商品収納棚
- 【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 箱状の商品を積み重ねて収納すると共に前記商品を収納するための前方開放部を有する商品収納コラムと、この商品収納コラムへの前記商品収納の際前記前方開放部に前記商品を案内するガイドと、端部が軸支され前記商品収納コラムへの前記商品収納の際には開く位置に又前記商品収納後は前記前方開放部を閉鎖する位置に回動係止される回動板とを備えた商品収納装置を複数並設した商品収納棚において、前記商品収納コラムを密接して並設すると共に、前記ガイドは並設した前記商品収納コラムの一方の最外端部にのみ設ける一方、前記回動板は隣接する前記商品収納コラムの間に回動板の側端部から所定の距離離れた位置で軸支すると共に、前記商品収納コラムの前方開放部を閉鎖する位置と、前記前方開放部を開く位置と、前記商品収納コラムに隣接する一方の前記商品収納コラムに対して前記前方開放部に前記商品を案内する位置とに選択的に回動係止可能な構造としたことを特徴とする商品収納棚。
- 【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、自動販売機の商品収納棚に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の自動販売機において、商品を多数積み重ねて商品収納コラム(以下コラムという)に収納し、販売指令に従いコラムの下部に設けた商品押出部材によりコラムの最下部の商品を一個づつ搬出するという方式のものがあり、図3はこのようなコラム及び商品押出部材の横断上面図、図4はその側面図である。
【0003】図3において、コラム1内に多数積み重ねた状態で収納されている図示しない例えばタバコ等の箱体状の商品は、図示しない販売制御部からの販売指令により、コラム1の下部に設けられ、コラム1の底板1aに形成された移動溝2aに沿って水平方向に往復運動する商品押出部材2により、コラム1の最下部の商品から順次図示しない商品取り出し口へ搬出される。
【0004】やがて、商品が売り切れると、コラム1内への商品の補充を行うが、この商品の補充は、商品収納時には商品の前方落下を防ぐ商品前方落下防止部材としての機能を果たす一方、商品補充時には商品をコラム1内へ案内する商品収納案内部材としての機能を果たす回転板である前カバー3を用いて行う。
【0005】ここで、この前カバー3は、図4に示すように前カバー3の上下面の端部近傍にそれぞれ第1係止軸4を突設し、この第1係止軸4をこのコラム1の前端上下に水平に延出している支持板5,6にそれぞれ設けられている嵌入孔5a,6aに嵌入することにより回動自在となっているものである。
【0006】また、この前カバー3は下部の第1係止軸4が設けられていない側の端部近傍に、内部に嵌入された図示しないコイルスプリングに抗して、手により引上げ動作が可能な第2係止軸7を有している。そして、この第2係止軸7は図3に示すコラム1の前端下部に水平に延出している支持板6に設けられた第1係止孔6b又は第2係止孔6cに選択的に係止するものである。
【0007】ここで、第1係止孔6bは商品補充時に補充商品をコラム1の前方開放部1bより入れるとき、商品の補充を容易にするため商品が前カバー3に案内されてコラム1内に収納されるよう図3の破線で示すように、前カバー3を少なくとも90度以上に開くような位置(以下補充位置という)に設けられている。また、第2係止孔6cは、前カバー3を同図に示すような商品の前方落下を防ぐためコラム1の前方開放部1bを閉じるような位置(以下閉鎖位置という)に係止するような位置に設けられている。
【0008】なお、上下2つの支持板5,6の間には、コラム1内への商品の補充を容易に行えるよう商品を案内する前カバー3と同じ高さを有するガイド8が少なくとも90度以上外側に開いた状態で固定されている。
【0009】そして、コラム1内へ縦方向に積み重なった商品を収納する場合には、まず第1係止孔6bに前カバー3の第2係止軸7を係止する。その後、商品をガイド8と前カバー3とで形成される空間に移動し、商品をコラム1の前方開放部1bの方向に押す。これにより、商品はガイド8及び前カバー3に案内されながら、やがてコラム1の中に収納される。
【0010】商品をコラム1内に収納した後は、第2係止軸7を手で引上げて前カバー3の係止を解除し、次に前カバー3をコラム1の前方開放部1b方向に回動した後、第2係止軸7を第2係止孔6cに係止する。これにより、前カバー3はコラム1の前方開放部1bを塞ぐことになり、コラム1内に収納された商品が販売時の商品押出部材2による搬出の衝撃等により前方に落下するのを防ぐことができる。
【0011】
【考案が解決しようとする課題】ところが、自動販売機内にこのようなコラム1を複数個並設する場合、コラム1は図3に示すように少なくとも90度以上外側に開いた状態のガイド8を備えていることから、コラム1とコラム1を密着させることができず、自動販売機内の空間の利用効率が悪くなるという問題がある。
【0012】本考案は、自動販売機内の空間の利用効率を損なうことなく並設することのできる自動販売機の商品収納棚を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本考案は、箱状の商品を積み重ねて収納すると共に前記商品を収納するための前方開放部を有する商品収納コラムと、この商品収納コラムへの前記商品収納の際前記前方開放部に前記商品を案内するガイドと、端部が軸支され前記商品収納コラムへの前記商品収納の際には開く位置に又前記商品収納後は前記前方開放部を閉鎖する位置に回動係止される回動板とを備えた商品収納装置を複数並設した商品収納棚において、前記商品収納コラムを密接して並設すると共に、前記ガイドは並設した前記商品収納コラムの一方の最外端部にのみ設ける一方、前記回動板は隣接する前記商品収納コラムの間に回動板の側端部から所定の距離離れた位置で軸支すると共に、前記商品収納コラムの前方開放部を閉鎖する位置と、前記前方開放部を開く位置と、前記商品収納コラムに隣接する一方の前記商品収納コラムに対して前記前方開放部に前記商品を案内する位置とに選択的に回動係止可能な構造としたものである。
【0014】
【作用】この構成により、1つの回動板を1つの商品収納コラムに対しては、商品収納コラムの前方開放部を閉鎖することにより商品の前方落下を防止でき、商品補充時には、開いた位置にすることにより補充商品の前方開放部からの案内部材として作用すると一方、隣接する商品収納コラムに対しては補充商品の前方開放部からの案内部材として作用するよう選択的に回動係止することができる。
【0015】
【実施例】以下、図面を参照して本考案の実施例を説明する。
【0016】図1は、本考案の一実施例に係る自動販売機の商品収納棚の横断上面図であり、この場合コラムが3つ並設されている。なお、同図において、図3、4と同一符号は同一又は相当部分を示している。
【0017】9は一つのコラム1に対しては前方開放部1bを塞ぐと共に、商品収納案内板としての機能を果し、さらに隣接する一方のコラム1においては商品収納案内板としての機能を果たす回動板である前カバーであり、コラム1とコラム1の中間の位置で支持板5,6の嵌入孔5a,6aに嵌入され回動自在となっている。
【0018】なお、この前カバー9の第1係止軸4の突設位置は、前カバー9上下面の端部9aではなく端部9aから所定の距離だけ離れた位置としている。これは、並設されたコラム1間には隙間が生じるため、従来の前カバー3のような第1係止軸4の突設位置では後述する2つの補充位置に前カバー9が係止されたとき、前カバー9の端部9aとコラム1の先端1cとの間に隙間ができるのを防ぐためである。
【0019】これにより、2つの補充位置のどちらか一方に前カバー9が係止された際、前カバー9の端部9aがコラム1の端部1cに近接するようになり、商品が前カバー9の端部9aとコラム1の先端1cとの間の隙間においてコラム1の先端1cにひっかかることにより、商品をコラム1内に入れることができなくなるということを防ぐようにしている。
【0020】また、図2に示すようにこの前カバー9の第1係止軸4の設けられている端部9aと反対側の端部には、第2係止軸7が内設されている。ここで、この第2係止軸7を内設したのは、本考案においては前カバー9の両面を商品収納案内板として使用するため、商品と第2係止軸7とが接触するのを防ぐためである。このため、この第2係止軸7の係止を開放するためには前カバー9に設けられた第2係止軸7の係止を開放するための開口部7aに指を入れ、第2係止軸7に巻装されているコイルスプリング7bに抗して第2係止軸7を引き上げるように構成されている。
【0021】6dは、前カバー9が一つのコラム1に対して商品案内板としての機能を果たすための補充位置の他に、隣接する一方のコラム1において商品収納案内板としての機能を果たすための補充位置に前カバー9を係止する第3係止孔である。そして、この係止孔6dに前カバー9の第2係止軸7を係止することにより、前カバー9は近接する一方のコラム1に対し90度以上に開くことになり、商品補充時に補充商品をコラム1の前方開放部より入れるとき、それが案内されて補充が容易になるようにしている。
【0022】次に、このように構成された自動販売機の商品収納棚の前カバーを用いた商品の収納及び商品前方落下防止動作について説明する。
【0023】ここで、前記3つのコラム1を図1において左側からコラム1A,1B,1Cとし、コラム1A,1B,1Cの商品が全て売り切れた後、例えば図1の一番左のコラム1Aから順番に商品を収納する場合について説明する。なお、前記前カバー9は、コラム1A,1B,1Cに対応して左側から前カバー9A,9B,9Cとし、この場合全ての前カバー9A,9B,9Cは閉鎖位置に係止されている。この状態で、一番左のコラム1Aに商品を収納するためには、一番左のコラム1Aと中央のコラム1Bとの中間に設けられている前カバー9Aの第2係止軸7の係止を手で解除した後、この前カバー9Aを反時計回りに回動させ、この一番左のコラム1Aの第1係止孔6bに前カバー9Aの第2係止軸7を係止する。
【0024】この後、商品をガイド8と前カバー9Aとの間に置いた後、コラム1Aの方向に押し込むことにより商品を収納する。なお、この際、前カバー9Aの端部9aは一番左のコラム1Aの端部1cに近接しており、またガイド8もコラム1Aの他の端部1cに近接しているため、商品はコラム1Aの先端にひっかかることなくコラム1A内に収納される。
【0025】一番左のコラム1Aに商品を収納した後、次に中央のコラム1Bに商品を収納する。この場合は、先ず商品を収納するための第1係止孔6bに係止されている前カバー9Aの第2係止軸7の係止を手で解除した後、この前カバー9Aを時計回りに回動させ、中央のコラム1Bに商品を収納するための第3係止孔6dに係止する。
【0026】一方、中央のコラム1Bと一番右のコラム1Cとの間に設けられている前カバー9Bの第2係止軸7の係止を解いた後、この前カバー9Bを反時計回りに回動させ、中央のコラム1Bの第1係止孔6bに係止する。これにより、2つの前カバー9A,9Bは90度以上に開いた状態となり、この後、商品を2つの前カバー9A,9Bの間に置いた後、コラム1Bの方向に押し込むことにより、商品を収納する。
【0027】最後に、一番右のコラム1Cに商品を収納する場合は、先ず中央のコラム1Bの第1係止孔6bに係止されている前カバー9Bの第2係止軸7の係止を解いた後、この前カバー9Bを時計回りに回動させ、第3係止孔6dに係止する。
【0028】一方、一番右のコラム1Cの右側に設けられている前カバー9Cの第2係止軸7の係止を解いた後、この前カバー9Cを反時計回りに回動させ、一番右のコラム1Cの第1係止孔6bに係止する。これにより、2つの前カバー9B,9Cは90度以上に開いた状態となり、この後、商品を2つの前カバー9B,9Cの間に置いた後、コラム1Cの方向に押し込むことにより、商品を収納する。
【0029】このようにして、3つのコラム1A,1B,1Cに商品をそれぞれ収納した後、3つの前カバー9A,9B,9Cを時計回りに回動させ、商品の前方落下を防止するための第2係止孔6cにそれぞれ係止する。
【0030】このように、前カバー9を2つのコラム1間で共用して使用できるような位置に設けることにより、一つのコラム1に対しては前方開放部1bを塞ぐと共に、商品収納案内板としての機能を果たし、さらに隣接する他のコラムにおいては商品収納案内板としての機能を果たすようにすることができる。
【0031】
【考案の効果】以上のように本考案によれば、1つの回動板を1つの商品収納コラムに対しては商品の前方落下防止部材としての機能を果すよう、また商品補充時には商品収納案内板としての機能を果すよう、さらに隣接する一方のコラムにおいては商品収納案内板としての機能を果たすよう選択的に係止することができる。このように1つの回動板を選択的に係止して3つの機能を果たすようにすることにより、自動販売機内の空間の利用効率を損なうことなくコラムを並設することができる。
- 【登録番号】第2521291号
【登録日】平成8年(1996)10月4日
【発行日】平成8年(1996)12月25日
【考案の名称】商品収納棚
- 【出願番号】実願平3−70851
【出願日】平成3年(1991)9月4日
【出願人】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】安富 耕二 (外1名)
【審査官】 溝渕 良一
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