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自動販売機と硬貨回収機構
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- 【要約】
【課題】 自動販売機において、1回の投入硬貨の枚数をより柔軟にかつ簡単に設定・変更して、商品価格の設定・変更をより自由にする。
【解決手段】 所定枚数の硬貨を投入することにより商品を取り出すことができる自動販売機1は、多数の商品を収容する透明ケース5と、該ケースから商品を排出させるために、回転ディスク7やその駆動歯車列23〜25からなる商品取出機構を駆動するためのハンドル13と、商品取出機構の動作を制御するためのコントロールユニット11と、投入硬貨を回収するための金庫94とからなる。コントロールユニットは、所定枚数の投入硬貨を連続して1列に収容するスリット42を有するコインホルダ37と、スリットの下向きに開放する傾斜部45を閉じる傾斜プレート59とを有する。コインホルダは、ハンドルの回転により揺動してスリットを金庫内に向けて開放し、その中に一時的に保持される硬貨を金庫内に落下、回収させる。

- 【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 所定枚数の硬貨を投入することにより商品を取り出すことができる自動販売機において、商品取出操作を1回行う毎に前記所定枚数の投入硬貨を金庫内に回収するために、前記所定枚数の投入硬貨を連続して1列に収容するスリットを有するコインホルダと、前記投入硬貨を前記スリット内に保持するように前記スリットを閉じるためのスリット閉じ手段とからなり、前記商品取出操作により前記コインホルダと前記スリット閉じ手段とが相対変位して、前記スリットが前記金庫内に向けて開放し、該スリット内の硬貨を前記金庫内に排出させるようにしたことを特徴とする硬貨回収機構。
【請求項2】 前記スリット内に保持し得る硬貨の枚数を決定するべく、該スリット内での位置を変更可能なコインストッパを更に有することを特徴とする請求項1に記載の硬貨回収機構。
【請求項3】 前記商品取出操作により前記コインホルダが変位することを特徴とする請求項1又は2に記載の硬貨回収機構。
【請求項4】 前記商品取出操作により前記コインホルダが前記金庫側に揺動することを特徴とする請求項3に記載の硬貨回収機構。
【請求項5】 前記商品取出操作により前記スリット閉じ手段が変位することを特徴とする請求項1又は2に記載の硬貨回収機構。
【請求項6】 前記スリットが、その硬貨投入側から奥に向けて下向きに傾斜しかつその傾斜に沿って下方に開放しており、前記スリットの下方への開放部が通常は前記スリット閉じ手段により閉じられ、前記商品取出操作により前記金庫内に向けて開放することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の硬貨回収機構。
【請求項7】 前記スリット閉じ手段が、前記スリットの下方への開放部に対向して延長する傾斜プレートからなり、前記傾斜プレートがその傾斜方向と逆向きに傾動可能であることを特徴とする請求項6に記載の硬貨回収機構。
【請求項8】 前記傾斜プレートが逆向きに傾動したとき、前記スリットが前記自動販売機の硬貨返却口に連通することを特徴とする請求項7に記載の硬貨回収機構。
【請求項9】 前記商品取出操作により回転するカムを有し、前記カムにより操作されて前記コインホルダと前記スリット閉じ手段とが相対変位することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の硬貨回収機構。
【請求項10】 前記商品取出操作により回転するカムと、前記カムに追従して揺動するようにばね付勢されたスイングアームとを更に有し、前記コインホルダが前記スイングアームに連結されて一体に揺動し、前記スイングアームの前記カムとの接触部に、前記スイングアームの急激な揺動を可能にする段差が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の硬貨回収機構。
【請求項11】 前記カムの回転軸が、前記自動販売機から商品を排出させるための商品取出機構を駆動するように連結されていることを特徴とする請求項9又は10に記載の硬貨回収機構。
【請求項12】 前記自動販売機のコイン返却ボタンを操作すると前記傾斜プレートが傾動するように、これらを連結するリンク機構を更に有することを特徴とする請求項8に記載の硬貨回収機構。
【請求項13】 前記商品取出操作により前記コインホルダと前記スリット閉じ手段とを相対変位させるように回転するカムと、前記カムが回転し始めると前記コイン返却ボタンを操作できないように、前記リンク機構をロックする手段とを有することを特徴とする請求項12に記載の硬貨回収機構。
【請求項14】 前記カムの回転軸が、前記自動販売機から商品を排出させるための商品取出機構を駆動するように連結されていることを特徴とする請求項13に記載の硬貨回収機構。
【請求項15】 所定枚数の硬貨を投入することにより商品を取り出すことができる自動販売機であって、多数の商品を収容するケースと、前記ケースから前記商品を排出させるための商品取出機構と、前記商品取出機構を駆動するためのハンドルと、前記商品取出機構の動作を制御するためのコントロールユニットと、投入硬貨を回収するための金庫とからなり、前記コントロールユニットが請求項1乃至14のいずれかに記載の硬貨回収機構を備えることを特徴とする自動販売機。
【請求項16】 前記ハンドルが、前記商品取出機構を駆動すると同時に、前記硬貨回収機構の前記コインホルダと前記スリット閉じ手段とを相対変位させることを特徴とする請求項15記載の自動販売機。
【請求項17】 所定枚数の硬貨を投入することにより商品を取り出すことができる自動販売機であって、多数の商品を収容するケースと、前記ケースから前記商品を排出させるための商品取出機構と、前記商品取出機構を駆動するためのハンドルと、前記商品取出機構の動作を制御するためのコントロールユニットと、投入硬貨を回収するための金庫とからなり、前記コントロールユニットが請求項9乃至11のいずれかに記載の硬貨回収機構を備え、前記ハンドルが、前記商品取出機構を駆動すると同時に、前記カムを回転させることを特徴とする自動販売機。
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- 【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、硬貨の投入により容器内から商品を送り出すようにした自動販売機に関し、特に子供や若年層を対象としてプラスチック製カプセルに入れた商品を販売するのに適した自動販売機及びそれに使用する硬貨回収機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の自動販売機は、主に人通りの多いショッピングセンタやスーパーマーケット、デパートの店先、階段の踊り場などに設置されており、一般に、多数のプラスチックカプセル入り商品を外から見えるように収容するための透明な大型ケースと、ハンドルの操作により前記ケースからカプセルを排出させるための商品取出機構と、硬貨の投入により前記商品取出機構を動作させるための制御機構とを備える。そして、客が所定金額の硬貨を投入してハンドルを回すと、前記容器からランダムに1個のカプセルを排出するようになっている。
【0003】
最近は、ニセ硬貨の不正使用を防止するために、例えば実用新案公報第3014387号に開示されるように、真正な投入硬貨を選別してハンドルを回転可能にし、かつ投入枚数を変更可能な硬貨選別装置を備えた自動販売機が開発されている。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の自動販売機は、硬貨選別装置が1度に受け入れることができる投入硬貨が2枚までのため、商品の価格変更に十分対応できないという問題があった。また、3枚以上の硬貨投入を必要とする価格を設定した場合、この硬貨選別装置では、客は1枚又は2枚の硬貨を投入する毎に一回ずつハンドルを回転させねばならないことになり、特に小さい子供には面倒で難しく、購買意欲を減退させる虞がある。
【0005】
そこで、本考案は、上述した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、設置場所や対象とする客層及びその好みなどの販売条件に応じて商品価格を設定し又は変更できるように、1回の投入硬貨の枚数をより柔軟にかつ簡単に変更し得る制御機構を備えた自動販売機及び硬貨回収機構を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本考案によれば、上記目的を達成するために、所定枚数の硬貨を投入することにより商品を取り出すことができる自動販売機において、商品取出操作を1回行う毎に前記所定枚数の投入硬貨を金庫内に回収するために、前記所定枚数の投入硬貨を連続して1列に収容するスリットを有するコインホルダと、前記投入硬貨を前記スリット内に保持するように前記スリットを閉じるためのスリット閉じ手段とからなり、前記商品取出操作により前記コインホルダと前記スリット閉じ手段とが相対変位して、前記スリットが前記金庫内に向けて開放し、該スリット内の硬貨を前記金庫内に排出させるようにしたことを特徴とする硬貨回収機構が提供される。
【0007】
このようにコインホルダのスリット内に投入硬貨を連続して1列に収容することにより、自動販売機に1度に投入し得る硬貨の枚数を、商品の価格に対応して比較的自由に設定することができると共に、1回の商品取出操作で商品を取り出しかつ投入硬貨を回収することができる。
【0008】
前記硬貨回収機構が、スリット内に保持し得る硬貨の枚数を決定するべく、該スリット内での位置を変更可能なコインストッパを更に有すると、同じコインホルダを用いて、自動販売機に1度に投入し得る硬貨の枚数を簡単かつ自由に設定しかつ変更できるので、好都合である。
【0009】
或る実施例では、商品取出操作により前記コインホルダが変位する、例えば金庫側に揺動するように構成することにより、スリット閉じ手段に対して相対変位させることができる。別の実施例では、商品取出操作により前記スリット閉じ手段が変位するように構成することができる。
【0010】
また、或る実施例によれば、前記スリットが、その硬貨投入側から奥に向けて下向きに傾斜しかつその傾斜に沿って下方に開放しており、該スリットの下方への開放部が、通常は前記スリット閉じ手段により閉じられているが、商品取出操作により金庫内に向けて開放するように構成することができる。
【0011】
この場合に、前記スリット閉じ手段は、スリットの下方への開放部に対向して延長し、かつその傾斜方向と逆向きに傾動可能な傾斜プレートにより構成することができる。前記傾斜プレートは、逆向きに傾動したときに前記スリットを自動販売機の硬貨返却口に連通させることにより、投入硬貨を容易に返却することができる。また、傾斜プレートの傾動により前記スリットを金庫内に連通させて、投入硬貨を回収することもできる。
【0012】
更に、或る実施例によれば、コインホルダとスリット閉じ手段とは、商品取出操作により回転するカムにより操作されて相対変位させることにより、その構成を簡単にすることができる。
【0013】
別の実施例では、前記硬貨回収機構が、商品取出操作により回転するカムと、該カムに追従して揺動するようにばね付勢されたスイングアームとを更に有し、このスイングアームにコインホルダが連結されて一体に揺動し、該スイングアームのカムとの接触部に、その急激な揺動を可能にする段差が形成されていることにより、コインホルダが前記カムにより揺動してスリットを金庫内に向けて開放すると共に、その際に急激に揺動するので、スリットから硬貨を確実に落下させて金庫内に回収することができる。
【0014】
前記カムは、その回転軸を、前記自動販売機から商品を排出させるための商品取出機構を駆動するように連結することができ、簡単な構成により商品の取出動作と投入硬貨の回収動作とを連動させることができる。
【0015】
また、前記硬貨回収機構が上述したスリットの下方への開放部を閉じる傾動可能な傾斜プレートを有し、その傾動により前記スリットを自動販売機の硬貨返却口に連通させるようにした場合、例えば、自動販売機のコイン返却ボタンを操作すると傾斜プレートが傾動するように、これらをリンク機構により連結することができる。
【0016】
更に、商品取出操作によりコインホルダとスリット閉じ手段とを相対変位させるように回転するカムと、該カムが回転し始めるとコイン返却ボタンを操作できないように、前記リンク機構をロックする手段とを有すると、商品を取り出そうとする場合には、投入硬貨を返却できないようにすることができる。この場合にも、前記カムの回転軸を、自動販売機から商品を排出させるための商品取出機構を駆動するように連結することができる。
【0017】
本考案の別の側面によれば、所定枚数の硬貨を投入することにより商品を取り出すことができる自動販売機であって、多数の商品を収容するケースと、該ケースから商品を排出させるための商品取出機構と、該商品取出機構を駆動するためのハンドルと、前記商品取出機構の動作を制御するためのコントロールユニットと、投入硬貨を回収するための金庫とからなり、前記コントロールユニットが、上述した本考案の硬貨回収機構を備えることを特徴とする自動販売機が提供される。
【0018】
これにより、自動販売機に1度に投入し得る硬貨の枚数を、商品の価格に対応して比較的自由に設定することができると共に、1回の商品取出操作で商品を取り出しかつ投入硬貨を回収できるようにすることができる。
【0019】
或る実施例では、商品取出機構を駆動するハンドルにより、同時に硬貨回収機構のコインホルダとスリット閉じ手段とを相対変位させ、1つの操作で商品の取出しと硬貨の回収とを連動させて1度に行うことができる。
【0020】
また、別の実施例によれば、前記コントロールユニットが、前記ハンドルの操作によりコインホルダとスリット閉じ手段とを相対変位させるように回転するカムを有する硬貨回収機構を備え、前記ハンドルが、前記商品取出機構を駆動すると同時に、前記カムを回転させることを特徴とする自動販売機が提供される。
【0021】
【考案の実施の形態】
以下に、添付図面に示した実施例を用いて本考案の内容を詳細に説明する。
図1は、本考案による自動販売機の好適な実施例を示している。この自動販売機1は、図示しない小車輪により移動可能に装置全体を支持するベース2と、該ベース上に固定された透明な円筒状シュート部3及び本体部4と、その上に脱着可能に取り付けられ、その中に多数のプラスチックカプセル入り商品(以下、カプセルという)を収容するためにドーム状の大型透明ケース5とを備える。
【0022】
透明ケース5は、図2に示すように、同一寸法の5個の円形穴6を円周方向に一定間隔で設けた回転ディスク7を底部に備える。回転ディスク7の直ぐ下側には、円形孔6と同一円周上にカプセル排出口8が開口し、本体部4内の通路及びシュート部3内のスパイラル通路9を経由して、ベース2の前面に開口する商品取出口10に通じている。前記商品取出口手前の通路内には、カプセルの落下により変位する可動プレート及びその変位によりオンオフされるリミットスイッチからなる商品排出確認スイッチが設けられている。
【0023】
本体部4の内部には、装置全体の動作を制御するためのコントロールユニット11が装着されている。コントロールユニット11は、本体部4の前面パネル12を取り外すことにより、容易に脱着することができる。前面パネル12の略中央には、円形のハンドル13が回転可能に取り付けられている。更に本体部4の前面には、コイン投入口14、価格表示部15及びコイン返却口16が設けられている。
【0024】
コントロールユニット11は、図3乃至図5に示すように概ね四角い箱形をなし、その前壁部17及び後壁部18の略中央を水平に貫通して回転自在に支持された回転軸19を有する。前壁部17から突出する回転軸19の前端には、ディスク状のハンドル受部20が一体回転可能に固定されている。ハンドル受部20には、図4に示すように前面パネル12を挟んでハンドル13と一体をなす継手21を外嵌させる。ハンドル受部20の外周には、2個の係合突起22がそれぞれ直径方向逆向きにばね付勢されて出没可能に設けられ、これが継手21の内側係合部(図示せず)と係合して、ハンドル13を回すと回転軸19を一体に回転させると共に、該ハンドルを過大な力で回した場合又は硬貨未投入などにより回転軸19が回転不可能な状態でハンドルを回した場合には、係合突起22との係合を解除して前記ハンドルが空回りし、ハンドル及びそれに連結した機構が壊れたりしないようにしている。
【0025】
後壁部18から突出する回転軸19の後端には、歯車23が一体回転可能に固定されている。歯車23は、後壁部18の上端付近に取り付けられた歯車24に噛合する中間歯車25と噛合している。歯車24は、回転ディスク7の下面に設けられた円周方向のラック26に噛合し、回転軸19が回転すると回転ディスク7が回転するようになっている。
【0026】
図5に良く示すように、コントロールユニット11の内部には、薄い矩形箱型のコインセレクタ27が左側壁部28に沿って取外可能に装着されている。本実施例では、例えば朝日精巧株式会社製の型番AD−81P2のような市販の製品をコインセレクタ27に使用する。また、前記コントロールユニットの右側壁部29に沿って、自動販売機1全体の動作を電子的に制御するIC、メモリなどからなるマイクロコンピュータを実装した基板30が取り付けられている。基板30は、価格表示部15、コントロールユニット11の前面に設けられた価格設定ボタン31、音量スイッチ32、スピーカ及び照明装置、後述する各スイッチなどと電気的に接続されている。
【0027】
図6に併せて示すように、コインセレクタ27の上端にはスリット状のコイン入口33が開口し、その内部に硬貨1枚分の狭いすきまからなるコイン投入通路を画定するスリーブ34を介して、コイン投入口14に連結されている。前記コインセレクタの下端には、所定金額の真正な硬貨と異なる金額の又は不正な硬貨とを選択して排出するために、真正コイン出口35と不正コイン出口36とが前後に並設されている。
【0028】
図6に示すように、左側壁部28の内部には、真正コイン出口35から送出される硬貨をコインホルダ37へ送るためのコイン回収通路38が、仕切壁39により画定されている。また、不正コイン出口36は、仕切壁39、40により前記コイン回収通路の反対側に画定されたコイン返却通路41を介して、コイン返却口16に連通している。
【0029】
コイン回収通路38の途中には、該通路に沿って円弧状のスリット42が左側壁部28外面に開設され、左側壁部28内面に固定されたリミットスイッチからなる投入コイン検出スイッチ43をオンオフするL字ピン44の折曲先端部が、前記通路を横断するようにスリット42を貫通している。ピン44は、スイッチ43に揺動自在に取り付けられかつ常に上向きにバネ付勢されて、通常はスリット42の上端に位置する。
【0030】
硬貨がコイン回収通路38を通過すると、ピン44は前記硬貨に押されてスリット42の下端位置まで回転し、スイッチ43をオンして前記マイクロコンピュータに1個の硬貨が通過したことを表わす信号を出力する。1個の硬貨が通過すると、ピン44は元のスリット上端位置に復帰し、次の硬貨が通過する際に同様に動作して、次の硬貨通過信号を出力させる。
【0031】
コインホルダ37は、概ね左右方向に細長い板状をなし、かつその下辺には左端から右端に向けてその途中まで下向きの傾斜部45が形成されている。左側壁部28には、コインホルダ37を補完する形状の窓46が開設されている。前記コインホルダは、この窓46内に配置され、かつその左右上端において窓46の上縁に沿って架設した水平ロッド47に揺動可能に支持されると共に、前記窓の下縁に形設された突起48により外側に揺動しないように制限されている。
【0032】
コインホルダ37の内部には、複数の硬貨が立てた状態で連続して1列に並ぶように、硬貨1枚分に略等しいすきまのスリット49が、その略全長に亘って形成されている。スリット49は、傾斜部45において下向きにかつ左端において左方にそれぞれ開放している。他方、コイン回収通路38は、左側壁部28内部から窓46の左端に開口している。従って、前記スリットは、コインホルダ37が窓46内に位置する通常位置で、その左端において回収コイン通路38に連通すると同時に、下向きに開放した前記傾斜部が窓46の下辺部分により閉じられて、前記コイン回収通路を通過した硬貨を一時的に保持するための狭く細長い空間を画定している。
【0033】
また、スリット49内には、矩形の小板片からなるコインストッパ50が摺動自在に配置され、その連結部51が、コインホルダ37外面に形成された水平方向のガイド溝52から外部に突出している。コインホルダ37の直ぐ外側には、垂直方向の位置決めレバー53が、その中央部において左側壁部28外面に架設された水平ロッド54に、該ロッドに沿って左右に移動可能に取り付けられている。位置決めレバー53の下端には、その上下方向溝55に連結部51を遊嵌させて、前記コインストッパが連結されている。
【0034】
位置決めレバー53の上端には、図5に示すように、短円柱状のピン56が、通常内蔵したばねにより付勢されて左側壁部28外面に向けて突出し、該ピンと一体をなすつまみ57を外側へ引くと引っ込むように設けられている。左側壁部28外面には、ピン56と略同じ直径の5つの円孔58が、該ピンの高さに一列に等間隔で穿設されている。コインストッパ50は、位置決めレバー53を左右に移動させると、これと一体にガイド溝52に沿って移動し、かつピン56をいずれかの円孔58に嵌合させると、これに対応する位置に保持される。
【0035】
このコインストッパ50の位置により、コインホルダ37内に保持し得る投入硬貨の枚数が決定される。本実施例では、100円から500円までの間で自由に価格設定できるように、各円孔58の位置が、1枚から5枚までの100円硬貨を縦に並べた各寸法に合せて決定されている。図6では、2個の100円硬貨を保持するべく、位置決めレバー53のピン55が200円の円孔に設定されている。
【0036】
窓46の下辺部分には、左側壁部28の中に傾斜プレート59が、コインホルダ37のスリット49に対向する位置に、かつその略中央において枢軸60により傾動可能に取り付けられている。傾斜プレート59は、その左端近くにピン61が突設され、かつ左側壁部28外面の円弧状の溝62に挿通され、それにより傾動範囲が制限されている。ピン61が溝62の上端にある通常位置では、傾斜プレート59はその上縁が窓46の下辺に一致し、その上をコイン回収通路からスリット49内に入る硬貨が転動するようになっている。ピン61を溝62に沿って下端側に変位させると、傾斜プレート59はその右側部分がコインホルダ37のスリット49内に突入して逆向きに、コイン返却口16に通じる仕切壁40に向けて傾斜する。
【0037】
左側壁部28の外側には、L字形の返却レバー63が、その長辺部分63aの上下両端付近に形成した2つの上下方向溝64、65に、前記左側壁部に固設したピン66、67をそれぞれ嵌合させて、前壁部17の裏面に沿って上下方向に移動可能に配置されている。返却レバー63の水平な短辺部分63bには、その先端の孔68に溝62を貫通したピン61を嵌合させて、傾斜プレート59が連結されている。返却レバー63は、短辺部分63bと左側壁部28外面との間に装着した引張ばね69により常時上向きに付勢され、それにより傾斜プレート59を前記通常位置に保持している。
【0038】
返却レバー63の上端は、図5及び図7に示すように、軸70に枢着されたリンク部材71の一方の端部71aに連結されている。前記リンク部材の他方の端部71bは、前壁部17の右上端に開口する小窓72を介して、その先端が前面パネル12から突出するコイン返却ボタン73の後端が当接している。コイン返却ボタン73を押し込むと、図7に示すようにリンク部材71が図中時計回りに回転し、ばね69の付勢力に抗して返却レバー63を下方に移動させる。これにより、傾斜プレート59が仕切壁40に適合した角度まで傾動し、スリット49内の硬貨が該傾斜プレートの上縁及び仕切壁40に沿って前記コイン返却口に排出される。また、左側壁部28外面には、窓46より下側にリミットスイッチからなる返却確認スイッチ99が、返却レバー63が下方に移動して短辺部分63bの先端が接触するとオンするように固着されている。
【0039】
また、回転軸19には、その回転を制限するためのストッパディスク74が、前壁部17の直ぐ内側に一体回転可能に固定されている。ストップディスク74の外周には切欠部75が形成され、該切欠部はハンドルの回転開始前の初期位置において上端に位置するようになっている。前記ストップディスクの直ぐ後方には、リンク部材71と一体をなす延長アーム76が垂直方向下向きに、前記上端位置の切欠部75の高さまで延長している。
【0040】
ハンドル13を回転させ始める前にコイン返却ボタン73を押すと、延長アーム76がリンク部材71と同じ向きに回転して切欠部75に突入し、回転軸19即ちハンドル13を回転できなくする。ハンドル13を回転させ始めた後は、切欠部75が前記上端位置からずれるため、コイン返却ボタン73を押しても延長アーム76が前記ストップディスクの後面に当接して回転できなくなり、投入コインを返却できなくする。
【0041】
更に回転軸19には、図8に示すように、後壁部18の直ぐ内側にカムディスク77が一体回転可能に固定されている。カムディスク77は、時計方向にのみ回転し得るように、その最外周に全周に亘ってラチェット78が形成され、かつこれと係合するように時計回りにばね付勢された反転防止カム79が、後壁部18内面に枢着されている。カムディスク77には、その外周に沿って円周方向に円弧状の溝80が貫設され、該溝の中に後壁部18内面からピン81が突入している。
【0042】
図8に示すハンドル13を回転させ始める前のカムディスク77の初期位置では、ピン81が円弧状溝80の回転方向終端に係合し、カムディスクの回転を阻止している。ピン81は、後壁部18外面に装着されたソレノイド82により出没可能であり、前記ソレノイドがオンするとピン81が引込んで溝80との係合を解除し、前記カムディスクが回転可能になる。
【0043】
また、後壁部18内面には、時計回りにばね付勢されたハンドル回転検出レバー83がカムディスク77の直ぐ上側に枢着されている。レバー83は、ストッパ84に係止された図8の位置において、その先端にカムディスク77上の突起85が当接するように配置され、前記カムディスクが回転し始めると突起85により反時計回りに回転する。レバー83のストッパ84と反対側には、リミットスイッチからなるハンドル回転検出スイッチ86が前記後壁部内面に固着されている。図9に示すように、カムディスク77が一定角度以上回転すると、レバー83の先端がスイッチ86をオンして、ハンドルの回転開始を表す信号を前記マイクロコンピュータに出力する。
【0044】
更にカムディスク77上には、半径方向に延長する直線部分87aと、その先端から円周方向後方に延長する円弧部分87bとからなるカム87が、一体に形成されている。カムディスク77の直ぐ内側には、カム87と同じ高さにスイングアーム88が、その中間位置において枢軸88により揺動可能に取り付けられている。スイングアーム88は、その下端と後壁部18との間に装着された引張ばね89により常時反時計方向に付勢され、かつその上端がカム87の基端部に係止されている。
【0045】
スイングアーム88の下端には、コインホルダ37に突設した連結アーム90が、その先端のピン91をスイングアーム下端の上下方向溝92に挿通させて連結されている。スイングアーム88下端の裏側には、リミットスイッチからなる硬貨回収確認スイッチ93が前記後壁部内面に固着されている。このスイッチ93は前記スイングアーム下端の位置により作動し、常時オンである。コインホルダ37の直ぐ下側には、上部を全面開放した細長い矩形箱形の金庫94が左側壁部28と右側壁部29との間に配置される。金庫94は、図3に示すコントロールユニット11の前面側から抜き差しすることができる。
【0046】
カムディスク77が図9の位置から更に回転すると、図10に示すように、カム87の直線部分87がスイングアーム88上端に当接し、前記スイングアームは、ばね89の付勢力に抗してカム87の外郭に追従して時計方向に回転し始める。これにより、コインホルダ37は窓46内の位置から内側へ揺動し始める。
図11に示すように、カムディスク77が更に回転して前記カムの円弧部分87bがスイングアーム88上端に当接する位置で、前記スイングアーム即ちコインホルダの揺動は最大となる。
【0047】
このようにしてコインホルダ37が内側へ揺動すると、スリット49が窓46の下縁から外れて下向きに開放されるので、該スリット内に保持されていた硬貨95は金庫94内に落下する。このとき、図11に示すように、コインホルダ37左端のスリット入口付近に外向きに突設したストッパ96が窓46を横断し、該窓の左端に開口する前記コイン回収通路の出口を遮断する。従って、余分に投入した硬貨は、コインホルダ37が窓46内の所定位置に復帰するまで、そのまま前記コイン回収通路に保持される。
【0048】
スイングアーム88上端の前記カムとの接触部には、内側に小さな段差97が形成されている。このためスイングアーム88は、図12に示すように、前記カムの円弧部分87bが段差97を超えた瞬間、ばね89により反時計方向に小さくかつ速く振れた後、再び前記円弧部分に係止される。この急激な振れ及びそれに伴う衝撃は、前記スイングアーム下端の連結部を介してコインホルダ37に伝達され、スリット42内の硬貨の落下を確実にする。その後、スイングアーム88はカムディスク77の回転に合わせて元の位置に、コインホルダ37は窓46内の位置にそれぞれ復帰する。
【0049】
上記スイングアームの揺動過程において、スイッチ93は、前記スイングアーム即ちコインホルダが一定以上揺動するとオフとなり、前記スイングアームが図8に示す元の位置に復帰すると、再びオンとなって、コインホルダ37が正常に復帰したことを前記マイクロコンピュータに知らせる。図13に示すように、例えば金庫94内の硬貨が一杯となってスリット49から硬貨が落下しないため、又は別の何らかの理由により、コインホルダ37が窓46内の位置に正常に復帰しない場合には、スイングアーム88も同様に元の位置に復帰できないため、スイッチ93はオフ状態のままである。
【0050】
次に、本実施例による自動販売機1の動作要領を、図14乃至図17のフロー図を用いながら説明する。先ず、自動販売機1に電源を投入した初期状態では、前記マイクロコンピュータの指示により、前記スピーカから効果音が流れかつ前記照明装置が点灯し、本体部4の価格表示部15に商品1個分の価格が表示される。この価格は、コントロールユニット11前面の価格設定ボタンを操作することにより、その設定を変更することができる。
【0051】
客が表示価格に対応する枚数の硬貨(例えば100円硬貨)をコイン投入口14に投入すると(ステップ1)、前記コインセレクタにより使用可能な硬貨かどうかが選別されて(ステップ2)、前記コイン回収通路に排出される。コイン回収通路を通過する硬貨は、投入コイン検出スイッチ43をオンし、それにより前記マイクロコンピュータに信号を出力させ(ステップ3)、コインホルダ37の前記スリット内に収容される(ステップ4)。このとき、投入硬貨が使用できない100円硬貨以外の硬貨やニセ硬貨の場合、前記コインセレクタはこれらをコイン返却口16に排出する(ステップ5)。
【0052】
前記マイクロコンピュータは、スイッチ43からの入力信号の数をカウントしてメモリ内に記憶し、かつ価格表示部を0まで減算表示させる(ステップ6)。
表示価格以上の枚数の硬貨を余分に投入した場合、余分の投入硬貨は、前記コインセレクタを通過した後コイン回収通路内に保持される。この余分の硬貨の枚数を含めて、前記投入コイン検出スイッチをオンさせた全硬貨の枚数が前記メモリ内に記憶される。
【0053】
前記マイクロコンピュータは、所定枚数の100円硬貨が投入されたことを検出すると、ソレノイド82をオンしてピン81を引っ込めさせ、カムディスク77即ちハンドル13を回転可能な状態にする(ステップ7)。客がハンドル13を1回転させると、歯車列23〜25を介して透明ケース5内の回転ディスク7が或る角度回転する。いずれかの円形穴6がカプセル排出口8と一致したとき、前記透明ケース内の1個のカプセルが、該カプセル排出口から本体部4内の通路及びスパイラル通路9を通過して商品取出口10に排出される(ステップ8)。
カプセルの排出は、前記商品排出確認スイッチのオンにより前記マイクロコンピュータに信号が出力される(ステップ9)ことにより確認される。
【0054】
次に図15を用いて、ハンドル13の回転によりカプセルが排出されるまでの動作を詳細に説明する。前記ハンドルを回転させ始めると、図8及び図9に関連して上述したようにカムディスク77が回転し、先ずハンドル回転検出スイッチ86をオンして前記マイクロコンピュータに信号を出力する(ステップ10)。
この信号を受けた前記マイクロコンピュータは、前記ソレノイドをオフして(ステップ11)ピン81を元の突出位置に復帰可能にする。ピン81は、前記カムディスクが或る角度まで回転すると円弧状溝80内に再び突入し、前記カムディスクが1回転すると前記円弧状溝の終端に係合して、その回転を阻止する。
【0055】
次に、図10乃至図12に関連して上述したように、カム87によりスイングアーム88が回転し始めると、硬貨回収確認スイッチ93がオフとなり(ステップ12)、前記スイングアームの揺動開始を表す信号を前記マイクロコンピュータに出力する。これに連動してコインホルダ37が揺動し、スリット42内の硬貨が金庫94内に落下して回収される(ステップ13)。前記スイングアームが元の位置に復帰する際にスイッチ93が再びオンとなり、正常な硬貨の回収及び前記コインホルダの復帰動作を確認する信号を前記マイクロコンピュータに出力する(ステップ14)。
【0056】
実際には、ハンドル13を1回転してスイッチ93が再度オンとなった後、前記カプセルが商品取出口に排出されるようになっている。前記マイクロコンピュータは、スイッチ93から再度のオン信号を受け取ると、その持続時間を内蔵タイマで計測する。この持続時間が一定時間t例えば30秒に達したとき(ステップ15)、その時点で既に前記商品排出確認スイッチからオン信号を受信していれば、前記マイクロコンピュータは、正常に硬貨の回収及び商品の排出が行われたものと判断して、自動販売機1を初期状態に戻す(ステップ16)。
【0057】
前記スイングアームが元の位置に復帰せず、スイッチ93が再びオンしない場合には、仮に前記商品排出確認スイッチからオン信号を受信していても、正常な硬貨の回収が行われなかった又は金庫が一杯であると判断して、自動販売機1の前記スピーカ及び照明装置などを停止させる(ステップ17)。また、スイッチ93から再度のオン信号の受信後時間t経過したときに前記商品排出確認スイッチからのオン信号を確認できていない場合には、アラームが作動し、自動販売機1の動作が停止してカプセルの取り出しができなくなる。この後、手動でリセット操作を行うと、初期状態に復帰する(ステップ18)。
【0058】
コイン回収通路38内に余分な投入硬貨が保持されている場合、これらは上述したように、コインホルダ37が窓46内の位置に復帰すると同時にスリット49内に収容される。前記マイクロコンピュータは、前記メモリに記憶した投入硬貨の枚数から回収した硬貨の枚数を減算し、これを新たな投入枚数として前記メモリに記憶させ、かつこれに合わせて価格表示部15を減算表示させる。従って、これが0の場合にはそのまま、不足額が表示されている場合にはその分だけ投入した後、もう1回ハンドル13を回転できる。
【0059】
また、客が硬貨投入後ハンドル13を回転させる前にコイン返却ボタン73を押す(ステップ19)と、図6及び図7に関連して上述したように、リング部材71及び返却レバー63からなるリンク機構により傾斜プレート59が逆向きに傾動し(ステップ20)、コインホルダ37のスリット内の硬貨98をコイン返却通路41からコイン返却口16に返却される。コイン回収通路38内に余分な硬貨があれば、これも同時に返却される。
【0060】
これと同時に、前記返却レバーの短辺部分63bが、左側壁部28外面の返却確認スイッチ99をオンし、硬貨が返却されたことを表す信号を前記マイクロコンピュータに出力させる(ステップ21)。スイッチ99からオン信号を受けた前記マイクロコンピュータは、メモリ内の投入硬貨のデータを完全にクリアすると同時に、ソレノイド82をオフしてハンドルを回転できなくし(ステップ22)、自動販売機1を初期状態に戻す。
【0061】
以上、本考案の好適な実施例について詳細に説明したが、本考案はその技術的範囲内において上記実施例に様々な変形・変更を加えて実施することができる。
例えば、前記スリットを概ね垂直に形成してその上端から硬貨を投入し、かつその下端を開閉可能にして、同様に硬貨を一時的に保持しかつ金庫内に回収することができる。逆に、前記コインホルダ側を固定し、かつそのスリットの下向き開放部分を閉じる窓側を揺動可能にしても、同様に作用効果が得られる。また、別の実施例では、前記傾斜プレートを逆向きに傾動させることにより、スリット内の硬貨を返却するのではなく、金庫内に排出させることもできる。また、本考案は、カプセル入り商品以外の様々な商品の自動販売機にも同様に適用することができる。
【0062】
【考案の効果】
本考案は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
本考案の硬貨回収機構によれば、コインホルダのスリット内に投入硬貨を連続して1列に収容することにより、自動販売機に1度に投入し得る硬貨の枚数を比較的自由に設定できると共に、1回の商品取出操作で商品を取り出しかつ投入硬貨を回収できるので、自動販売機についてその様々な販売条件に対応して柔軟かつ簡単に商品の選択、価格の設定・変更を行うことができる。
また、本考案の自動販売機によれば、このような硬貨回収機構を備えることにより、特に商品の選択・価格の設定に関して高い自由度が得られる。
- 【登録番号】第3057393号
【登録日】平成11年(1999)2月10日
【発行日】平成11年(1999)5月11日
【考案の名称】自動販売機と硬貨回収機構
- 【出願番号】実願平10−7132
【出願日】平成10年(1998)8月31日
【出願人】
【識別番号】397061895
【氏名又は名称】システムサービス株式会社
- 【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 明彦
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