回転するべく内筒が枢設されており、且つ該内筒外側にはこれをカバーするべく網状の外筒が設けられている製紙用脱水ローラの構造において、該内筒は内部の空洞を呈した個所を収納空間としており、該収納空間中には真空室が設けられており、該内筒の外周には数個に隔てられた空間が設けられており、該空間底部には該内筒の収納空間と貫通している吸水孔が設けられており、また該外筒は完全に該空間の上部を封じており、パルプに直接密着してこれを支え、真空脱水の媒介面となっていることを特徴とする製紙用脱水ローラの構造である。
請求項2の考案は、該内筒収納空間中には真空室が懸吊されており、該真空室の上端は外部と密閉状態で該内筒内壁と連結されており、該真空室は更に該内筒外の真空ポンプに連結されており、該内筒の空間の吸水孔が、該内筒の回転に伴って順に該真空室の最上端に設けられた開口部を通過することで、真空室と順に相通することを特徴とする請求項1記載の製紙用脱水ローラの構造である。
請求項3の考案は、該内筒の外周には間隔を開けて複数の凹溝が設けられており、各該凹溝間にはリブが設けられており、また該リブ上には隔離板を嵌設するべく、ある一定の間隔で嵌設溝が設けられており、これらによって多数の空間が形成されていることを特徴とする請求項1記載の製紙用脱水ローラの構造である。
請求項4の考案は、該網状の外筒は粗目の内網層と細目の内網層とが重なって構成されていることを特徴とする請求項1記載の製紙用脱水ローラの構造である。
すなわち、前記の各考案は、内部が空洞を呈した内筒、及び該内筒外周にはこれを覆う一層以上の網状を呈した外筒を設け、該内筒の外周上には複数の凹溝を設け、該内筒の各該凹溝上には隔離板を設けるべく更に嵌設溝を設け、こうして複数の空間を形成し、また該空間底部には該内筒と相通する吸収孔を設け、該外筒が該空間の上部を覆ってパルプを支え、最後に一層の布製ベルトを併せてパルプを該外筒に密着させ、該内筒の真空吸水によって脱水を行うものである。
【0005】
【考案実施の形態】
本考案の実施例を図に沿って説明すると、図1〜図5に示すように、本実施例の主な構造とは、機械本体上に枢設された内筒20、該内筒20の外側をカバーする網状の外筒40とより構成されている。
該内筒20は中が空洞を呈しており、該空洞個所が収納空間21となっており、該収納空間21には真空室30が懸吊されており、該真空室30の最上端に設けられた開口部31は該内筒20の内壁面と真空状態で連結されており、更に該真空室30は該内筒20外の真空ポンプに連結されて、該真空室30を真空状態にしている。
該内筒20の外周には複数の凹溝22が形成されており、各該凹溝22間にはリブ23が形成されており、更に各該リブ23上にはある一定の位置に嵌設溝24が設けられており、該嵌設溝24には隔離板25が嵌設され、こうして多数の空間26が形成されており、該空間26の底部には該内筒20にまで貫通した収納空間21の吸水孔27が設けられており、各該吸水孔27は該内筒20の回転に伴い、該真空室30の最上端開口部31を順に通過する、つまり回転によって各該吸水孔27は順に該真空室30と相通した状態を繰り返す。
【0006】
該内筒20外周には網状の外筒40が設けられているのであり、該外筒40は完全に該空間26の上端を封じており、該外筒40はパルプに直接貼り付いたような状態で支える。該外筒40上には均等に網目が設置されており、該内筒20の最上端である開口部を通過することより、該外筒40がパルプの局部ではなく、全部に対して脱水を行うようになっている。また該外筒40は目の粗い内網層41及び目の細かい外網層42とが重なって構成されているのであり、該粗い目の内網層41の構造は、該内筒20外周に良好な耐圧構造をもたらし、更に細かい目の該外網層42は真空脱水を紙全体に対して均等に行う効果をもたらしている。更に本考案では従来のような煩雑なメンテナンスを省くため、網洗浄機50で水を噴きつけることにより、常にパルプの細かい繊維が洗浄する。
【0007】
図6に示すように、本考案の実施例では、数個の導輪61を設け、更に各該導輪61上には布製のベルト62を設け、該導輪61の回転を受けて該ベルト62が回転すると、本考案の該内筒20が両導輪61間にて回転し、該ベルト62下方にてパルプPが該ベルト62下方に附着し、該パルプPは順に該外筒40を経過し、該網状の外筒40がパルプ全体に対して均等に脱水を行う。
【0008】
【考案の効果】
本考案によると、該外筒が媒介面となって真空室,吸水孔,空間がパルプ全体に対して均等に脱水が行えるようになり、脱水効果が更にアップし、同時に該外筒の網目が非常に細かいことより、パルプの繊維も入りこむことがなく、使用が更に便利になり、且つ出来上がった紙の表面も平らかとなるなど、多くの効果が達成された。
- 【登録番号】実用新案登録第3095465号(U3095465)
【登録日】平成15年5月14日(2003.5.14)
【発行日】平成15年7月31日(2003.7.31)
【考案の名称】製紙用脱水ローラの構造
- 【出願番号】実願2003−322(U2003−322)
【出願日】平成15年1月24日(2003.1.24)
【出願人】
【識別番号】503035659
【氏名又は名称】
- 【代理人】
【識別番号】100111442
【弁理士】
【氏名又は名称】小原 英一
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