商品収容装置
- 【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 商品収容部の商品取出口を商品の非収容時には閉鎖し、商品の収容時には開口するように構成された蓋部材と、商品の取出後に該蓋部材の閉鎖状態を保持する閉鎖機構とを備えた商品収容装置において、前記商品収容部には、商品を載置するための商品受け容器を配置し、該商品受け容器は、前記商品取出口の近傍において着脱可能に取付け固定されていることを特徴とする商品収容装置。
【請求項2】 請求項1において、前記商品受け容器は、前記商品収容部に設置された底板上に配置され、該底板の前端部において着脱可能に取付け固定されていることを特徴とする商品収容装置。
【請求項3】 請求項1において、前記蓋部材は、前記商品受け容器の取付け固定側に自由端を有するように前記商品収容部内へ向けて回動可能に取付けられていることを特徴とする商品収容装置。
【請求項4】 請求項3において、前記蓋部材の前記自由端は、前記商品収容部側に湾曲していることを特徴とする商品収容装置。
【請求項5】 請求項1において、前記蓋部材は、断面波形若しくは凹凸形の補強形状を備えていることを特徴とする商品収容装置。
- 【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は商品収容装置に係り、特に、自動販売機等の商品収容装置において、収容する商品の種類の変更に際して容易に対応することの可能な商品収容部の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、自動販売機やホテルの客室に設置される冷蔵庫などにおいて用いられる商品収容装置には、商品の種類、精算方法等に応じて種々のものが提供されている。例えば、実開昭60−184174及び実開昭63−39786には、ホテルの冷蔵庫内に設置され、収容された飲み物等の消費データをホテル側に送出するようにした商品収容装置の例が開示されている。この装置においては、図5に示すように、前面パネルに形成された商品取出口10を自然閉鎖するために、商品取出口10の背面側上部に設置された支承軸に対して蓋部材11を回動可能に取付けている。商品取出口10の奥部に配置される商品収容部には、底板12に対して回動自在に取付けられた回動枠体13と、収容する商品の大きさに応じた位置に取付けられた停止板14とが設けられている。この停止板14は、底板12に穿設された取付孔12aに爪部14aを挿入して折り返すことにより固定されている。前面パネルをやや前方に引き出した状態で、商品を蓋部材11に押し当てるようにすると、蓋部材11は内部側上方へ回動して回動枠体13を上方へ押し上げるため、回動枠体13は上方へ回動して商品は商品収容部に収容される。この状態で前面パネルを商品収容部側に接近させた位置に固定し、施錠する。前面パネルが施錠された状態で商品を取り出すと、自重により回動枠体13と蓋部材11は前方へ回動し、回動枠体13は底板12の上に傾倒し、蓋部材11は商品取出口10を閉鎖する。ここで、前面パネルは商品収容部に接近した位置で固定されているので、蓋部材11の内部上方への回動は回動枠体13の前端部13aにより停止させられ、商品の再投入は不可能になる。商品の取り出しにより回動枠体13が前方へ傾倒すると、回動枠体13の支点に設けられた突起13bがその回動軸近傍に設置されているマイクロスイッチ15をオンにするようになっており、このマイクロスイッチ15の状態により、商品の有無がホテル側に報知される。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の商品収容装置においては、一度冷蔵庫等に取付けた後に商品の種類を変更する場合、奥部にある停止板14の交換を行うためには装置全体を取り外さなければならず、きわめて煩雑な作業となっていた。また、小さな冷蔵庫に商品収容装置を取付ける場合には、装置全体を小型化する必要があるが、ビールやワインなどの長い商品を収容するには底板12の奥行きをある程度長くとる必要があるため、装置の小型化が困難であるという問題があった。さらに、この種の商品収容装置に対しては悪戯をする者が多く、特に一旦引き抜いた商品を再び収容部内に入れようとして蓋部材11に突き当てるようなことが度々行われると、蓋部材11が変形して商品の再投入が可能になるという故障が後を絶たない。そこで本考案は上述した各問題点を解決することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本考案は、商品収容部の商品取出口を商品の非収容時には閉鎖し、商品の収容時には開口するように構成された蓋部材と、商品の取出後に蓋部材の閉鎖状態を保持する閉鎖機構とを備えた商品収容装置において、商品収容部には、商品を載置するための商品受け容器を配置し、商品受け容器を、商品取出口の近傍において着脱可能に取付け固定するものである。
【0005】この場合において、商品受け容器を、商品収容部に設置された底板上に配置され、底板の前端部において着脱可能に取付け固定する場合がある。
【0006】また、蓋部材を、商品受け容器の取付け固定側に自由端を有するように商品収容部内に向けて回動可能に取付ける場合があり、このときには特に、蓋部材の自由端を商品収容部側に湾曲させることが望ましい。
【0007】さらに、蓋部材には、断面波形若しくは凹凸形の補強形状を設けることが好ましい。
【0008】
【作用】かかる手段によれば、商品取出口から簡単に商品受け容器の着脱作業ができるようになるので、装置を分解したり、設置場所から取り外す必要がなくなる。商品受け容器を底板の前端部に取付け固定する場合には、商品取出口から直接視認し得る直下部に取付け固定位置が存在するので、商品受け容器の着脱作業が極めて容易になる。蓋部材の湾曲形状の自由端を商品受け容器の取付け固定側に設けることにより取付け固定部に作業を施し易くなる。蓋部材に補強形状を設けることにより、蓋部材の強度を向上させて故障の発生を防止できるとともに、製造時に蓋部材の形状精度を高めることができるので、不良率を低減することができる。
【0009】
【実施例】次に、図面を参照して本考案に係る商品収容装置の実施例を説明する。図1は本実施例の商品収容部の断面を示すものである。図中左に配置された前面パネル1には商品取出口1aが穿設され、この商品取出口1aには蓋部材2が回動自在に取付けられて常時は閉鎖状態となっている。蓋部材の背後(以下、一般に商品取出口1aの内部を示す場合には商品収容部という。)には底板3が水平に設置されており、この底板3に回動枠体4が回動自在に取付けられている。また、底板3の上には、回動枠体4の内部を貫通するようにして商品受け容器5が取り付けられている。
【0010】商品取出口1aの背面側上部には、支持具21により支承軸22が支持され、この支承軸22に蓋部材2の係合部23が回動自在に取付けられている。蓋部材2は係合部23から下方に伸び、商品取出口1aの中央よりやや下で前面パネル1側に約20度屈曲し、その下方に商品収容部側のやや下方へ向いた当接面24が形成されている。蓋部材2の下端部には、商品収容部側に向けて湾曲した湾曲端25が形成されている。蓋部材2の表面には、上下に伸びる4本のリブ形状部26が形成されている。このリブ形状部26は、プレス加工により上下に伸びる帯状に形成され、前方(図中左側)に突出している。
【0011】底板3は、図示しない側板に取付板31を介して取付けられ、それぞれ下方に曲折した前端部32及び後端部33を備えている。底板3上には図5に示すものと同様の断面コ字形の回動枠体4が配置され、その前端部には垂直な一対の縁部41が形成されている。回動枠体4の一対の後端部には各々係合孔43及び突出部44が形成されている。係合孔43は底板3に穿設された取付孔に臨む突起(図示せず)に係合し、回動枠体4が底板3上において回動自在に取付けられるようになっている。突出部44は底板3の取付孔を通して底板3の底面側に突出している。突出部44の基部には停止部44a,44bが形成され、また突出部44の先端部44cは、底板3の下面に取付けられたマイクロスイッチ6の接点6aに当接するようになっている。
【0012】商品受け容器5は、底板3上に載置される底面部51と、下方に屈曲した前端部52と、底面部51から屈折して約45度の角度で立ち上げられた左右一対の側板部54,54と、底面部51の後端から垂直に立ち上げられた後板部55とを備えている。前端部52にはねじ孔が穿設され、同じく穿設された底板3の前端部32のねじ孔に合わせて取付ねじ53を螺入することにより、商品受け容器5を底板3に固定している。
【0013】図2は商品Gを商品収容部内に導入した状態を示す断面図である。蓋部材2は商品収容部の上方に回動し、商品取出口1aを開口している。また、蓋部材2の回動により回動枠体4も上方に回動し、この回動枠体4の内側部分42に商品Gが挿入され、商品受け容器5の上に載置された状態となっている。この状態では、回動枠体4の突出部44は前方に回動し、停止部44a及び44bが底板3の下面及び上面に当接している。突出部44の先端部44cは前方に移動し、マイクロスイッチ6の接点6aは解放されている。
【0014】図2に示す状態から商品Gを商品取出口1aから引き抜くと、蓋部材2は下方に回動して商品取出口1aを閉鎖し、回動枠体4も下方に回動して底板3上に倒れる。一度回動枠体4が底板3上に倒れると、蓋部材2を商品収容部側に押しても図1に示すように当接面24及び湾曲端25が縁部41に当接するだけで回動枠体4は回動せず、商品取出口1aを開放することはできなくなる。
【0015】図3は前面パネル1の前方やや上方から見た本実施例の正面の一部を示すもので、前面パネル1には複数の商品取出口1aが形成されている。図中右上の商品取出口の部分では説明のために蓋部材2を取り外している。蓋部材2にはリブ形状部26が形成されているので、外部から強い衝撃を受けても蓋部材2は変形しにくく、閉鎖機能が破壊されないようになっている。
【0016】この閉鎖機能の耐久性は、蓋部材2の中央が屈曲していることによりさらに強化されている。例えば、外部からビン等で蓋部材2を叩いても、蓋部材2の屈曲方向に対して反対方向に蓋部材2を変形させることは極めて困難であり、通常は蓋部材2の屈曲角度を増大させる方向に変形する。蓋部材2の屈曲角度は図1に示すように回動枠体4を回動させにくくするので、蓋部材2の閉鎖機能の破壊は従来よりも格段に困難となる。
【0017】商品収容装置の閉鎖機能の耐久性は、例えばビールビン等に3kgの鉄粉を充填し、試験者が全力で蓋部材2を該ビールビンの底で三回以上叩くことにより確認するようにしている。このような厳しい試験においては、従来の製品では40%程度の不良品が発見されているが、リブ形状部26の形成された本実施例では不良率を5%以下に低減することができた。
【0018】また、蓋部材2の屈曲角度その他の形状は不良品を少なくするために精度良く形成する必要があるが、蓋部材2の加工の最終工程においてプレス加工等によりリブ形状部26を形成するため、リブ形成とともに蓋部材2の形状精度が向上して屈曲角度の精度及び再現性が向上し、蓋部材2の不良率が低減された。従来、製造時のばらつきと部品輸送中にかかる応力による蓋部材2の変形により20%前後の不良品が発生したが、本実施例の蓋部材では不良率をほぼ0%とすることができた。
【0019】本実施例では、底板3の前端部32に着脱自在に取付けた商品受け容器5を用いているため、取付ねじ53を外して前面パネル1の商品取出口1aから商品受け容器5を取り出したり、異なる形状の商品受け容器を再び底板3上にセットすることが極めて容易にでき、商品受け容器の交換時に装置全体を分解したり、設置場所から取り外したりする必要がない。
【0020】また、蓋部材2を屈曲させているために商品の再投入が困難な構造になっているとともに、リブ形状部26により強度を向上させているために、再投入防止のための閉鎖機能の故障の発生率が従来よりも格段に低減される。
【0021】さらに、この蓋部材2は下端に湾曲端25を備えているので、取付ねじ53に接近し易く、工具等を容易に差し込むことができ、その湾曲形状により工具等の出し入れをスムーズに行うことができる。取付ねじ53に対する作業を容易にするために、湾曲端25の下端は、商品取出口1aの最も下の開口縁よりも若干上に位置するように構成されている。
【0022】このように蓋部材2を商品取出口1aよりも短く形成すると、指で蓋部材2の下端を引っ掛けて引っ張り、蓋部材を変形させるというような悪戯を誘発する可能性があるが、蓋部材2の下端と商品取出口1aの開口縁との間隔は人の指を挿入できない程度の間隔に設定され、しかも湾曲端25の形状により指等を引っ掛け難くしているので、このような悪戯を完全に防止できる。
【0023】図4は本実施例の商品収容装置の全体を示す概略側面図であり、前面パネル1の後方に、相互に対向して立設された側板7,7が設けられている。この側板7,7は、図1に示す取付板31を介して5段の底板3を支持している。前面パネル1と側板7との間には施錠機構8が取付けられている。この施錠機構8は、施錠時には側板7と底板3により組立られる5段の商品収容部に対して前面パネル1を固定するとともに、解錠時には、前面パネル1を商品収容部に対して所定距離前方に移動させるように構成されている。
【0024】前面パネル1が施錠機構8により前方に移動すると、図1に示す蓋部材2が前面パネル1とともに前方(図中左側)に移動するので、蓋部材2を商品収容部側に回動させたときに当接面24及び湾曲端25は、回動枠体4の縁部41に対して上方に向いた姿勢で当接するようになる。したがって、蓋部材2の回動により回動枠体4を上方へ回動させることが可能になり、商品を商品取出口1aから導入することができる。
【0025】図4は本実施例の商品収容装置をホテルの客室に設置される冷蔵庫の内部に収容した状態を示すものである。内部空間Fは、奥部底面側にコンプレッサ等を収容するために形成された突出部分faを有するので、下段の底板3には奥行きの短い缶コーヒーやドリンク剤等に対応した商品受け容器5を取付けるか又は商品受け容器自体を取付けずにつまみ類を収容するようにし、上段の底板3上には奥行きの大きいビール、ワイン等に対応した商品受け容器5を取付けるようにして、冷蔵庫の狭い内部空間を効率的に使用している。
【0026】また、本実施例では従来のように箱形の枠により予め商品収容部を形成するユニット構成を採らず、側板7と底板3を組合せて商品収容部を構成するようにしている。したがって、収容する商品の種類により商品収容部の段数、大きさ、間隔等を前面パネルを代えるだけで自由に設定することができる。なお、図4に示す側板7,7には、最上部にもう1枚の底板3を取付けることにより前面パネル1を差し換えて商品収容部を6段構成とすることができるようになっている。
【0027】上述のように、商品収容装置を取付ける内部空間が直方体状になっていることは非常に稀であり、これは自動販売機の場合も同様であり、様々な理由により奥行きを制限する部分が存在する。従来は、図5に示すように支持底面部を持たない停止板14により商品を規制していたため、長い商品を支持する場合に備えて底板12の奥行きを大きくとる必要があった。しかし、本実施例では、商品受け容器5自体が商品を支持するので、商品の種類に応じた商品受け容器5を用意すれば、底板3そのものは奥行きを短く形成することができる。したがって、奥行きの短い内部空間にも収容できるとともに、図4に示すように内部空間の奥部の凹凸形状に合わせて商品受け容器5の長さを変えることにより、効率的に商品を収容することが可能になる。
【0028】
【考案の効果】以上説明したように、本考案は、商品取出口近傍にて着脱自在に取付けられた商品受け容器を配置したことに特徴を持つので、商品の種類に応じて極めて容易に商品受け容器を交換することができるとともに、底板等の商品収容部の基本部分の奥行きを小さくすることができるため奥行きのない空間にも収容可能であり、しかも奥部に凹凸のある空間に取付けた場合においても商品受け容器の長さを凹凸に合わせることにより効率的に商品を収容することができる。
- 【登録番号】第2524371号
【登録日】平成8年(1996)11月7日
【発行日】平成9年(1997)1月29日
【考案の名称】商品収容装置
- 【出願番号】実願平5−71243
【出願日】平成5年(1993)12月4日
【出願人】
【識別番号】592120232
【氏名又は名称】株式会社メック
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】三枝 弘明
【審査官】 鈴木 誠
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