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エレクションピースおよび柱用鉄骨
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- 【要約】
【課題】鉄骨の吊持の際に変形しにくいエレクションピースおよび該エレクションピースを備える鉄骨を提供すること。
【解決手段】建物の柱を構築するために用いられる鉄骨(10,12)に取り付けられる全体に板状を呈するエレクションピース(14,16)は、鉄骨に固定される1の側端(22)を規定する基部(18)と、基部から伸びかつ他の側端(24)を規定する端部(20)とを含み、基部(18)は端部(20)より大きい厚さ寸法を有する。

- 【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】建物の柱を構築するために用いられる鉄骨に取り付けられる全体に板状を呈するエレクションピースであって、前記鉄骨に固定される一方の側端を規定する基部と、該基部から伸びかつ他方の側端を規定する端部とを含み、前記基部は前記端部よりも大きい厚さ寸法を有する、エレクションピース。
【請求項2】前記エレクションピースはその両側端に連なる一端および他端を有し、さらに、その他方の側端からその一端を越えて伸びる突出部を含む、請求項1に記載のエレクションピース。
【請求項3】前記エレクションピースは、前記鉄骨の下端部に、その一端および他端がそれぞれ上方および下方に位置するように取り付けられる、請求項2に記載のエレクションピース。
【請求項4】前記エレクションピースはその両側端に連なる一端および他端を有し、さらに、その一端の近傍においてその他方の側端からその一方の側端と反対側へ突出する突出部を含む、請求項1に記載のエレクションピース。
【請求項5】前記エレクションピースは、前記鉄骨の上端部に、その一端および他端がそれぞれ下方および上方に位置するように取り付けられる、請求項4に記載のエレクションピース。
【請求項6】前記基部および前記端部の境界部分を貫通する少なくとも1つの孔を含む、請求項1〜5のいずれかに記載のエレクションピース。
【請求項7】建物の柱を構築するために用いられる上端部および下端部を有する鉄骨であって、該鉄骨の両端部の少なくとも一方に取り付けられた少なくとも1つのエレクションピースを備え、前記エレクションピースは前記鉄骨に固定された一方の側端を規定する基部と、該基部から伸びかつ他方の側端を規定する端部とを有し、前記基部は前記端部よりも大きい厚さ寸法を有する、鉄骨。
【請求項8】前記鉄骨の下端部に取り付けられたエレクションピースはその両側端に連なりかつ上方および下方にそれぞれ位置する一端および他端を有し、また、その他方の側端からその一端を越えて伸びる突出部を含む、請求項7に記載の鉄骨。
【請求項9】前記鉄骨の上端部に取り付けられたエレクションピースはその両側端に連なりかつ上方および下方にそれぞれ位置する一端および他端を有し、また、その一端の近傍においてその他方の側端からその一方の側端と反対側へ突出する突出部を含む、請求項7に記載の鉄骨。
【請求項10】前記エレクションピースはその基部および端部の境界部分を貫通する少なくとも1つの孔を含む、請求項7〜9のいずれかに記載の鉄骨。
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- 【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、建物の柱を構築するために用いられる柱用の鉄骨およびこれに取り付けられるエレクションピースに関する。
【0002】
【従来の技術】
建物の柱を構築するため、1の鉄骨を建て込んだ後、その上に他の鉄骨を継ぎ足すことが行われている。継ぎ足される他の鉄骨は、先に建て込まれた1の鉄骨上に吊り下げられ、この間に両鉄骨のエレクションピースに適当な治具を適用することにより、前記1の鉄骨に対する位置の調整、仮止めがなされる。
【0003】
鉄骨の上端部およびその下端部、より詳細にはこれらの表面に、前記鉄骨の吊り下げのための鋼製の板片からなるいわゆるエレクションピースが取り付けられる。エレクションピースには、鉄骨の吊持のために用いられるワイヤを通すための孔が設けられている。
【0004】
ところで、鉄骨の運搬のための吊り下げの間、鉄骨の重量、吊り下げ操作等に起因して、エレクションピースがこれと鉄骨との取付部の近傍において変形することがあり、このため、後に行われる鉄骨の位置の調整および仮止めに際しての前記治具の適用に支障を生じるという問題があった。
【0005】
この問題は、厚さ寸法のより大きいエレクションピースを用いることにより解消することができるが、そうすると、できる限り軽量であることが望ましいエレクションピースおよび鉄骨の大幅な重量増大を招く。
【0006】
また、前記従来のエレクションピースは、これに適用された前記治具の分離防止に有効な構造とはなっていなかった。
【0007】
【考案が解決しようとする課題】
したがって、本考案の目的は、鉄骨の吊持の際に変形しにくいエレクションピースおよび該エレクションピースを備える鉄骨を提供することにある。また、本考案の他の目的は、柱の建て方における鉄骨の位置の調整または仮止めに用いられる治具の分離防止に有効な構造を有するエレクションピースおよび該エレクションピースを備える鉄骨を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本考案は、建物の柱を構築するために用いられる鉄骨に取り付けられる全体に板状を呈するエレクションピースに関し、該エレクションピースは前記鉄骨に固定される1の側端を規定する基部と、該基部から伸びかつ他の側端を規定する端部とを含み、前記基部は前記端部より大きい厚さ寸法を有する。
【0009】
また、本考案は、建物の柱を構築するために用いられる鉄骨に関し、該鉄骨はその上端部および下端部の少なくとも一方に取り付けられた少なくとも1つの前記エレクションピースを備える。
【0010】
前記エレクションピースはさらに突出部を含むものとすることができる。前記エレクションピースはその両側端に連なる一端および他端を有し、前記突出部は前記エレクションピースの他方の側端からその一端を越えて伸び、または、前記エレクションピースの一端の近傍においてその他方の側端からその一方の側端と反対側へ伸びる。
【0011】
前者の突出部を有するエレクションピースは、好ましくは、前記鉄骨の下端部に、その一端および他端がそれぞれ上方および下方に位置するように取り付けられる。また、後者の突出部を有するエレクションピースは、好ましくは、前記鉄骨の上端部に、その一端および他端がそれぞれ下方および上方に位置するように取り付けられる。
【0012】
前記エレクションピースは、その基部およびその端部の境界部分を貫通する少なくとも1つの孔を含むものとすることができる。
【0013】
【考案の作用および効果】
本考案によれば、全体に板状を呈するエレクションピースを厚さ寸法の大きい基部とこれに連なる、厚さ寸法の小さい端部とからなるものとし、かつ厚さ寸法の大きい前記基部が規定する側端を鉄骨に対する固定端としたことから、エレクションピースの全部を厚さ寸法の大きいものとする場合と比べてその重量増大を最小限に抑えると共に、鉄骨に対するエレクションピースの取付部近傍の強化を図り、該取付近傍が鉄骨の吊持の際に変形しにくいものとすることができる。
【0014】
また、エレクションピースの各突出部は、鉄骨同士の継ぎ足し作業における鉄骨の位置の調整または仮止めに用いられる治具のための引掛かり手段を提供し、これによりエレクションピースからの前記治具の離脱防止を図ることができる。
【0015】
エレクションピースを貫通する孔は、該エレクションピースが取り付けられた鉄骨の吊り下げのために用いられるワイヤの挿通用孔として、あるいは、1の鉄骨上に載置された他の鉄骨の垂直度調整を行うために該他の鉄骨に複数のロープを掛けてこれを地上から引張るときの前記ロープの挿通用孔として用いることができる。
【0016】
前記孔の穿設位置は、穿設に伴うエレクションピースの強度低下の程度を考慮して、前記エレクションピースの基部および端部の境界部分とすることが望ましい。なお、鉄骨の吊持は、エレクションピースに前記ワイヤを掛けるための任意の鋼製ピースを溶接して行うことができる。
【0017】
【考案の実施の形態】
図1を参照すると、建物の柱を構築するために先に建て込まれた柱用の1の鉄骨(下方の鉄骨)10上に、該鉄骨に継ぎ足される柱用の他の鉄骨12(上方の鉄骨)が上下方向に向けて吊り下げられている。
【0018】
継ぎ足される鉄骨12は、クレーン(図示せず)でその両端部を吊持することにより地上から鉄骨10の上方位置まで運搬され、その後、上下に向けて吊り下げられ、この間に上方の鉄骨12が下方の鉄骨10と同軸になるようにその配置位置を調整され、下方の鉄骨10に仮止めされる。
【0019】
各鉄骨10,12の運搬および吊り下げのため、各鉄骨の両端部にそれぞれ2つのタイプの複数のエレクションピース14,16が取り付けられている。但し、図1には、鉄骨10の上端部および鉄骨12の下端部のみが示されており、また、鉄骨10の上端部および鉄骨12の下端部にそれぞれ取り付けられたエレクションピース16およびエレクションピース14のみが示されている。
【0020】
各鉄骨10,12は矩形の横断面形状を有し、その外周面が4つの平坦面により規定されている。エレクションピース14,16の取付対象である鉄骨には、図示の矩形の横断面形状を有するもののほか、例えば円形、H形等の横断面形状を有するものがある。
【0021】
図2に示すように、各エレクションピース14,16は、全体に板状を呈し、基部18と、これに連なる端部20とを含む。図示の例では、基部18の長さ寸法が端部20のそれより大きいものに設定されている。図示の例に代えて、同じ長さ寸法に設定することも可能である。
【0022】
各エレクションピースの基部18および端部20は、それぞれ、一方の側端22および他方の側端24を規定する。各エレクションピース14,16は、また、両側端22,24に連なる一端26および他端28を有する。図示の例では、一端26は鈍角を以て互いに交差する2つの面からなり、また、他端28は1つの平坦面からなる。両側端22,24は前記エレクションピースの幅寸法を規定し、両端26,28は前記長さ寸法を規定する。
【0023】
下方の鉄骨10に固定されたエレクションピース(上方のエレクションピース)14はその一端26および他端28がそれぞれ上方および下方に位置するように、また、上方の鉄骨12に固定されたエレクションピース(下方のエレクションピース)16はその一端26および他端28がそれぞれ下方および上方に位置するように配置され、各エレクションピースの基部の側端22において各鉄骨に溶接により固定されている。
【0024】
図示の例では、各エレクションピース14,16の側端22が先細に形成されており(図2参照)、前記溶接により、各鉄骨10,12とこれに接する先細の側端22とが規定する空間が溶接金属30で満たされ、さらに、両端26,28の一部の周囲が溶接金属30で覆われている(図1参照)。
【0025】
エレクションピース14,16は各鉄骨10,12の各端部の各平坦面の中央部に取り付けられている。したがって、両鉄骨12が互いに整合するとき、上方のエレクションピース14の他端(下端)28と、下方のエレクションピース16の一端(上端)26とが互いに対向する。
【0026】
各エレクションピースの基部18は端部20よりも大きい厚さ寸法を有する。
前記エレクションピースの全部ではなく基部18のみの厚さ寸法を大きいものとすることにより、前記エレクションピースの厚さ寸法を増大することによる強度向上に伴う前記エレクションピースの重量増大を最小限に抑えることができる。
また、これにより、前記鉄骨の運搬および吊り下げ時に受ける負荷に対する基部18の変形抵抗を向上させることができる。
【0027】
両エレクションピース14,16は、さらに、形状の異なる突出部32,34をそれぞれ備える。
【0028】
両エレクションピース14,16は、基本的に、突出部32,34を除いた残りの部分において、互いに一致する形状を有する。突出部32,34を設けることは省略してもよいが、これらの突出部を設けるときは、後記治具の使用の際、両エレクションピース14,16への前記治具の適用状態をより効果的に維持することができる。
【0029】
上方のエレクションピース14の突出部32は、該エレクションピースの端部20の側端24から一端(上端)26を越えて伸びている。図示の突出部32は、エレクションピースの上端26の近傍において側端24に連なる円筒部36と該円筒部から上方へ伸びる棒状部38とからなり、いずれの部分も側端24の幅寸法より小さい幅寸法を有する。また、図示の例では、棒状部38は基部22の上端より上方の高さ位置で終端している。突出部32の円筒部36は、これに前記治具をひも(図示せず)で吊り下げておくのに役立つ。
【0030】
他方、下方のエレクションピース16の突出部34は、該エレクションピースの一端(下端)の近傍において端部20の側端24から他の側端22と反対側へ膨出するように突出している。
【0031】
これらの突出部32,34は、下方の鉄骨10に対して水平方向へ互いにわずかにずれた状態で並んだときの上方の鉄骨12の前記位置の調整を行うために用いられる治具40(図3)の落下防止に役立つ。
【0032】
図示の治具40は全体に細長い環状体からなり、上下の鉄骨10,12に取り付けられた前記状態の両エレクションピース14,16を受け入れ可能であるスロット42を有する。
【0033】
治具40は、そのスロット42に上方のエレクションピース14の突出部32を通し、スロット42の上縁部をエレクションピースの上端26に載せることにより、スロット42に上下のエレクションピース14,16が受け入れる。
【0034】
治具40は突出部32の棒状部分38との引掛かりのため、両エレクションピース14,16からの分離、落下が防止される。
【0035】
治具40による上方の鉄骨12の位置の調整は次のようにして行われる。まず、治具40に螺合されそのスロット42の上部を横切る方向へ伸びる2つのボルト44を回し、治具40を上方のエレクションピース14に固定する。
【0036】
次に、治具40に螺合されそのスロット42の下部を横切る互いに相対する一対のボルト46をそれぞれ進退する方向へ回す。これにより、下方のエレクションピース16を介して下方の鉄骨10に反力を担わせる間に、上方のエレクションピース14を介して上方の鉄骨12に水平移動を生じさせる。
【0037】
このようにして、鉄骨12の位置を調整した後、治具40の下端に螺合されたボルト48を回して下方のエレクションピース16の突出部34の下端面に当てる。突出部34はボルト48がエレクションピース16の側端24側への移動を阻害する作用をなる。これにより、エレクションピース16からの治具40の分離または離脱、落下が防止される。
【0038】
各エレクションピース14,16には、その基部18とその端部20との境界部分を貫通する孔50が設けられている。孔50は、各鉄骨の前記運搬および吊り下げのために用いられるワイヤロープ(図示せず)の通し穴として用いられる。前記境界部分は、孔50の穿設に伴うエレクションピースの強度低下を抑えるのに役立つ。
【0039】
孔50の穿設を省略してもよい。この場合には、前記ワイヤロープを引掛けあるいは通すことができる孔を有する鋼片(図示せず)を前記エレクションピースの端部20に溶接する。
【0040】
前記エレクションピース、特に下方のエレクションピース16には孔50の下方位置において前記境界部分を貫通するさらにもう一つの孔52が穿たれている。
【0041】
この孔52は、建て込み後の下方の鉄骨10の垂直度を調整すべく該鉄骨の上端部に地上から引張力を及ぼすために用いられるロープ(図示せず)を通す孔として利用することができる。
【0042】
なお、前記エレクションピースは鍛造による製作が可能であり、これにより切削加工に比べてより大幅なコストダウンを図ることが可能である。
- 【登録番号】実用新案登録第3081572号(U3081572)
【登録日】平成13年8月22日(2001.8.22)
【発行日】平成13年11月9日(2001.11.9)
【考案の名称】エレクションピースおよび柱用鉄骨
- 【出願番号】実願2001−2747(U2001−2747)
【出願日】平成13年5月7日(2001.5.7)
【出願人】
【識別番号】596118530
【氏名又は名称】熊谷テクノス株式会社
- 【代理人】
【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行
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