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防眩ミラー
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- 【要約】
【課題】 視認性を維持しつつ眩しさを軽減する。
【解決手段】 ガラス1の上面にCrまたはCr2O3膜2を形成し、このCrまたはCr2O3膜2の上面に蒸着等により金(Au)または銅(Cu)膜3を形成し、このAuまたはCu膜3の上面にCr膜4を形成して防眩ミラーを構成する。CrまたはCr2O3膜2は半透明となるような厚さを有し、ミラーの明るさを調整する。AuまたはCu膜3は、ミラーに入射される光の青色成分の反射率を低下させる。AuまたはCu膜3はガラス1への密着性が悪く、ガラス1に直接接合すると簡単に剥がれるのに対し、CrまたはCr2O3膜2はガラス1の密着性がよい。このため、CrまたはCr2O3膜2を介してAuまたはCu膜3を形成することで、AuまたはCu膜3のガラス1への密着性がよくなる。Cr膜4ではAuまたはCu膜3を保護する。
- 【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 ガラスの上面に形成された第1のCr膜またはCr2O3膜と、この第1のCr膜またはCr2O3膜の上面に形成され、光の三原色成分のうち青色成分の反射率が他の色成分の反射率よりも低い金属膜と、この金属膜の上面に形成された第2のCr膜とを備えることを特徴とする防眩ミラー。
【請求項2】 ガラスの上面に形成された第1のCr膜またはCr2O3膜と、この第1のCr膜またはCr2O3膜の上面に形成されたAu膜と、このAu膜の上面に形成された第2のCr膜とを備えることを特徴とする防眩ミラー。
【請求項3】 ガラスの上面に形成された第1のCr膜またはCr2O3膜と、この第1のCr膜またはCr2O3膜の上面に形成されたCu膜と、このCu膜の上面に形成された第2のCr膜とを備えることを特徴とする防眩ミラー。
【請求項4】 ガラスの上面に形成された第1のCr膜またはCr2O3膜と、この第1のCr膜またはCr2O3膜の上面に形成されたAu膜またはCu膜と、このAu膜またはCu膜の上面に形成された第2のCr膜とを備え、この第2のCr膜の上面に車両用後写鏡を接合可能な両面接着部材を取り付けたことを特徴とする防眩ミラー。
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- 【考案の詳細な説明】
【考案の属する技術分野】
【0001】
本考案は、光の反射率を低くして眩しさを軽減する防眩ミラーに関する。
【0002】
【従来の技術】
車両のバックミラーやサイドミラーに太陽や後続車のヘッドライトの光が入り込むと、眩しさのために後方の様子を確認できなかったり、運転者の疲労感が増したりする。このため、光の反射率を低くして眩しさを軽減する防眩ミラーが従来から各種提案されてきた。
【0003】
図5は実願昭61-2191号のマイクロフィルムに記載された従来の車両用防眩ミラーの横断面図である。図5の防眩ミラーは、透明基板11の背面に透明光学薄膜12を成膜し、この透明光学薄膜12の背面に金属反射膜13を形成したものである。透明基板11はガラスやアクリル等で、透明光学薄膜12はTiO2等で、金属反射膜13はCr等でそれぞれ形成されている。また、後写鏡の表面が高級感のある淡いブロンズ色となるように、金属反射膜13の膜厚を約500オングストロームとし、かつ透明光学薄膜12の膜厚を150オングストローム以下としている。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
車両用の防眩ミラーでは、反射率の最低規格値(以下、反射率規格値と呼ぶ)
が38%に定められている。ところが、防眩ミラーの反射率を反射率規格値38%ぎりぎりにするとミラーが薄暗くなり、特に夜間等はミラーに映る光景をはっきりと視認できなくなる。このため、通常は反射率を50%程度に設定することが多い。
【0005】
一方、光の三原色成分である赤、緑、青の各色成分のうち、人間の目には青色成分が最も眩しく感じられることが一般に知られている。図6は、従来の防眩ミラーの代表的な材料であるアルミニウム(Al)、クロム(Cr)、銀(Ag)
のそれぞれについて、光の波長と反射率との関係を図示したものである。図示のように、従来の防眩ミラーは、入射光の波長が変化しても反射率を常に一定にしていた。このため、例えば反射率を50%に設定すると、入射光の強度によっては青色成分の影響を強く受け、かなり眩しく感じられる場合があった。
【0006】
本考案の目的は、視認性を維持しつつ眩しさを軽減できる防眩ミラーを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
考案の一実施の形態を示す図1に対応づけて本考案を説明すると、本考案は、ガラス1の上面に形成された第1のCr膜またはCr2O3膜2と、この第1のCr膜またはCr2O3膜2の上面に形成され、光の三原色成分のうち青色成分の反射率が他の色成分の反射率よりも低い金属膜3と、この金属膜3の上面に形成された第2のCr膜4とを備えることにより、上記目的は達成される。
すなわち、請求項1に記載の考案では、青色成分の反射率が他の色成分の反射率よりも低い金属膜3を設けることで、光の三原色成分のうち最も眩しく感じられる青色成分の反射率を低くして眩しさを軽減する。
請求項2に記載の考案は、ガラス1の上面に形成された第1のCr膜またはCr2O3膜2と、この第1のCr膜またはCr2O3膜2の上面に形成されたAu膜3と、このAu膜3の上面に形成された第2のCr膜4とを備えるものである。
すなわち、請求項2に記載の考案では、Au膜3を直接ガラス1に接合すると剥がれやすいため、Au膜3の両面にCr膜またはCr2O3膜2,4を形成してガラス1に接合することで、ガラス1への密着性を高める。
請求項3に記載の考案は、ガラス1の上面に形成された第1のCr膜またはCr2O3膜2と、この第1のCr膜またはCr2O3膜2の上面に形成されたCu膜3と、このCu膜3の上面に形成された第2のCr膜4とを備えるものである。
すなわち、請求項3に記載の考案では、Cu膜3を直接ガラス1に接合すると剥がれやすいため、Cu膜3の両面にCr膜またはCr2O3膜2,4を形成してガラス1に接合することで、ガラス1への密着性を高める。
請求項4に記載の考案は、ガラス1の上面に形成された第1のCr膜またはCr2O3膜2と、この第1のCr膜またはCr2O3膜2の上面に形成されたAu膜またはCu膜3と、このAu膜またはCu膜3の上面に形成された第2のCr膜4とを備え、この第2のCr膜4の上面に車両用後写鏡を接合可能な両面接着部材5を取り付けたものである。
すなわち、請求項4に記載の考案では、第2のCr膜4の上面に図4のような両面接着部材5を取り付けることで、本考案の防眩ミラーを車両用後写鏡に接合可能とする。
【0008】
なお、本考案の構成を説明する上記課題を解決するための手段の項では、本考案を分かり易くするために下記の考案の実施の形態の図を用いたが、これにより本考案が下記の考案の実施の形態に限定されるものではない。
【0009】
【考案の実施の形態】
以下、図1〜3に基づいて本考案の一実施の形態を説明する。
図1は本考案における防眩ミラー10の一実施の形態の断面図である。本実施の形態の防眩ミラー10は、ガラス1の上面にCrまたはCr2O3膜2を形成し、このCrまたはCr2O3膜2の上面に蒸着等により金(Au)または銅(Cu)膜3を形成し、このAuまたはCu膜3の上面にCr膜を形成して構成される。すなわち、本実施の形態の防眩ミラー10は、CrまたはCr2O3膜2、AuまたはCu膜3、およびCr膜4から成る3層構造を有する。
【0010】
CrまたはCr2O3膜2はミラーの明るさを調整するためのものであり、半透明となるような厚さ(例えば、30〜100オングストローム程度)を有する。
AuまたはCu膜3は、ミラーに入射される光の青色成分の反射率を低下させるためのものであり、例えば1000〜1200オングストローム程度の厚さを有する。AuまたはCu膜3はガラス1への密着性が悪く、ガラス1に直接接合すると簡単に剥がれるのに対し、CrまたはCr2O3膜2はガラス1への密着性がよい。このため、図1では、ガラス1の上面にCrまたはCr2O3膜2を介してAuまたはCu膜3を接合することで、AuまたはCu膜3のガラス1への密着性をよくしている。
【0011】
Cr膜4はAuまたはCu膜3を保護するためのものであり、例えば1000〜1500オングストーム程度の厚さを有する。このCr膜4でAuまたはCu膜3の上面を覆うことで、銅の腐食を防止でき、かつAuまたはCu膜を保護できる。
【0012】
図2は、Au膜とCu膜のそれぞれについて、光の波長と反射率との関係を図示したものである。図示のように、Au膜とCu膜は双方とも、赤色成分→緑色成分→青色成分の順に反射率が低下する性質を有する。すなわち、Au膜またはCu膜3に光を照射すると、青色成分の反射率が他の色成分の反射率よりも低くなる。また、図2のように、青色成分以外の色成分の反射率は比較的高く、図2の反射率曲線を積分した領域(図示の斜線部)の面積も十分に大きいため、夜間等のようにミラーへの入射光の強度が弱い場合でも、防眩ミラー10の視認性が向上する。
【0013】
図3は、Cr膜2上面にAu膜3を形成した防眩ミラー10の光の波長と反射率との関係を示す図である。図示のように、図2のAuまたはCu膜の特性と似通った特性を有し、青色成分(波長が400〜500nm)の反射率が十分に小さく、かつ500nm以上の波長の光の反射率は十分に大きくなる。
【0014】
このように、本実施の形態の防眩ミラー10は、ミラー内部にAuまたはCu膜3を形成するため、光の三原色成分のうち青色成分の反射率を他の色成分の反射率よりも低くできる。すなわち、AuまたはCu膜3を形成することで、光の三原色成分のうち最も眩しく感じられる青色成分の反射率を低く設定できる一方で、赤色成分と緑色成分の反射率を比較的高めに設定でき、ミラーの視認性を維持しつつ眩しさを軽減できる。したがって、夜間等でも防眩ミラー10の視認性が向上する。
【0015】
さらに、本実施の形態では、AuまたはCu膜3の両面をCr膜2,4で挟んだ3層構造にしたため、ガラス1への密着性を向上でき、かつAuまたはCu膜3を保護でき、耐久性が向上する。また、AuまたはCu膜3を形成すると、防眩ミラー10の外観色が金色または銅色になるため、質感および高級感が得られるとともに、デザイン的にも優れたものとなる。
【0016】
図4は図1の防眩ミラー10を車両のドアミラーに取り付ける手順を示す図である。まず、図4(a)のように防眩ミラー10のCr膜4の背面側に直径が役50mmのスポンジ製の両面テープ5を貼り付け、次に図4(b)のようにCr膜4の背面をドアミラー6の前面に両面テープ5により接着することで取付が完了する。なお、ドアミラー6の前面ガラスの形状(サイズや曲率等)は車両によって異なるため、取付を行う車両のドアミラー6に合わせてガラス1等の裏面の曲率や外形形状を予め加工しておく。
【0017】
上記実施の形態では、防眩ミラー10を車両のドアミラー6に取り付ける例を説明したが、フェンダーミラーやバックミラー等に取り付けてもよい。あるいは、本実施の形態の防眩ミラー10をそのまま単体で利用してもよい。
【0018】
上記実施の形態では、青色成分の反射率を低くするためにAuまたはCu膜3を用いたが、図2の特性と等価な特性を有する金属であれば、AuまたはCu膜3以外の金属を用いてもよい。
【0019】
このように構成した一実施の形態にあっては、AuまたはCu膜3が金属膜に、Cr膜2が第1のCr膜に、Cr膜4が第2のCr膜に、両面テープ5が両面接着部材に、それぞれ対応する。
【0020】
【考案の効果】
以上詳細に説明したように、本考案によれば、光の青色成分の反射率が他の色成分よりも低い金属層をミラー内部に形成するため、人間の目に最も眩しく感じられる青色成分を効率よく低減できる。
請求項2,3に記載の考案によれば、光の赤色成分および緑色成分の反射率に比べて青色成分の反射率が低いという性質を有するAu膜またはCu膜をミラー内部に形成するため、眩しさの原因となる青色成分を低減できるとともに、赤色成分および緑色成分の反射率をある程度高く設定できるため、ミラーの視認性を向上できる。また、AuまたはCu膜を形成することで、防眩ミラーの外観色を金色または銅色にでき、質感および高級感が得られ、デザイン的にも優れたものになる。
請求項4に記載の考案によれば、本考案の防眩ミラーをサイドミラーやバックミラー等の車両用後写鏡に両面接着部材を介して接着するため、車両用後写鏡を交換することなく本考案の防眩ミラーを取り付けることができる。また、両面接着部材により接着するため、特別な熟練を要することなく本考案の防眩ミラーを車両用後写鏡に取り付けることができる。
- 【登録番号】第3021072号
【登録日】平成7年(1995)11月22日
【発行日】平成8年(1996)2月16日
【考案の名称】防眩ミラー
- 【出願番号】実願平7−7838
【出願日】平成7年(1995)7月28日
【出願人】
【識別番号】591120022
【氏名又は名称】二光光学株式会社
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 冬紀
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