自動販売機用店舗
- 【要約】
【課題】 自動販売機による無人販売店舗における顧客の年齢に応じた商品および情報の提供。
【解決手段】 内部に自動販売機1を設置した店舗2の出入り口付近に入店カード発行装置8を設置し、利用者の運転免許証から情報を読み取り、この情報に基づいて顧客の年齢を演算し、成人か否かの判定をした上で、成人と判定されたとき入店カードを発行する。入店カード発行装置8により発行された入店カードで、カード式オートロックシステム(6,7)を作動させてドアー4のロックを解除し、店舗2内への入店を許容する。これにより、成人にのみ入店を許容し、未成年者への有害な情報の提供を防止する。
- 【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 内部に自動販売機を設置してなり、オートロック式のドアーを備えた店舗であって、利用者の運転免許証に表示された情報を読み取る手段、読み取った情報に基づいて年齢を演算する手段、その年齢が規準年齢に達しているか否かの判定を行う手段、および、規準年齢に達していると判定されたときドアーのロックを解除する手段とを組み合わせたことを特徴とする自動販売機用店舗。
【請求項2】 規準年齢に達していると判定されたとき入店カードを発行する手段より構成された入店カード発行装置と、入店カードの挿入に応答してドアーのロックを解除する手段と具備したことを特徴とする請求項2の自動販売機用店舗。
【請求項3】 前記入店カード発行装置が、運転免許証投入・排出口および入店カード発行口を配設した操作パネルと、運転免許証に表示されたデータを読み取るための光学的読取り装置と、読み取ったデータのうち生年月日に基づいて年齢を演算し、規準年齢に達しているかの判定を行うための判定回路と、判定回路からの出力により入店カードを発行するためのカード発行回路とを備えていることを特徴とする請求項1または2の自動販売機用店舗。
【請求項4】 前記自動販売機の内部に、外部を撮影するためのカメラを設置したことを特徴とする請求項1、2または3の自動販売機用店舗。
【請求項5】 入店カード発行装置と接続した記録装置を付加して、運転免許証から読み取ったデータをカメラによる画像データと関連付けて記録することを特徴とする請求項4の自動販売機用店舗。
【請求項6】 前記自動販売機が、密閉された商品展示室内で、商品を表裏反転可能に保持するホルダーユニットを備えていることを特徴とする請求項1の自動販売機用店舗。
【請求項7】 軸線まわりに回転自在に立設した回転軸と、この回転軸に設けた商品保持部と、回転軸を所定角度にわたって回転揺動させる駆動装置とでホルダーユニットを構成したことを特徴とする請求項6の自動販売機用店舗。
【請求項8】 反転後、一定時間経過すると回転軸を逆転させてもとの位置にもどすようにしたことを特徴とする請求項6の自動販売機用店舗。
【請求項9】 前記自動販売機が、表面を前面に向けて陳列された商品の裏面を撮影するためのカメラと、前記カメラで撮影した画像を表示するためのモニターを備えていることを特徴とする請求項1の自動販売機用店舗。
【請求項10】 前記カメラを、自動販売機に内蔵されたカメラ操作装置の起動を介して、待機位置から、選択された商品の背後まで移動可能に構成したことを特徴とする請求項9の自動販売機用店舗。
【請求項11】 前記カメラ操作装置が、3軸直交ロボットのアームと、当該カメラによって撮影された画像の補正回路を含むカメラ姿勢の制御装置から構成されていることを特徴とする請求項10の自動販売機用店舗。
【請求項12】 撮影した画像をモニターに表示した後、前記カメラを待機位置に自動復帰させるように構成したことを特徴とする請求項10の自動販売機用店舗。
- 【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
この考案は、内部に自動販売機を設置し、オートロック式のドアーを備えた自動販売機用の無人店舗に関するものである。より詳しくは、酒類、煙草、アダルトビデオ等の法令によって年齢規制が設けられている商品を扱う自動販売機用店舗に関する。
【0002】
ここで、自動販売機とは、一般に、通過(硬貨・紙幣)またはこれに代わるカード等の挿入により、自動的に物品、サービス、情報を提供する機械装置と定義される。以下では自動販売機についてのみ説明するが、この考案は、自動貸出機についても同様に適用可能であるから、自動販売機なる概念は、自動貸出機をも含む機器として解釈するものとする。
【0003】
また、この考案は、映画その他の情報を記録したビデオテープなどの販売・レンタルに特に適しているが、店舗内に設置する自動販売機で取り扱う商品は、ビデオテープのみに限定して解釈されるべきものではなく、自動販売機の外側から見え難い部分に需要者が希望する情報を表示した商品のすべてに使用することが可能である。このような商品として、例えば、ゲームカートリッジ、CD、CD−ROM、MD、DVDのような磁気デイスクや光デイスク、週刊誌や文庫本その他の書籍などが挙げられる。
【0004】
【従来の技術および考案が解決しようとする課題】
ビデオテープ、CD、CD−ROM、あるいは週刊誌などの情報媒体の販売は、店頭での顧客との対面販売が主流を占めている。販売対象商品が顧客の年齢などによって制約されていない場合は問題ないが、たとえばビデオテープや一部の週刊誌の場合、成人向けと、成人に達していない児童生徒向けの商品との間で、販売方法を使い分けなくてはならない場合がある。このような問題に対処するため、これまでは、店員が顧客の年齢を推定し、成人に達していると判断した場合のみ商品を販売するようにしている。
【0005】
このような方法によって商品の販売管理を行った場合、実際には成人に達しているにも拘らず商品の販売を断られたり、逆に、未成年者に不適切な商品を販売してしまうなどの問題が発生することになる。窮余の一策として店内に成人向けの商品展示コーナーと、未成年者向けの商品展示コーナーとを別々に設けたり、成人向け商品の展示コーナーをカーテンや衝立てなどの遮蔽部材で仕切る方法が採用されているが、このような方策を講じると、かえって顧客に不純な購買意欲を喚起させる結果になり、教育上、あるいは商業道徳上、好ましくない事態が引き起こされる。また、対面販売方式を採用しているため、人件費の高騰などの問題も発生している。
【0006】
一方、自動販売機を利用した無人店舗であれば人件費を節約しつつ24時間営業が可能であるが、販売対象に年齢的な制約のある商品を扱う場合に何らかの対策が必要となる。たとえば実用新案登録第3022877号公報には、自動販売機において、運転免許証により顧客の年齢を判別する技術が記載されている。
【0007】
さらに、自動販売機に対するいたずらや犯罪が増加しており、防犯対策も欠かせない。従来の自動販売機の防犯対策は、自動販売機の扉にロック(又はチェーン)を施したり、内部の金庫や展示室のガラスパネルに異常を検出するためのセンサーを設けたり、外部から防犯カメラで撮影するなどして、センサーによっていたずらや犯罪行為の実行が検知されたとき、警備業者に通報されるようになっている。しかしながら、警備員が現場に到着したときは既に逃走してしまっている場合がほとんどであり、精々、犯罪行為の威嚇にとどまっている。
【0008】
また、従来のビデオテープ自動販売機では、缶入り飲料や煙草の自動販売機と同様に、密閉された機体の透明な前面ガラス板の内側に、パッケージの表面(書籍類の表表紙に相当する面)を前面に向けた状態でビデオテープを並べるか、或は、タイトルの印刷されたパッケージの背面(書籍類の背表紙に相当する面)を前面に向けた状態でビデオテープを並べている。そして、購入者が希望する商品を選び、その商品に対応する押し釦を押したとき、自動販売機の内部に貯蔵されている当該商品が1個だけ貯蔵位置から解放され、商品取り出し口に送り出される。つまり、従来の自動販売機では、需要者は、タイトルとパッケージの前面に印刷された情報のみを頼りにして商品を選択している。
【0009】
缶入り飲料や煙草は、繰り返し購入する場合が多く、過去に購入した当該商品の内容を需要者が熟知しているため、タイトルやパッケジの前面に印刷された情報、例えば、商品名(または商標)以外の情報に基づいて商品を選択する余地は非常に少ない。これに対して、映画などのビデオテープの場合は、その商品を初めて購入する場合が殆ど全てであると言っても過言ではない。それ故、タイトルのみならず、当該商品のパッケ−ジから得られるあらゆる情報が商品を選択する上に重要な意味を持つことになる。
【0010】
ところで、ビデオテープパッケージの装丁は、その背面部分に、タイトルの印刷部位を除けば、付加的な情報の表示用に極めて僅かなスペースが残されているに過ぎず、必要な情報を提供する上に大きな制約が認められていた。つまり、パッケージの表面には、購買意欲の増進を意図して映画の主演者や象徴的な一場面など訴求力の高い場面が印刷される場合が多く、裏面(書籍類の裏表紙に相当する面)に、その他の多くの文字情報が印刷されている場合が一般的である。
【0011】
初めて当該ビデオテープを購入しようとする者にとって、タイトルやパッケージの表面に印刷された情報が商品選択の一応の目安となるものの、これだけでは情報が不十分で、パッケージの裏面側に印刷された詳細な文字情報が購入の決め手になる場合が一般的である。しかしながら、最も情報量の多いパッケージの裏面が見えない従来の自動販売機では、パッケージの内容に不安を抱きながら商品の選択を行わざるを得ず、このことが自動販売機によるビデオテープ購入を躊躇させる一因となっている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本考案は、自動販売機を店舗の中に組み込み、その入店方法は、利用者の運転免許証に表示されている情報から利用者の年齢を識別し、規準年齢に達している場合にのみ入店を許容するようにしたものである。従来の無人自動販売機店舗で会員カードを採用しているものもあるが、不特定多数の者の利用を妨げている。
運転免許証され携行すれば会員以外の者でも利用できるようにすることで利用しやすくなり、売り上げの増加が期待できる。
【0013】
請求項1の自動販売機用店舗は、内部に自動販売機を設置してなり、オートロック式のドアーを備えた店舗であって、利用者の運転免許証に表示された情報を読み取る手段、読み取った情報に基づいて年齢を演算する手段、その年齢が規準年齢に達しているか否かの判定を行う手段、および、規準年齢に達していると判定されたときドアーのロックを解除する手段とを組み合わせたことを特徴とする。来店者の運転免許証から得られる情報に基づいて規準年齢(たとえば、18歳または20歳)に達しているか否かの判定を行い、達していると判定された場合に限り、ドアーのオートロックを解除する。これにより、当該自動販売機で取り扱う商品が法令等によってたとえば未成年者への販売を規制されているような場合に、未成年者の入店そのものを拒否することができる。なお、入店可能の場合に利用者にその旨を告知して入店を促し、また、入店不可の場合にその旨を利用者に告知するため、視覚および/または音声による告知手段を設けるのが好ましい。
【0014】
請求項2の考案は、請求項1の自動販売機用店舗において、さらに、入店カードを発行する手段より構成された入店カード発行装置と、入店カードの挿入に応答してドアーのロックを解除する手段とを具備したことを特徴とする。この場合、規準年齢に達していると判定された場合に限り、ドアーのオートロックを解除するための入店カードを発行する。これにより、来店者は当該入店カードをカードリーダに挿入してドアーのオートロックを解除し、店舗内に入ることができる。したがって、この場合にも、自動販売機で取り扱う商品が法令等によってたとえば未成年者への販売を規制されているような場合に、未成年者の入店そのものを拒否することができる。
【0015】
請求項3の考案は、前記入店カード発行装置が、運転免許証投入・排出口および入店カード発行口を配設した操作パネルと、運転免許証に表示されたデータを読み取るための光学的読取り装置と、読み取ったデータのうち生年月日に基づいて年齢を演算し、規準年齢に達しているかの判定を行うための判定回路と、判定回路からの出力により入店カードを発行するためのカード発行回路とを備えていることを特徴とする。
【0016】
請求項4の考案のように、自動販売機の内部に、外部を撮影するためのカメラを設置することにより、防犯効果が高まる。防犯用カメラは店舗室内の壁面や天井等に設置するのが通常であり、そのため死角も多い。たとえば、店舗室内の一角に防犯カメラを設置して、自動販売機を視野に入れた角度で設置した場合、自動販売機をこじ開けるなどのいたずらをされても、その者の後方からしか撮影されない。これに対して、自動販売機の内部に、外部に向けたカメラを設置することにより、自動販売機にいたずらをしようとする者の顔を含む正面を撮影することができるため、高い防犯効果、いたずらの抑止効果が望める。
【0017】
請求項5の考案のように、入店カード発行装置と接続した記録装置を付加して、運転免許証から読み取ったデータをカメラによる画像データと関連付けて記録しておくことにより、自動販売機にいたずらをしたり犯罪行為を行った者の特定あるいは絞り込みが可能となる。また、これらの記録データを通信回線を通じて本部または警備業者のコンピュータに送信することも可能である。
【0018】
請求項6の考案は、前記自動販売機が、密閉された商品展示室内で、商品を表裏反転可能に保持するホルダーユニットを備えていることを特徴とするもので、ビデオテープなどの自動販売機における商品の裏面に印刷されている情報へのアクセスを可能にし、当該商品に関する情報提供量を増加させる。表裏反転可能なホルダーユニットを使用することによって、自動販売機の前面ガラス越しに読み取ることのできる情報量が大幅に増加し、購入しようとする商品の内容についてより的確な判断がなし得るようになる。これにより、利用者は当該商品を手にとって確かめるのと同等の商品情報を得ることができるので、安心して商品の選択をすることができる。商品体の全体から得られる商品情報をすべて利用者に提供することにより、無人店舗であるにも拘らず、利用者は安心して商品の選択をすることができるのである。この場合、利用者が選択した一の商品のみを反転させるのが好ましい。
【0019】
ここで、商品はビデオテープに限られないが、ビデオテープやCD、書籍といった裏面にも多くの商品情報が表示されている商品の場合にとりわけ好適である。また、商品というときは、商品そのものに限らず、商品包装や商品見本(ダミーサンプル)、たとえばビデオテープのパッケージをも含むものとする。自動販売機によっては、実際に販売する商品を見えるように(シースルー)陳列しているものもあり、また、ダミーサンプルのみを陳列しておき、選択された商品を自動販売機内に収納されている在庫品の中から取り出し口に配送するものもあることに由来する。
【0020】
請求項7の考案は、軸線まわりに回転自在に立設した回転軸と、この回転軸に設けた商品保持部と、回転軸を所定角度にわたって回転揺動させる駆動装置とでホルダーユニットを構成したことを特徴とする。
【0021】
請求項8の考案は、反転後、一定時間経過すると回転軸を逆転させてもとの位置にもどすようにしたことを特徴とする。たとえば駆動装置の制御回路にタイマー回路を組み込むことによって、反転後、一定時間経過すると逆回転してもとの状態に戻るようにすれば、常にパッケージの表(おもて)面が表れている状態に維持され、整然とした陳列状態を維持することができる。
【0022】
請求項9の考案は、自動販売機が、表(おもて)面を前面に向けて陳列された商品の裏面を撮影するためのカメラと、撮影した画像を表示するためのモニターを備えていることを特徴とする。自動販売機本体の密閉された展示室内に陳列された商品の裏面を移動型のカメラで読み取ってモニターに表示することにより、その裏面に印刷されている情報へのアクセスを可能にし、当該商品に関する情報提供量を増加させる。展示室内の商品を自動販売機の前面ガラス越しに見るのであるから、ガラス板の汚れや照明条件あるいは気象条件の変化などに影響されて商品の表示内容が明瞭に把握しにくい場合がある。そのような場合でも、カメラで撮影した画像をモニターに表示することによって容易に視認できる。また、モニターに拡大して表示すれば、細かい文字情報であっても容易に判読してもらえるという利点がある。
【0023】
請求項10の考案は、上記カメラを、自動販売機に内蔵されたカメラ操作装置の起動を介して、待機位置から、選択された商品の背後まで移動可能に構成したことを特徴とする。
【0024】
請求項11の考案は、上記カメラ操作装置が、3軸直交ロボットのアームと、当該カメラによって撮影された画像の補正回路を含むカメラ姿勢の制御装置から構成されていることを特徴とする。
【0025】
請求項12の考案は、撮影した画像をモニターに表示した後、上記カメラを待機位置に自動復帰させるように構成したことを特徴とする。
【0026】
【考案の実施の形態】
以下、図1および図2を参照して、本考案の実施の形態を説明する。
【0027】
図1は、たとえばビデオテープカセットの販売店舗(2)を示し、建屋または移動式のコンテナ内に1台または複数の自動販売機(1)を設置するための設置室(3)を設け、その出入口となるドアー(4)の近傍に、入店カード発行装置(8)が操作面を店外に向けた状態で配置されている。ドアー(4)は、カードリーダ(6)とドアー開閉装置(7)により構成されたカード式オートロック機構を備え、所定のカードをカードリーダに挿入することによってドアーロックが解除されるようになっている。なお、符号5は安全確認用の店内設置カメラを示す。
【0028】
入店カード発行装置(8)は、図2に示すように、操作パネルの前面に、インストラクション用のCRT(9)、運転免許証投入口(10)、入店カード発行口(11)、操作用押し釦(12)(13)を備えている。押し釦(12)を押すと、CRT(9)にインストラクションが表示され、入店カード発行装置(8)の操作を順次誘導して一連のカード発行動作が開始される。押し釦(13)は取消用で、押し釦(12)を押した後に取り消したいときは、この押し釦(13)を押すと、カード発行を行うことなく装置の動作が終了し、免許証が投入口(10)から排出される。
【0029】
入店カード発行装置(8)の内部には、投入口(10)から投入された運転免許証に表示されたデータ(生年月日、免許証番号等)を読み取るための光学的読取り装置と、読み取ったデータのうち生年月日に基づいて年齢を演算し、規準年齢に達しているか否かの判定を行うための判定回路と、判定回路からの出力により入店カードを発行するカード発行回路を備えている。カード発行回路は一種の磁気カードリーダライタで構成される。また、入店カード発行装置(8)により読み取ったデータと関連付けて入店カードの発行時刻すなわち入店時刻を記録するための記録装置を入店カード発行装置(8)に接続することができる。さらに、運転免許証から読み取ったデータのうち免許証番号を適当な記録手段に記録する。
【0030】
来店した利用者が入店カード発行装置(8)の押し釦(12)を押すと、CRT(9)に、運転免許証の投入を促す表示がなされる。以後の処理ステップを図7を参照しながら説明すると次のとおりである。運転免許証を投入口(10)に挿入すると、光学的読取り装置が作動して運転免許証に表示されたデータの読取りを実行する。読み取ったデータのうちの生年月日に基づいて演算処理が実行され、当該利用者の現在年齢が算出される。その現在年齢と規準年齢との比較をすることによって、入店(販売)の可否の判断がなされる。規準年齢は取扱い商品との関係で任意に設定することができる。たとえば、酒や煙草の場合には20歳、成人映画を記録したいわゆるアダルトビデオの場合には18歳に設定される。そして、規準年齢に達しているとの判定がなされた場合のみ、判定回路からカード発行回路に信号が出力される。この信号に応答してカード発行回路が入店カードの発行手順を開始する。新規に発行された入店カードがカード発行口(11)から送り出されると同時に、投入口(10)から運転免許証が返却される。なお、規準年齢に達していない、つまり、入店(販売)不可との判定がなされた場合には、判定回路からカード発行回路への信号は出力されず、代わりにCRT(9)に入店をお断りする旨の表示がなされるとともに、運転免許証が投入口(10)から返却される。
【0031】
入店カードはカード式ドアーロックシステムのロック解除に使用するものである。すなわち、この入店カードを、ドアー(4)の近傍に設置されたカードリーダー(6)に挿入することによって、ドアー開閉装置(7)が作動してドアー(4)のロックが解除される。したがって、顧客はドアー(4)を開いて店舗内すなわち自動販売機設置室(3)内に入ることができ、商品(たとえばビデオテープカセット)の買い回りをすることが可能となる。なお、閉まったドアー(4)
は外部からは入店カードなしには開けられないが、内部からは自由に開けることができ、商品の購入を終えた利用者は自由に店外に出ることができる。
【0032】
別の実施の形態として、図7に破線で示すように、規準年齢に達していると判断されたときには入店カードを発行することなくドアーのロックを解除するように構成することもできる。その場合、入店カード発行装置(8)を省略することができるばかりでなく、入店手続の簡略化、迅速化といった面から利用者にとって一層利用しやすいものとなる。また、インストラクション用のCRT(9)に代えて、運転免許証の挿入を促す「受入可」、入店(販売)の可否を判定している旨を知らせる「判定中」、判定結果を告知する「入店可能」、「入店不可」等の表示ランプを設けてもよい。さらに、これらの視覚による表示に加えて、あるいはそれに代えて、音声によるインストラクションまたは告知を採用することも可能である。
【0033】
自動販売機設置室(3)に設置する自動販売機(1)の種類と型式については、店舗の経営者や顧客側からの要望に応じて自由に選択することができる。
【0034】
図3は、ビデオテープ自動販売機の正面外観図を示す。自動販売機(1)の本体(21)の前面にガラスやアクリル樹脂などの板体からなる透明パネル(23)を填め込んで区画形成した展示室(22)内に、複数個のビデオテープのパッケージ(P)が陳列されている。なお、パッケージ(P)は、展示室(22)の大きさに応じて複数列配列することができるが、図面には1列のみ表示している。図示は省略するが、上下方向にも複数段に分けてパッケージ(P)を配列してもよい。
【0035】
パッケージ(P)は、図4に示すように、軸線回りに回転自在に立設した回転軸(26)と、この回転軸(26)に設けられた複数のパッケージ保持部(27)とで構成されたホルダーユニット(25)に保持されている。図4(A)に示すように、回転軸(26)は、図示しない軸受装置によって回転自在に支持され、モータ(28a)と減速機構(28b)を備えた駆動装置(28)によって、所定の回転角度(θ)だけ回転揺動するようになっている。例えば、カム機構やリンク機構などを使用して、回転軸(26)の回転角度(θ)を、180度、90度など所望の角度に設定することができる。
【0036】
回転軸(26)を回転揺動させる駆動装置(28)の作動は、自動販売機の本体(21)の操作パネルなどに設置された押し釦(24)を押したとき、これに応答して作動するように、制御回路を構成しておく。また、駆動装置(28)の制御回路にタイマー回路を組み込むこととによって、回転軸(26)を回転中心としてホルダーユニット(25)が所定角度だけ回転した後、一定時間経過した時点で逆回転してもとの状態に戻るように制御することもできる。各回転軸ごとに駆動装置を設けてもよいが、単一のモータで選択された1以上の回転軸(26)を回転させるように構成することも可能である。
【0037】
図4(B)に例示したパッケージ保持部(27)の構造は、回転軸(26)の中間に一辺を切り欠いた矩形の枠体(29)を設け、切り欠き片の部分からパッケージ(P)を出し入れできるように構成したものである。回転軸(26)と共に、枠体(29)も回転するので、例えば回転軸(26)が180度回転すると、枠体(29)
内のパッケージ(P)も180度回転、つまり、文字どおり反転する。枠体(29)内からパッケージ(P)が抜け落ちないようにするため、枠体(29)の短辺(29a)の内部に板ばねなどのパッケージ保持部材を付加してもよい。
【0038】
回転軸(26)と枠体(29)との結合位置を変更することによって、パッケージ(P)の反転に要するスペースが変化する。すなわち、結合位置が枠体(29)の幅方向中央部にあるときは、図5(A)に一点鎖線で示すように、枠体(29)の幅を回転直径とする円筒状の反転スペースが必要になる。結合位置が枠体(29)
の長辺(29b)側に近付くほど、図5(B)に示すようにパッケージ(P)の反転を可能にするために要するスペースが大きくなる。したがって、パッケージ(P)を180度回転させるときは、回転軸(26)と枠体(29)との結合位置を枠体(29)の中央部分に設定することが好ましい。回転軸(26)と枠体(29)との結合位置を枠体(29)の長辺(29b)寄りに設けるときは、回転軸(26)の回転角度を180度以下に設定してもよい。枠体(29)を、必ずしも180度回転させなくても、自動販売機の本体(21)の前面側からパッケージ(P)の裏面がある程度見える範囲まで回転揺動させることによって、所期の目的を達成することができるからである。
【0039】
図5(B)は、回転軸(26)の回転角度(θ)を約90度に設定した場合を示している。さらに、隣接するホルダーユニット(25)の間隔を、図5(A)の場合よりも狭くすることによって、パッケ−ジ(P)を斜めに整列させている。このような整列形態を採用することによって、図5(A)に示す整列形態を採用した場合に比較して、約2倍の数のパッケージ(P)を、展示室(22)内に収容することができる。換言すれば、収容するパッケージ(P)の数が同じであれば、展示室(22)のパッケージ収容スペース、つまり、自動販売機の本体(21)の据え付けスペースをこの分だけ減少させることが可能になる。
【0040】
図6は、さらに簡略化された実施形態を例示し、パッケージ(P)の短辺(書籍類の天と地に相当する部分)に貫通穴(27c)を設け、この貫通穴内に回転軸(26)を貫通させたものである。この方式を採用した場合、枠体(29)を省略することができるので、ホルダーユニット(25)の構造がシンプルになる。もっとも、図示するように、回転軸(26)と貫通穴(27c)とに、角軸と角穴との嵌合とするなどの結合方式を採用することによって、回転軸(26)に対するパッケージ(P)の回り止めを図るとともに、回転軸(26)に、パッケージ(P)の脱落防止手段を設けることが好ましい。このような脱落防止手段としては、たとえば、角軸(27a)部分と、脱落防止部分(27b)部分を回転軸(26)と一体構造に形成するか、あるいは、別体構造の脱落防止部材を溶接または接着するか、さらに別の方法として、合成樹脂で、角軸(27a)部分と脱落防止部分(27b)とを一体に成形した部材を、丸棒よりなる回転軸(26)に圧入するようにしてもよい。
【0041】
次に、図3を参照して、パッケージ(P)の表面(表および/または裏)に印刷された情報を読み取るためのカメラ(30)と、このカメラ(30)によって読み取られた情報の拡大表示装置について説明する。
【0042】
自動販売機の本体(21)内には、たとえば3軸直交ロボットのアーム(31)などに取り付けられた状態で、CCDカメラなどの移動自在な小型カメラ(30)が配置されている。この移動自在なカメラ(30) は、パッケージ(P)の表面に印刷された情報を読み取り、この情報を所定の拡大倍率に拡大して自動販売機の本体(21)の前面に設けられたモニター(32)上に表示するものであって、保持部(27)内に収容されている任意のパッケージ(P)の表面から利用者が必要とする情報を読み取るため、3軸直交ロボットのアーム(31) に取り付けられた状態で待機位置から情報読み取り位置まで移動し得るように、カメラ姿勢の制御装置(33) に接続されている。
【0043】
カメラ姿勢の制御装置(33)は、自動販売機の本体(21)の前面に設けられたカメラ操作釦(34)を利用者が押したとき起動し、待機位置から情報読み取り位置に向かって移動したカメラ(30)を、パッケージ(P)の情報記録面と正対させる。なお、カメラ(30)を所望のパッケージ(P)の位置に移動させるための機構としては、自動販売機本体(21)の操作パネルに方向キーを設け、利用者がこの方向キーを操作してカメラ(30)をX方向およびY方向に移動させるようにしてもよく、あるいは、マトリクス状に配列されたパッケージ(P)の座標位置を番号で表示しておき、所望のパッケージ(P)の番号をテンキーで入力することによって、指定された位置にカメラ(30)を自動的に移動させるようにすることも可能である。
【0044】
カメラ姿勢の制御装置(33)には、カメラ(30)によって撮影された画像が正面画像でなく、やや斜め方向から撮影された斜視画像である場合にも、これを正面方向から読み取った情報としてモニター(32)上に表示するための画像の補正回路(図示省略)が設けられている。したがって、作動スペースなどの影響を受けてカメラ(30)の移動量が制約され、実際の撮影位置では、情報を正面画像として読み取ることができない場合でも、任意の位置で保持部(27)内に収容されているパッケージ(P)の表面から情報の読み取り動作を実用上十分な精度で実行する。すなわち、上記画像の補正回路は、3軸直交ロボットのアーム(31)に取り付けられた情報読み取り用カメラ(30)の首振り角度を、パッケージ(P)
の保持部(27)の回転角度に応じて変化させ、当該カメラ(30)によってパッケージ(P)の表面から読み取られた情報を、当該商品の情報記録面の正面画像として、モニター(32)上に拡大して表示する。
【0045】
モニター(32) に表示された情報を読み取ることによって利用者はパッケージ(P)の内容を十分に判断した後、自動販売機の本体(21)の前面に設けられた料金投入口(35) に所定の料金を投入して、所望のビデオテープカセットを商品取出し口(36)より入手する。
【0046】
カメラ(30)をホルダーユニット(25)の後側に移動可能に配置した具体例に基づいて説明したが、必要に応じて、ホルダーユニット(25)の前側、つまり、透明パネル(23)の直後にカメラ(30)を移動可能に配置し、前方から情報を読み取り得るような構成にすることも可能である。また、図3に例示した自動販売機はパッケージ(P)を反転可能に保持するホルダーユニット(27)とカメラ(30)の両方を備えているが、どちらか一方を備えた自動販売機としても実施可能であり、その場合でも相応の効果を奏するものである。
【0047】
【考案の効果】
本考案によれば、上述のとおり、運転免許証により年齢識別を行い、成人のみ入店を許容するシステムであるから、成人向け映画のいわゆるアダルトビデオや、酒類、煙草など法律によって未成年者への販売が禁止されているような商品の無人販売が可能となる。したがって、成人に達しない児童、生徒と、一般顧客との間で、商品の購入に際して別の対応をする必要がなくなるから、人件費の節減のみならず、顧客の商品に対する満足度と教育的配慮の両面に対しても有効な改善手段が提供される。
【0048】
また、自動販売機の内部に、外部を撮影するためのカメラを設置することにより、自動販売機にいたずらをしようとする者の顔を含む正面を撮影することができるため、高い防犯効果、いたずらの抑止効果が望める。運転免許証から読み取った運転免許証番号等の情報をカメラによる画像データと関連付けて記録しておくことにより、自動販売機にいたずらをしたり犯罪行為を行った者の特定が可能となる。
【0049】
さらに、密閉された自動販売機の展示室内に陳列された商品を反転させたり、あるいはカメラで撮影してモニターに表示することによって、利用者が商品の裏面に印刷された情報をも読み取ることができるから、商品体の全体から商品情報を得ることができ、商品の選択および購入に際して情報不足に起因する判断ミスがなくなり、安心して商品の選択および購入をすることができるので利用者の満足度が向上する。
- 【登録番号】第3057220号
【登録日】平成10年(1998)12月24日
【発行日】平成11年(1999)4月9日
【考案の名称】自動販売機用店舗
- 【出願番号】実願平10−6786
【出願日】平成10年(1998)9月2日
【出願人】
【識別番号】598019989
【氏名又は名称】株式会社フェニックスエンタープライズ
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】江原 省吾 (外3名)
- ★当サイトのどのページも全てリンクフリーです、自由にお使いください
※以下のタグをホームページ中に張り付けると便利です。
-
当サイトではIPDL(特許電子図書館)の公報のデータを著作権法32条1項に基づき公表された著作物として引用しております、
収集に関しては慎重に行っておりますが、もし掲載内容に関し異議がございましたらお問い合わせください、速やかに情報を削除させていただきます。